頭は、その次だ

味で見る人の評には、要を尽くしている割合に案外聴くべき所が少ないが、感じで敲かれるとどこか痛く身に応える所がある。濱田庄司
味は作品の細部の風合い、感じは全体の印象。「味」はある程度狙って出せるが、「感じ」は違うという。したがって、素人の評の方がこわいと。

と言うのは鷲田清一*。だから、玄人の評がだめで素人の評がよいというわけでもないだろうと思う。どちらも、自分とは違った見方を示してくれたなら、それは自分にとって有用なはず。

赤瀬川原平は、展覧会での自身の作法について、まず全体をさーっと見て、その後に自分が欲しいと思った絵をじっくり観るという意味のことを書いていた。それを読んだ後からは、そのやり方が僕の観方になった。

そして、頭(知識)で見ないでまずは自分の感覚(印象)を大事にすることから出発するというのは、何に限らず大事なことであると思う。頭はその次だ。(F)

* 「折々のことば1263」 朝日新聞朝刊 2018.10.21

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