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おやしらず顛末・掉尾

(前句)
おやしらず 
もはや無いのに 
なぜ痛む
 
おやしらず
抜けた隙間に
水の滲む
 
おやしらず
頭痛顎痛
もう知らん
 
抜歯して
一と月経つのに
お粥食ひ
…………………………
とかなんとか呻いているうち、
おやしらずの抜歯手術から一と月余り経過した。
臓物の手術ではないからと甘く考えていたが、とんてもなかった。歯茎に埋伏し頑固に固着している歯を骨まで削って摘出する手術だったのだから、相当な荒行を経験した点ではほぼ同等であったかと、今更ながら認識を改めている。
而してその後体力が戻らず、加之手術部位以外の場所に不調あらわれ、未だ銷沈している。胃腸は乱れ、頭痛に苛まれ、手足の挙動重たく、仕事から帰るとへとへとを通り越して朦朧となってソファに倒れこむ日常が続いている。
とは云え、変なもんだが、大元の抜歯部分の痛みは殆ど消失している。担当医ーこの方が知的にして明朗なる名医であったーの話では完全に収まるまで4、5ヶ月はかかるとのこと。頭痛や胃重も時が経てば消失するのかも知れん。
但し只管待つばかりでなく、これを機に滋養強壮に努め健康な日常生活を心掛けたいものである。
あゝ、私は今、生きている。
南沙織。最早識る人寡なきか。
と言う訳で、おやしらずの一人騒動これにて千秋楽であります。
(了)


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