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早稲田大学ビジネススクール緊急特別講義第7回 「日本の経営者は何を考えているのか〜緊急早稲田会議から〜」

母校の早稲田大学ビジネススクールは、この5月末から内田和成先生のご発案のもと「WBS教授陣の考えるコロナ危機とその後の世界」をテーマとした10回連続の緊急特別講義を、在校生と修了生向けにオンラインで開講してくださっています。今日はその第7回目でした。

今回のテーマは「日本の経営者は何を考えているのか〜緊急早稲田会議から〜」。早稲田会議は、例年5月に「新たな日本の姿を模索する議論をすすめよう」をテーマに開催されている日本の経営者によるディスカッションの場。しかし、今年はコロナの影響でテレビ会議で行われ、リアル開催は11月に延期されたとのこと。

今宵はその「テレビ会議」のように経営者が集い、この状況に対する認識や考え方、そして取り組みについて語られました

今までの6回は、自分のSNSでメモを整理していました。今宵も同様に整理したのですが、今まで以上に刺激が強く、加えて、その刺激に基づき追って自分でも考えたいと思い、取り急ぎ、学びの整理をnoteにまとめることにしました。

今宵のご登壇者(冒頭のプレゼン順)

菊地唯夫 ロイヤルホールディングス株式会社代表取締役会長

濱逸夫 ライオン株式会社代表取締役会長 取締役会議長 最高経営責任者

柳弘之 ヤマハ発動機株式会社 代表取締役会長

星﨑尚彦 株式会社ビジョナリーホールディングス 代表取締役社長

内田和成 早稲田大学経営管理研究科(ビジネススクール) 教授

モデレーター
菅野寛 早稲田大学経営管理研究科(ビジネススクール) 教授

学び1.今の時代の認識

今は、ロイヤルHDの菊池会長や内田先生がおっしゃっていたように

「江戸幕府が倒れ、明治政府が立ち上がる時期」

その時代の中で、明治政府をどうイメージするか、そして、内田先生が合間に問われていたように「スタバの到来により路上でコーヒーを飲むことが当たり前になったような『当たり前の変化』をどう生み出すか?」を考え、実現していく時期であると思いました。

学び2.存在意義の明確化

菅野先生からの「自社は『どういう価値を届けるのか?』といった『存在意義』を考え直す良い機会なのでは?」という問い。

これは常に自分としても考え、かつ、日々、様々な方法で各所で問いを立てている「誰に、どんな価値を、どのように提供することで対価を得る存在か」を明確にするにも通じるものでした。

それも「今までこうだったから」ではなく、「こうありたい」から決めると共に、顧客の環境の変化を踏まえつつ、今後も求められる存在になるべく、取り組む大切さを強く感じました。

問いのきっかけは、ヤマハの柳会長のアメリカ事業の話

アメリカは、コロナ時期も好調だった。以前から「家族を大事にする」傾向が続いていたため、レクリエーションビークル(庭で乗る自動車や釣り用のボートなど)の売上がさらに伸びた。コロナでその傾向が加速した。この動きはアメリカだけでなく、他の国でも同じようになるだろう。こうした関心が高まる「次のステージ」へ対応していく。

ロイヤルHD 菊池会長

バリューではなくワース。『わざわざ来ていただく』という価値をどう作るか。最後は存在意義。

ライオン 濱会長

ライオンの存在意義は、定めたパーパス。それは、『毎日の習慣をもっとさりげなく、楽しく、前向きなものへ“リ・デザイン”し、一人ひとりの「心と身体のヘルスケア」を実現すること』。
こうした「存在意義」が明確になっていないと、会社としてレジリエンスできない。働き方もテレワークになったり、メンバーシップ型からジョブ型に変わる中で、従業員にパーパスが「腹落ち」している必要がある。さらに明確にし、社会や投資家にも、共感を呼ぶようにしたい。

ビジョナリーHD 星崎社長

付加価値=存在意義
自分たちは存在意義がある。だから、生き残れる。

これを実現するためには、ヤマハの柳会長の「技術力」や、ビジョナリーHDの星崎社長の「スピード感」などがキモであると思いました。

学び3.プランBの準備

ライオンの濱会長から出た質問。

不確実性が高い時代における
伏線の考え方と実現のさせ方
アセットの配分の仕方

要は、既存の「当たり前」が変わり通用しなくなる中での、次の手とアセットを振り分け方をどのように考えるか。

冒頭のプレゼンでロイヤルHDの菊池会長が語っていたことへの更問い
改めて、菊池会長からこのようなコメントがありました。

自助努力や自社のリソースでできることはプランA、他のリソースを活用してでもやることをプランB、と考える。
プランAは、組織の再構成、間接コストの削減。レストランはソーシャルディスタンスを取るので売上は戻らない、ホテルや機内食などは、インバウンド需要が数年戻らない。そうした中での戦略と財務の再構築のこと。

プランBは、 外部リソースを借りてでもやること。DXの推進のために合弁
を行う、など。時間が大事なので、ポテンシャルを、投資銀行などとディスカッションしている。全く異なるルールでやる、当たり前を変える、そのために外のリソースを有効に活用する。

これは自社でできることを見極めつつ、他社を交えても作り上げたい世界をイメージできるからこそ言えるものです。特に、外食・コントラクト(サービスエリア運営)・機内食・ホテルとポートフォリオを組み、リスクを分散していたと思っていたのに出来ていなかった、という振り返りを踏まえてのこの発言に、重みを感じました。

ちなみに菊池会長の「新聞がネットニュースに代わり、銀行や証券もオンラインになったような変化が起きた。日本の外食におけるそうしたデジタル化まだ先のこと、と思っていた。しかし、コロナでそれが加速した。」という発言も印象的でした。

このいずれの菊池会長のご発言は、全て立場こそ違えど日々考えていることだから印象に残っているのだな、と書きながら思いました。

この他にも、お客様は「選択肢」があることに気づいたことや、「当たり前」が変わったなど、いろいろと考えるきっかけが満載で、予定時間を延長して終わりました。

余談:学ぶ場の意味

常々、学ぶ場は「新たな気づきを得るためのパスポート」であると考えています。内田先生が在学中に「知識は陳腐化するが、つながりは陳腐化しない。つながりを大事に」「大学の価値は卒業生の活躍で決まる」と仰っていたことも、思い出しました

ゆえに、引き続き学ぶ機会を増やすと共に、その「コミュニティ」の充実に微力ながら貢献したいと思っています。早稲田大学ビジネススクールとの関わりでは、つながる機会をいろいろと作ると共に、何より、今宵の学びを日々に生かして成果を上げ、自分が会議に参加できるようにならねば、と思い新たにしました。

今日は改めて、自分が早稲田大学ビジネススクールという「パスポート」を手に入れられていたことに、心から感謝する2時間でした。企画してくださった内田先生、菅野先生、事務局のみなさんそして、ご参加の経営者のみなさん、ありがとうございました。


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