シクロクロス全日本選手権 2021 : Race Report
大会名:全日本自転車競技選手権 シクロクロス
開催日:2021年12月12日(日)
場所:茨城県土浦市りんりんポート土浦 特設コース
カテゴリー :Men Elite
距離 x 周回数 : 0.3+2.7km×10 Laps = 27.3km
結果:6位
JCX#6能登から2週間後の12/12(日)、茨城県土浦市の「りんりんポート土浦・川口運動公園」特設会場で「第27回 全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス」が開催された。
土浦開催で移動のストレスもなく、マスターズのレースを見学したかったので土曜日早朝に出発したものの、前日受付もあり土浦なのに宿泊をして万全の体制で臨んだ。
目標
2012年に本格的に再開したシクロクロス。翌13年にC1に昇格してから全日本選手権には8年連続で参加させてもらっている。15年の飯山と19年の内子ではベストな走りができたけど、それ以外ではなかなか思うような走りができていない。特に20年の飯山はミスの連続でメンタルがやられまくったレースだった。
今年の目標はずばり、「過去最高位かつ5位以内。」
理由は、参加メンバーを見て、仮に超ベストな走りができたときには5位を取れるイメージが湧いたから。
【過去の全日本選手権成績】
2013 滋賀県マキノ:DNF
2014 宮城県菅生:13位(-2Laps)
2015 長野県飯山:9位
2016 栃木県宇都宮:14位
2017 長野県野辺山:15位
2018 滋賀県マキノ:21位
2019 愛媛県内子:9位
2020 長野県飯山:15位(-2Laps)
全日本選手権までの過ごし方
JCX能登を走って、とにかく疲労が溜まっててパフォーマンスがガタ落ちしている課題に直面した。思えば(というか元々わかっていたけど)MTB全日本選手権の長距離遠征から、翌日にチャンピオンシステム稲城CXスクール、そして能登遠征と続き、水~金の平日も前2日仕事してない分の借金返済で苦戦していたので、44歳の体力自慢できないタイプなので疲れるのも当たり前だなと。
能登から全日本選手権までの2週間は「①とにかく疲労を抜く」ことと、「②パフォーマンスを落とさず、短時間で今のベストに上げていく」ことを目的に過ごした。
久々のレースのない週末は、ロードで気持ちよく長めに乗りたかったがグッとこらえたりした(笑)。刺激は12/3(金)と5(日)にCXで短時間レースペース走で追い込む程度。
プラスして、12/7(火)には年一回の自分へのご褒美「スポーツアロマコンディショニング」で軽部先生にしっかりボディメンテナンスをしてもらったので、蓄積疲労をしっかり抜くことができた。
ちなみに前日土曜日のStravaスコアは、フィットネス(CTL)が80、疲労(ATL)が60。CTLは年間通して最低値だけど、レース続きで11月12月の練習量が落ちているのと、あくまでも仮想数値なのであまり気にせず。TSBが20で疲労が抜けていると思われる状態なので数値は狙い通り。
コース
「りんりんポート土浦」と隣接する芝エリア、陸上競技場「JCOMフィールド土浦」の外周のキャンバー区間などを使った、芝路面が大部分で折り返し区間が多く、急なキャンバー登りを一ヶ所含む一周2.7kmの特設コース。
基本的には高低差のないハイスピードコースだが、霞ヶ浦に隣接しているためか、朝露で濡れたあと各コーナーが掘れたことで、当日はレースペースで走るとテクニカルな区間に変貌した。
また、スタートは陸上競技場のタータントラックを使い、約150mで細かい砂利が敷かれたコース幅が狭くなる区間。その後、舗装路を150m抜けると芝のインフィールド区間に入っていく。
試走は今回女子エリートの渡部春雅選手と他選手に合わせてレクチャしたのがほとんどで、普段はレースペースで各コーナーを試すが、疲労をためないようにするために終始軽めに走ることにした。ただし、最後のキャンバー区間は駐車場から近かったこともあり、レクチャしがてら10回以上反復練習した。
バイクセッティング
