ネクターと朝と夜
悩み事で眠れないので風に当たろうと思い波止場へ。ついでに自販機で缶ビールと不二家ネクターも買う。
まだネクターが350ml缶で買える。
ネクターは二日酔いの朝にテキメンに美味しいので同棲時代2人して好んで飲んだ。破局の数ヶ月前に近隣の自販機では350が軒並み廃止され、変にスリムな缶が(しかも)値上げされて売られるようになった。
あの頃、不二家ネクターは100円で買える飲み物で一等美味しいものだった。
あの強い甘さはちょっと前時代的でさえあった。
ここの街灯はオレンジ色で、外国みたいだ。
フランスで、始発に乗るために朝日の昇る前の街に出かけたときもこういう光に街は照らされていた。
或いは酔っ払って人気の無くなった道をホステルまで辿るときにも。
その時も、受けた投資に見合う大人に成れそうにない自分への焦燥とか、そういう自分を見透かしているいるような当時交際していた彼女のシラケとかを感じて苦しかった。当時1年先に社会人になっていた彼女は僕のような学生ノリに一際敏感だった。
そうすると今と状況はあんまり変わっていないのかもしれない。呑気に過ごしているくせに人並みの社会規範にずっと怯えている。
せめて愉快に日々をすごせないものか。
あまりにもツマラナイ。自分。
雲が出てきて、月も隠れてしまった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?