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心を休めたい時におすすめの漫画、水凪トリ『しあわせは食べて寝て待て』

「このマンガがすごい!2022オンナ編」で第8位だった、
水凪トリ著「しあわせは食べて寝て待て」読みました。

最初はピッコマで、2巻の途中まで無料だったので「あーこれ前に麒麟の川島さんがテレビで紹介してたヤツだなー」ぐらいの、なんの気なしに読み始めました。
(たまたまテレビをつけたら漫画紹介の番組をやっていて観てたんですが、その時は「ほーん」ぐらいの感じで、それほど興味を持っていなかったのです)

しかし途中から夢中になり、無料分を読み終わった次の日、速攻で本屋さんへ。
紙の本で1巻から3巻まで一気買いしました。
(ピッコマおそろしい……今までもこのように、一気に大人買いを5回以上は繰り返している……なんという商売上手システム……!)

おもしろいです。
胸湧き踊る出来事が起こるわけでもない、日常をゆったりと描いている作品です。

【突然、一生付き合わなければならない難病になってしまった主人公の麦巻さとこ。
それまではバリバリのキャリアウーマンだったのが、病気のせいで週4のパートしかできなくなる。

難病でも障害年金が出るほどでもなく、日常に気をつけていくしかない。医者に「婚活でもしたら」と言われ、落ち込む日々。

収入が減り、引っ越しを余儀なくされて部屋探しをしているうち、小さな団地で出会った92歳の大家さんと、その同居人。
その出会いが、さとこの生活を少しずつ変えていく。】

最初は「体に良い食べ物」「薬膳」というキーワードから、意識高い系のグルメ漫画なのかと思っていましたが、まったく違いました。
「冬は黒い食べ物がいい」「この食材にはこんな効能が」ぐらいの記載で、レシピを紹介しているわけでもありません。

それもあってか、本当にごく自然に物語は進行していきます。

勝手にですが、この漫画のメインテーマは
「生きづらい人生を、少しでも風通しを良くして生きやすくする」
だと思っています。

食事に気をつけて生活しているうちに、効いている「気がする」と思い始めたさとこは、病気になる前の自分はずいぶんといろいろなことに我慢をしていたと気づきます。

それを我慢しなくなったり、ちゃんと伝えたいことを伝えられるようになったり、やりたいと思ったことを始めたりと徐々に変わっていくのです。

急に生活が一変するような、大きな変化はありません。
しかしちょっとずつ、できることからとゆるゆると生きていく姿勢を見ていると、心が温かくなってなんだか励まされたような気持ちになります。

さとこ以外にも、家に居場所がない女子高生、売れないイラストレーター、働きたいけど働けなくなったニートの男性など、悩みを抱えて生きることが苦しい人たちが出てきます。

まだ連載中でこの先どうなるのかはわかりませんが、きっとその人たちも少しずつ、生きやすくなるように一歩一歩、ゆっくりと亀の歩みで前進していくのだと思います。

「生きるのがしんどい」と思った時にはこの本を読むと、歩き疲れてクタクタになった時に足湯につかった時のような、少しホッとした感覚を味わえるかもしれません。

心を休めたい時におすすめです。




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