高架線の下で見た景色

 現実世界では、煌めく物語はまれである。しかし、季節外れの心地よい風がボクの心にささやきかけ、席替えの瞬間に湧き上がる期待感が、胸いっぱいに広がっていく。

 それは、ボクを物語の世界へと誘い込む隠れた力が働いているのかもしれない。

 その力は、ボクに運命的な力が宿っているかのような錯覚をもたらす。

 些細な瞬間に触れる感覚が、思ったよりも無力ではないボクを、意味深な存在へと変容させる。

 虚栄心や承認欲求がボクの背中をそっと後押しし、心を揺さぶる。まるでマルチ商法の熱心な信者のように、時は過ぎ去り、失った時間と財産は二度と戻ってこない。

 だが、前向きな視点で捉えれば、その経験は貴重な教訓や滑稽な話題へと生まれ変わるだろう。

 クリスマスの心温まるエピソードにまで昇華させることも、意志さえあればできるのだ。

 けれども、ボクたちはそう簡単には強くなれず、他人の優秀さに憧れを抱く。

 自分には理解しているつもりでも、客観的な評価は他人にはなかなか伝わらないものだ。


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