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おしぼりのぬくもり。屈託のない笑顔での歓迎。リノベーション集団[NENGO(ネンゴ)](1)


雪がちらつく2月中旬。PORTER'S PAINTSでおなじみのNENGOさんに伺ったときのことをここに残しておく。

スタッフの皆さんの屈託のない笑顔がひたすら思い出される。

1階はPORTER'S PAINTSのための倉庫兼作業場となっており、2階がオフィス。階段を上がって受付を済ませソファに腰掛ける。トールボーイスピーカーから音楽が流れて、しばらくすると熱いお茶と温かいおしぼりが。ありがとうございます。。

コミュニケーション推進室の河原大悟さんのお話しには、NENGOの熱い想いが伝わってくる。

NENGOがミッションとしているところは、「100年後のまちづくり」という壮大なもの。かといって都市を作っていこうというわけではない。

「その瞬間その場所に住む人にとって便利であること、果たしてそれを理由としてその街に移り住むでしょうか。それよりも私たちは、気候、風土、歴史、文化といった、人にとって普遍的な価値を具現化することを目標にしているんです」(河原さん)

システムを作ることが目標なのではなく、あくまでも発想は人単位。お客様の意向を聞くための名物アンケートがある。「ライフスタイルシート」がそれだが、A4で5〜10枚にも及ぶもので、濃密な内容を求められる。

「目の前の人を幸せにしよう」がNENGOの企業理念。家族や友人に接するときと同じように考える。スタッフとお客様、どちらに対しても同じことを語ろう。そして目先の利益に惑わされることなく目の前のお客様にとってのベストソリューションを提供しよう。

長期に亘る信頼を得るには、遠回りのようでいて正攻法しかないことを正面から言い切ってしまう潔さ。好き嫌いが分かれると思うけれど、そうした姿勢だから、たくさんある中からNENGOを選ぼうというお客様を、NENGOの方から自然と選び取ってきたのだとおもう。

ヒューマンメイドで和のテイストに馴染むペイント。

NENGOは1983年に耐火被覆工事からはじまった会社で、現在の2代目 的場敏之さんになって断熱工事事業を追加。さらに、スクラップアンドビルドの住宅のあり方に疑問をもち、家に愛着を抱いてもらう手段としてPORTER'S PAINTSを始めたという。

その発想の原点は、子ども達の成長に合わせて柱に傷を付けるとか、家族の成長を家に刻むことの素晴らしさを表現したいという考え方にあった。長く住まう家に家族で手を掛けることができる手段の一つとして、「家族で塗る」ことを思いつく。そして、世界でいちばんのペイントを探し求めた結果、オーストラリアのPORTER'S PAINTSにたどり着いた。何年も本国と掛け合い、2001年に日本総代理店の資格を得た結果、いまに至る。

このペイントの特徴は、たとえ同じ色でも質感の異なる表現ができること。中に含まれる粒子の大きさや素材=ベースを違えるのだという。この壁は色としては同じだが、ベースが異なるだけで5とおりの仕上げを塗り分けられる。

鉄錆びの仕上げ。これは実際に鉄を含み酸化剤を掛けることによって実現しているので、鉄さび”風”ではなく、実際に「鉄が錆びている」。

緑青の表現も実際に銅が含まれている。

このように室内の壁にざらざらの左官仕上げというのは、海外では外装にしか用いないのに、日本で人気。それはもちろん、漆喰のコテ仕上げが和室の定番として使われてきたため、むしろ自然なのだろう。

PORTER'S PAINTSには、ローラーなどではなく、イノブタの毛でできた独自の刷毛を使うという。この応接室は、週二回のペイントセミナーで壁が塗り替えられる。にもかかわらず、天然素材由来のためかペンキ特有の匂いは全くしない。

続く。

いい音&大画面があることで日々の暮らしが豊かに。住宅というハコ、インテリアという見た目だけでない、ちょっとコダワリ派の肌が合う人たち同士が集まる暮らし方を考えていきたいと思っています。