切妻とポストモダン

フジモトセンセイがアイラ島の切り妻屋根の具体と抽象について書いているのでおもいだしたのだが、確かワタナベクンの卒業論文は 鹿沼の町並みについてで、妻入か平入かがテーマだったと記憶している。いや、卒業論文の発表を聞いていて疑問が湧いてきたのだったか、ちょっと記憶が曖昧。妻入平入が建物の用途により決定されているのではないかと仮説をしてみたのだが、その後明確な答えは出なかったように記憶している。

切り妻と言えば、最近の建築には「家形」のアイコンとして節操なく使われている。少し前にはそれはポストモダンを標榜するイコンだったが、真のポストモダン時代が到来したと言うべきか、ポストモダンという文脈からは解離して使われている様子だ。

切り妻とポストモダンで思い出されるのは、ジェームズ・スターリングのクローギャラリー。僕が初めて買った建築雑誌がa+uで、その表紙だったのでよく覚えている。テートギャラリーにターナーの展示用に増設された施設。クラシックな中に当時のポストモダン的なポップさを取り入れている。

ジェームズ・スターリングのクローギャラリーは内部もとても素敵で、ゆで卵のような白と黄色の壁や、紫色のアーチ開口などが印象的だ。

僕の建築人生はまさにポストモダンど真ん中からのスタートだった。教会の設計課題でそのファサードをそっくり引用(パクリ?)した事もしっかりと記憶している。引用の引用という二重構造がまさにポストモダン的だと当時の講評会で誉められ、それが今日のいい加減な建築ポリシーへと助長されたと自覚している。Y


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