センチメンタル

友だちが、彼女と別れ話になりそうだと泣きついてきた。
それでつい自分の失恋を思い出した。
島に来る前に、荷物を渡す用向きで会った。

新宿三丁目。
体調のことなど世間話する。うつ伏せで寝るとシーツのあとが顔に残るとか、もう若くないねって笑いながら言ってきた。
歳をとっても、ずっとこういう他愛ない話をするものだと思っていた。共に過ごした年月を確認するように。笑いながら相づちを打って心はとても寂しかった。

ビールを3杯くらい飲んで、ピクルスをつまんで別れた。笑って手を振って、もう会わないんだろうなぁと納得した。

同い年なのに、彼女からは「おじさん」とあだ名されていた。学生のころ、付き合いたてから割とすぐに。
朝むやみに早く目が覚めたり、背を丸めて朝刊を読んだりする習慣があったりで、全体に若々しさが無かったからだ。
当時はそれにさえ愛情を感じていた。

三十路に入り、本当におじさんになってしまった。ひとりぼっちの、ちっぽけなおじさんになってしまった。

会いたいとか連絡したいとかもう全く思わないけど、一発当てたらしらせたい気持ちはあるんだよね。巌窟王マインド。


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