眼福ならぬ耳福。犀の角の藤村ナイトに行ってきた。
8月27日(土)、犀の角で行われていた『藤村と出会う朗読と音楽のひととき〜藤村ナイト〜』へ行ってきたので感想を綴ろうと思います。と言っても、Twitterにあげたものの再編集です。ご了承ください。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85964804/picture_pc_00d6a2f2276d8fb77ca8443e5dff12e1.png?width=1200)
一言で表すと「眼福」ならぬ「耳福」(そんな言葉ないけど)。パフォーマーがみんな違って、みんないい声で朗読するもんだから、耳が幸せ。島崎藤村はほとんど読んだことがない。好きな漫画に「初恋」が載ってて、気になって調べたくらい。
今回は、小説、詩、写生文…と藤村が残したさまざまな作品をフルコースの料理よろしく聞かせてもらった。
トップバッターは二口大学さん。紀行文『地中海の旅』をずっしりと、それでいて軽やかに藤村の父への思いを読み上げる。
続く佐藤こころさんは、童話『ふるさと』を優しく読み聞かせてくれた。
写生文『千曲川のスケッチ』では、藤村が上田の屠牛場で目にしたものを、犀の角の代表・荒井洋文さんが迫力満点に朗読。
松崎晃さんは、小説『破戒』の一節を。丑松の目に映るきらめきがヒシヒシと伝わってきた。
GOKUさんによる詩『草枕』の朗読は、小野秀さんの音楽と共に、波紋が広がるように、波打つように会場を包んでいくのを感じた。
詩『椰子の実』からインスピレーションを受けたという音楽を小野さんが演奏する。障子に映った詩を眺めながら、音楽に心を揺らす時間だった。
オープンマイク。松本から来た方が5分間藤村作品を朗読。これまた素敵な声から聞こえてくるのは「孤独のグルメ」ばりの料理描写だった。藤村は、料理の描写にも定評があるらしい。
二口大学さん、山本晃子さんによる小説『家』の朗読。事前に背景や相関図を説明してくれるという親切設計に感謝。
続く快楽亭狂志さんによる小説『夜明け前』。『夜明け前』は、昨年犀の角で舞台を観たので、ちょっと親しみのある作品。快楽亭さんの声がまた良い。
『ある女の生涯』は、メインディッシュ。100分ある作品を40分に抜粋したというボリューム感。山本晃子さん、山﨑到子さんが壊れていく藤村の姉を読み上げる。正直、結構怖かった。でも同時に切なくもあり、悲しかった。
フィナーレは、戯曲「『夜明け前 第二部』への習作」岸亜弓さんの書きたてほやほやの戯曲をパフォーマーたち読み上げる。『夜明け前 第二部』楽しみだ。来年度末か…遠いな…。
感想未満みたいな感想になってしまった感は否めないけど、総じて良い夜が過ごせたということが伝わると嬉しい。朗読ということで、目を閉じ、耳を傾け、声に身を委ねるような感覚で聞いていた。演劇もいいけど、朗読も良い。また機会があれば、聞きに行きたい。藤村だけでなく、朗読の良さも知った夜。
次は、小諸。
藤村が足繁く通ったという中棚荘で行われるそうです。
「藤村と出会う朗読と音楽のひととき」
【日時】9月11日(日) 17時開演
(開場は開演の30分前)
【会場】中棚荘はりこし亭
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?