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今、なぜ、コミュニティなのか?ーアメリカではー

昨日は日本で、今、なぜ、コミュニティなのか?について、述べました。
コミュニティと言えば、業界団体CMXもあるアメリカ。そんなアメリカの人とのつながりの状況は、どのようになっているのでしょうか。

アメリカの平均寿命は短くなっている

『Journal of the American Medical Association』の調査によれば、米国の平均寿命は短くなっています。

1959年から2016年の間に、医学の進歩、特にがん治療と心臓医療の分野の進歩により69.9歳から78.9歳に伸びたものの、2014年以降は3年連続で短くなり78.6歳となっています。
(ちなみに日本の平均年齢は世界ランク第2位の85.7歳。1位はスペインの85.8歳です。)

平均寿命が短くなっている理由の一つは、25歳から64歳の死亡者数が増加していること。働き盛りの世代が、亡くなっているのです。

この年齢層の人々の死亡率は、35の原因で上昇しています。肥満に関連した死亡率は114%上昇し、高血症に関連した死亡率は約80%上昇しています。
しかし、それ以上の原因があります。それは経済格差の拡大などで社会から取り残されたことによる「絶望死」です。

孤独は肥満よりも問題

他にもこうした状況を示唆する動きがあります。

NewsP icksでも採り上げられていましたが、アメリカ心理学会(American Psychological Association)の2017年年次総会において、「孤独感」と「社会的孤立」は肥満よりも公衆衛生上の大きな危険を表している可能性がある、と発表されました。

Brigham Young UniversityのJulianne Holt-Lunstad博士はこう語ります。

社会的に他者とつながることは、人間の基本的なニーズであると広く考えられています。これは、幸福(well-being)と生存の両方に不可欠です。
しかし、アメリカの人口の中で、定期的に孤立を感じる人の割合は増えています

アメリカの高齢者の孤独

AARP(旧アメリカ退職者協会)の調査によれば、45歳以上の調査対象の35%は孤独を感じているそうです。

また、若年者は高齢者層よりも孤独率が高いと報告されています(孤独を感じている割合が、70歳以上は25%であるのに対して、45-49歳は43%)。

孤独を感じていると回答した人は、宗教的なサービスに参加したり、ボランティア活動をしたり、コミュニティ組織に参加したり、趣味に時間を費やしたりするなど、ソーシャルネットワークを構築する活動への関与が低いようです。

アメリカの若年層の孤独

では、さらに若い世代はどのような状況なのでしょうか。
1990年代半ばから2000年代半ばに生まれた世代「iGen」。この世代は、思春期をスマートフォンと共に過ごす最初の世代。そんな世代を追いかけたSan Diego State Universityの心理学のJean M. Twenge博士の著書「iGen」でこのように述べています。

ソーシャルメディアやテキストメッセージが他のアクティビティに取って代わるので、iGenは友人と直接会う時間が少なくなります。これはおそらく、前例のないレベルの不安、抑うつ、孤独の一因となります。

では、どうすればいいか

「コミュニティ」です。
「コミュニティ」を作り、そこに参加を促すことが、解決策の一つとして考えらます。以下のいずれの研究者もBusiness Insider(以下BI)に、次の通りその重要性を述べています。

AARPの調査を行ったスティーブン・ウルフ氏は、平均寿命が短くなっている背景には経済格差の拡大があり、その対策については次の通り述べています。

政府は社会から取り残されたコミュニティに投資し、中流階級の家族の財政的負担を軽減するために努力する必要がある

ハーバード大学の研究者もBIに対し、アメリカの政策立案者は平均寿命が短くなっている「主要な原因」にもっと注意を払う必要があるとして、このように述べています。

例えば、より活発な社会的つながりを促進する強力なコミュニティを構築することや、経済的絶望に直面しているアメリカ人の生きる目的意識(a sense of purpose)を再構築するのを助けることなどだ

ハーバード大学T・H・チャン・スクールの公衆衛生学のハワード・コウ教授もこのように語ります。

公衆衛生の世界では、健康にとって医者の診察室よりもはるかに重要な場所があることが理解されつつある。それは、人々が住んで、学び、遊び、そして祈る場所だ。

まとめ

コミュニティ 先進国と思われているアメリカも、経済格差の進行による「格差」による地域社会の崩壊や、スマホやソーシャルネットワークの普及などによる孤立を感じる人々の増加が生じています。
昨日、日本でのコミュニティブームの背景として挙げた「ソーシャルネットワーク」と「スマホ」の普及は、アメリカでは逆にコミュニティを必要とする状況を生み出すことになっているようです(日本も同様かもしれません)。

その解決策として挙げられるのが「コミュニティ」
政府の力を活用し、経済発展から取り残されてきた地域コミュニティの再興や、共通の目的意識に基づくコミュニティ形成とその活動への参加があれば、状況は変わるのかもしれません。

実はこの解決策の促進に貢献するのが…Facebookです。その取り組みは、明日、まとめます。

そして、これを日曜日の夜に書きながら、最も身近なコミュニティの一つである「家族」との時間をより大切にしよう、と個人的には思ったりしました。



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