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混 沌

感情が、ぐちゃぐちゃだ。
言っちゃいけない、言わまい、と
しているのに込み上げてきて吐き気がする。

嫌なところもあったから別れたんでしょ。

歯医者に行ってくれなかったのが最後の決め手
なんて、一生気づかないだろうな。
何年も行ってほしいって伝えているのに
治してくれなかったのは、少しずつ私の不満を積み上げた。

けれどやっぱり品があったし
体臭はないのに思い切り肌を吸い込んだときに甘い匂いがするのが好きだった。
体型も好き。
デブは嫌い。
ハゲてもいない。
助手席から見る横顔も好き。喉仏がセクシー。

1週間前、置いていたゴルフバッグとスーツを届けに来てくれて、家まで送ってくれた。
はじめはお互い沈黙が多かったけど、
福井市のあたりで会話が増えて。

「どっちかが好き、じゃだめやろ。仕方ない」
「後悔のないようにね」
「幸せになってください」

「もうしばらく彼女はいいわ」
「有紀には心を開けたけど、開こうと思って開けるものじゃないし。誰かに心開くのしんどい。」

「自分じゃ捨てられない」って
お揃い用につくったシャツと
一緒につくった指輪と
あげたメッセージカードを手渡された。

ばいばいって言った時に触った手がすごく冷たかったこと、すごく苦しそうに笑っていたこと。
全身から好きって気持ちが伝わってきたよ。

でも、もう戻れない。
進み出してしまった。

嫌なところもあったから別れたんでしょ。

困ったときは頼って、って言ってくれた。
また会いたいと私も心から思っている。
せっかく縁があって付き合ったのに、
なんで恋人っていうくくりで
別れたら二度と会わなくなるのか。

と今も思っているんだけど、
俺のこと使えばいいよって言ってくれた
彼のやさしさに絶対甘えてはいけないと思った。

感情が、ぐちゃぐちゃだ。
なにかが喉を込み上げてきて
首がしまっているような感覚。

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