今日を肴に、今宵も一杯。⑥バスクチーズケーキ
前回はこちら。
「今日はケーキが食べたい。」
何もない日でも、そう思う日がある。
私の家では、夫婦それぞれ一人時間を持つ「フリーデー」をたまに設けている。
そして、今日は夫のフリーデー。
散髪屋に行ってダーツ場に行ってホームセンター巡りをしてから整体に行ってくるらしい。
おうおうフニャフニャにされてこい。
ということで、今日は息子と二人きりの休日。
お昼は家にあったパスタで簡単に済ませ、皿を下げている途中に、突然「今日は、デザートにケーキ食べるのはどうかなぁ?」と言い始めた。
どうしたいきなり。
私は、息子のこういう提案型の聞き方にとことん弱い。幼い頭で知恵を絞って、なんとか成功率の高そうな提案をしようとしたのだろうと思うと笑いが出てくる。
よし。ケーキ屋に行こう(激甘)。
向かったのは、駅の近くのちょっとおしゃれなケーキ屋さん。休日だからか、店内は人で賑わっていた。
息子と一緒にショーケースを覗く。
定番のケーキはもちろん、マカロンやモンブラン、さつまいもタルトなど、季節のケーキがずらりと並んでいる。
どれがいい?と聞くと、「えっとねー…。いちごのやつとコチョのやつとぶどうのやつと…」。
そんな小さな胃袋に目一杯糖分を詰め込もうとするんじゃないよ。
色んなケーキを指さす息子を尻目に、私も胃袋と相談しながらケーキを選びにかかる。
いちごのショートケーキは、特別な日だよね。
ガトーショコラはアラサーの胃袋にはちょっと重いかな。
モンブラン…。ここのはラム酒が効いてるから息子に「ちょうだい!」と言われた時にシェアできなくて泣かれるのが目に浮かぶ。
ウンウン悩んでいるところふと目に入ってきたのが、シンプルな「バスクチーズケーキ」。
黒い焦げがしっかりついて、中は半熟で濃厚そうで、ちょっと小ぶりでサイズ感もぴったり。
よし、今日はこれにしよう。
息子の選んだショートケーキと、夫用のさつまいもとバナナのタルト、そして私用のバスクチーズケーキが入った箱を店員さんが「大事に持ってね」と、息子に手渡す。
キラキラとした目で大きくうなづき、店員さんにバイバイをしてそーっとケーキを大事そうに車まで運ぶ。ホッ…。
家の駐車場に着き、車を降りた瞬間、ドアまで全速力で走り出す息子。
暴れ出す息子の手の中の箱。
うんうん。だよね(諦観)。
夕闇が深くなってきた頃、夫も大量の買い物袋を抱えて帰ってきた。
中には卵や野菜、冷凍うどん、豆乳 etc…。
すごい助かるけれども休めたのか本当に。
そう思ったが、いつもは丸まっている背中が、少しシャンとしている。
よかったよかった。
軽めの夕飯を食べた後、息子には牛乳を、夫にはコーヒーを入れる。
私も、いつもならここで大好きな地元の紅茶屋さんのノンカフェイン紅茶を入れるのだが、今日はバスクチーズケーキで飲む。
個人的な見解だが、ケーキとお酒は合う。
ラム酒やスパークリングのワインや日本酒なんかで食べるのも好きだが、今日合わせるのは、「ヱビス プレミアムブラック」。
いわゆる黒ビールだ。
ビールはおつまみや揚げ物にしか合わないなんて誰が決めた(腕組み)。
バスクチーズケーキの濃厚な甘さと酸味にはコーヒーのような苦味や酸味、コクのある黒ビールがぴったり。まぁ私コーヒー飲めないんですけど。
早々に牛乳を飲み終えた息子は、「みそ汁飲みたいねぇー」と言い出す。
甘い&しょっぱいループをその歳にして知るか。
…まぁ、好きな漫画ブロガーさんがおすすめしているのをみてから私がたまにやっているやつだから文句は言えないな…。
いつも食後は、バタバタ明日の準備をしたり、皿を洗ったりするけれど、今日は家族みんなケーキを食べ終え、しばしゆっくり。
明日からまた慌ただしい一週間が始まる。
戦場に赴くからこそ、たまには、お酒と甘いもので自分を甘やかす時間が必要だ。
明日からまたがんばろう。
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