映画を届ける人々よ。ー『シュシュシュの娘』と『東京自転車節』の話ー
なんだか幸せな2日間だった。
『シュシュシュの娘』と『東京自転車節』
劇映画とドキュメンタリー。
形も内容も違うけど、
どちらもコロナ禍で生まれた作品だ。
入江悠監督の10年ぶりの自主制作映画『シュシュシュの娘』
コロナ禍で苦境に立たされたミニシアターを応援するという志の下、監督自身の出資やクラウドファンディングを通して集まった資金で作られた映画だ。それだけでもかなり胸熱なのだが、個人的には茨城出身の俳優・根矢涼香さんが出演されてるのでとても楽しみにしていた。うえだ城下町映画祭で出会って以来、いつか根矢さんを上田映劇のスクリーンで見たいと思っていたので夢が叶った。映画の中の根矢さんは、北関東的なガラの悪さが最高だった。埼玉が北関東かはさておき、映画の舞台となった深谷市(作中では福谷市)の景色がなんだか懐かしかった。空の広さが地元のと似てるのだろう。詳しい内容については映画を観て欲しいので割愛。(公式サイトに掲載されたインターンスタッフの声がとても良い)
青柳拓監督のドキュメンタリー映画『東京自転車節』
2020年、最初の緊急事態宣言下の東京を自転車配達員として駆け抜けた青柳監督。その様子をカメラに収めた本作。こちらもまたスクリーンに映る景色が懐かしかった。映画の中でたびたび登場する新宿の街は、東京に住んでいた時によく歩いたところばかりだった。でも、人がいなさすぎてなんだか違う街に見えた。雨が降ると注文が増える自転車配達業。悪天候の中チャリを漕ぐ監督の姿も、布団の誘惑に負けて休む姿も、赤裸々に映し出されすぎてドキドキしてしまった。自転車を漕ぐという身体的な強さに加え、それを映画にする精神的な強さもある人だなと思った。
その2つの作品の舞台挨拶が8月27日、28日と立て続けに上田映劇で行われた。入江監督は京都のミニシアター・出町座さんの券売機Tシャツを着て、青柳監督はUber Eatsの大きなバッグを背負って上田映劇へと来てくれた。
『シュシュシュの娘』の舞台挨拶は、入江監督と上田の関係やミニシアターを応援することについて、オーディションや自主制作映画ならではの現場の様子など盛りだくさんだった。この舞台挨拶をきっかけに初めて上田映劇に足を運んだという人も会場にいた。それがたまらなく嬉しくて、今もなお噛み締めてる。あとやっぱりFCU(フカヤ・シネマティック・ユニバース)構想の話は何度思い出してもにやにやする。
『東京自転車節』の舞台挨拶は、僭越ながら司会をさせてもらった。Uber Eats基礎知識から撮影方法、前作『ひいくんのあるく町』のひいくんの近況など、自分が聞きたいことを聞きすぎてお客さんの質問タイムが短くなってしまった。反省。でも、楽しかった。翌日、『東京自転車節』の公式さんも青柳監督もそれぞれのSNSで「司会はもぎりのやぎちゃん」と書いてくれて嬉しくなったり、恐縮したり。
ここまで書いておいて、結局、私は何を書きたかったのかと考え込む。上手く言えない。なんとなく「映画を届けてくれてありがとう」というシンプルな気持ちかもしれない、と思う。入江監督も青柳監督もSNSを見ると色んな劇場で舞台挨拶を行ってる。とても丁寧に丁寧に映画を届けるその姿を、私は書き残したかったのかもしれない。観るとなんだか元気になる。明日も頑張ろうと思える。そんな2つの、全く違う、でも同じ時代に生まれた映画の話。
(上田映劇でどちらも9/10まで上映してるよ!)
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