TCX(XSサイズ)+ GIANT SLR 42 Hooklessホイールシステム に IRC SERAC CX EDGE チューブレスタイヤのいつものド定番機材。今年は春の千葉CX含めて5戦中5戦すべてでEDGEを使用しているが、会場入り前の情報と天気予報の崩れがないことで会場入り前にEDGEでほぼ確定していたが、試走1周目で100%EDGEで良いことを確信した。
空気圧は「1.45/1.50/1.55」と試して、現体重(52.5kg)での基準となる「1.45bar」に決めた。ただし、レース開始が14:30で、気温低下を加味してスタートバイクは「1.47bar」でセット。
ちなみに、女子エリートで優勝したLivサポートの渡部春雅選手(明治大学)のタイヤもEDGEに変更。
レースキット
スタート時の予想気温は14℃。ゴール時点の予報も13℃と暖かい中での開催となったので、ウェアは迷わず「ChampionSystem APEX サマースキンスーツ」に。スリーブレスのメッシュインナーを着用した。足元もいつもの「APEX エアロレースソックス」で少しでも空気抵抗を減らすことを意識した。
ちなみにゼッケンの取り付け方は「空気抵抗」と「ウェアの保護」を意識している。最下部を留めていないのは、ライディングフォームで一番ストレッチする場所でウェア生地に負担がかかるため、今回のサイズ感であれば最下部は着けず、腰のステッチ部分で止めることでウェアが切れることを防止している。
レース
今年は国内UCIレースでUCIポイントを獲得することができず、ゼッケン12番で2列目に並ぶ。前記のとおり、今回もスタート後の位置取りが大事なコースレイアウトなので、コールアップ直前までペダルキャッチから加速のスタート練習を繰り返した。昨年の全日本選手権では、スタート直後にペダル外れが3回あり、2列目スタートを無駄にして泥区間前に40位くらいまで後退してしまった苦い経験があるから尚更だ。
Photo : Kazutaka Inoue
定刻の5秒前にスタートのホイッスルが鳴る。(ルール上、15秒前のコールからPCPはいつでもスタートすることができる)
ペダルキャッチと加速をスムーズに行え、舗装路に6番手で入ることに成功。優勝候補の沢田(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、小坂(宇都宮ブリッツェン)、織田(弱虫ペダルサイクリングチーム)、竹之内(ToyoFrame)4選手に続いて、丸山(BOMA/ROND CX TEAM)、斎藤、加藤(臼杵レーシング)選手がパックで続く。インフィールドに入ると、後ろのパックは早くも離れ始める。
Photo : Kasukabe Vision FILMz
1周目の後半の泥セクションで前パックから遅れ始めて、その後3名のセカンドパックでレースが進む。
Photo : Itaru Mitsui
3周目のシケインでは、チェーン外れで止まっていた沢田選手に追いつくも、復帰後ものすごいスピードで前方に消えていった。
Photo : Itaru Mitsui
セカンドパックでは、主に後方グループに追いつかれないかを気にしながら前半は3名で声をかけながら先頭交代した。途中、丸山選手が先頭の時にスピードが落ちて、「後ろにおいつかれちゃう」と加藤選手が気にしはじめたので、次の周に先頭に出てスピードを上げる。
Photo : Kasukabe Vision FILMz
中盤以降、後続との差は20秒ほどあり、また前の沢田選手とも15~20秒程度だったので淡々と進むが、舗装路を走ってるとリアタイヤが縦ぶれしたような振動をあげていた。とっさにチューブレスタイヤのビードが少し落ちている状態と認識した。たぶん、シケイン側の舗装路からりんりんポートに入る時にポールカバーの段差に乗り上げてしまったためだ。
Photo : Takashi Saito
加藤選手の後ろでタイヤの空気圧状態を確認しつつ、タイヤに負担をかけてさらなるビード落ちをしないように、コーナリングを攻めすぎないように意識した。この時から、若干滑りやすいコーナーで加藤選手から離されてしまうようになる。
Photo : Kazutaka Inoue
