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創造性|研究メモ

MIT認知科学大事典』、『人工知能とどうつきあうか:哲学から考える』7章のメモ

「創造性」

新しくて価値のあるアイデアや行為、事物などを生み出すこと
創造性は文化的な背景に依存する

ボーデン (Boden 2004)

1) 新しく 2)驚異的であり 3)価値がある アイデアや人工物を生み出す能力
創造性の分類
・結合的創造性 既存の領域を結びつけることで価値を創出する
・探索的創造性 既知の空間の中で新しいアイデアを発見する
・変形的創造性 現状の問題空間の制約を否定することで問題空間を変形させる(AIには困難か)

「新しさ」

心理的創造性:本人にとって新しい。新しく、価値のあることをやっているという自己評価
歴史的創造性:これまでにない、発見されていない
(歴史的創造性は常に心理的創造性を伴う)

初期の創造性研究

  • 天才と狂気について Cesare Lombrosom

  • 天才の遺伝的研究 Francis Galton

    レンガの使い方テスト物の非凡な使い方テストは依然として多くの創造性の検査や研究の基礎となっている。(Torrance 1988)

創造プロセスの段階

パッとつく瞬間的なひらめきではない
「斬新な業績」ははるかに長いプロセスの末に産まれる
このプロセスの分類は(Wallas 1926)
1. 準備
特定の領域への没頭、何らかの未解決の問題に対する好奇心を要する
(専門領域を熟知していて、その領域の発達水準に不満を持っている状況)
創造的解決を必要とする最も重要な問題が発見されるのは、ある個人が問題状況と何とか折り合いをつけようとしているときである(Getzels 1964)
2. 孵化
孵化期:本人が問題を解こうとしていないときに、意識下で未解決の問題が活性化し続けている
3. 洞察
アイデア間の斬新な組み合わせが意識に上る瞬間
いわゆるEureka!, Aha!だが、前後のプロセスがないと生じない
4. 評価
特定領域の規則や習慣に従って意識的に評価されなければならない
建設的な批判に耐えうるアイデア
5. 精緻化
アイデアを現実化する
心の中ですでに形になっているモデルの単なる写しをつくる訳では無い。
創造的な業績の多くは、創造者が自分の洞察(やアイデア)を具体的な成果に移行する課程で、劇的な変化を遂げる。

拡散的思考

  • 独創的に考える人の明らかな特徴は「拡散的思考 divergent thinking」(↔収束的思考 convergent thinking)

  • しかし拡散的思考テストと創造的達成との間の相関は低い。スピードと量を除けば質的には普通の人とかわらない(Simon 1988, 1990)

  • その他、衝動性、自信、内向性、超然性、反抗性(Fetzals and Csikszentmihalyi 1996) などが挙げられるが、特性の集合によって特徴づけられるのではなく、むしろ種々の感覚を通じて世界を経験する能力に特徴づけられるかもしれない。

創造的な人間は生涯を通じて、自分の領域において子供のような好奇心と関心を持ち続け、金銭や社会的地位といった月並みな報酬を超えたところに自分の仕事の価値を置き(Fetzals and Csikszentmihalyi 1976)、主として内発的な理由により仕事を楽しむ(Amabile 1983)。創造性そのものが、まさに報酬なのである。

MIT認知科学大辞典 p.842

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