その後、先頭に出なくなった丸山選手に加藤選手が少し苛立ちはじめたので、自分から丸山選手に前に出るように促す。しかし、丸山選手は息遣い含めて辛そうで前に出ることができない、というよりは加藤選手が得意のシケイン前後とインフィールドで前を走りたい感じで、速度が若干上がったので、丸山選手はなおさら前に出れないように見えた。
Photo : Takashi Saito
レース後半、引かないが着いてこれる丸山をまず離そうと、加藤選手と話して、その後2名になる。毎周回、シケインをバニーホップで越える加藤選手から、斎藤・丸山選手は2秒程度離され、その後のコーナーとストレートで踏んで追いつくを繰り返していたが、このときは速度が上がったことで丸山選手が離れた。
Photo : Takashi Saito
幸い、加藤選手は二回目のピット前のコーナーが遅かったので、ここでシケインの借金を毎周回返すことができた。
Photo : Takashi Saito
最終周回に丸山選手と6秒差で入り、シケインで前に行かれたらそこで決まると思い、ピット横から前に出さない作戦で走行していると、加藤選手が「シケインだけ前に行かせて」と耳を疑うような要望が(笑)。心のなかで「そんなことするわけねーだろ、ボ○っ!」と叫んで、シケイン手前で速度を上げたものの、まだまだ元気だった加藤選手に抜かれてしまい、このレースで最高速度じゃないかと思える侵入でバニーホップしていった。心の中で「失敗してくれ!」と願うも、美しくバニーホップで越えていった加藤選手との差は一気に開いてしまった。
Photo : Kazutaka Inoue
その後も差を縮めるどころか広がってしまい、最後は12秒差をつけられて6位でゴール。
Photo : Itaru Mitsui
数値的には高い目標には一つ届かなかったが、安定したバニーホップを武器にしたで加藤選手が強かったこと、不調だった能登からフィジカルを改善できたこと、全日本選手権過去最高の6位でゴールできたことを考えると100点満点のできだったと思う。
Photo : Kazutaka Inoue
首都圏駅近のロケーションで開催された全日本選手権。大勢の観客の声援を受けながら最高のレースを楽しませてもらいました。
Photo : Kazutaka Inoue
会場で超絶応援してくださった皆様、ピットサポートしてくれた橋本さん&湯浅さん、素晴らしい全日本選手権を開催してくださった運営&審判各位、ありがとうございました!
ゴール後は、フォトグラファーの三井さんの声かけで、全日本選手権エリート完走者による #TCX友の会 をしていただきました。
Photo : Itaru Mitsui
AJOCC公式レース動画
リザルト
1: 小坂 光(宇都宮ブリッツェン) 1:00:57
2: 織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) +0:18
3: 竹之内 悠(ToyoFrame) +0:20
4: 沢田 時(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +1:27
5: 加藤 健悟(臼杵レーシング) +1:36
6: 斎藤 朋寛(RIDELIFE GIANT) +1:48
ラップタイム
使用機材
Bike : GIANT TCX ADVANCED PRO (XS-size)
Wheel : GIANT SLR 1 42 Hookless Wheelsystem
Compo : SHIMANO Ultegra & DuraAce Di2
Gear : 42 x 11-30T
Tire : IRC SERAC CX EDGE F&R/1.47bar [体重 : 52.5kg]
RaceKit : Champion System APEX サマースキンスーツ
今回のビード落ち状態でも、エア漏れなく、レースの約半分を走り切ることができたのはGIANT HooklessカーボンリムとIRC SERAC CX EDGEの密着が優れていたから。今後よりこのセットアップで使うことに自信がもてた全日本選手権でした。