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「FXの聖杯」公開に向けて11  通貨ペアの選択

 今回は、建玉後の資金回収可能性の観点から選択すべき通貨を紹介します。具体的には、先進国かつ財政破綻の可能性がない国家の通貨であること等の視点から選択しています。


1 MMT(現代貨幣理論)が明らかにしたこと

1.1   現状

  今日までの主流派経済学の主張するお金のプール論、お金の又貸し論など、通貨の実態と全く異なる誤った通貨観がまかりとおっていました。これにより、「国債発行の累積増額は、国家の財政破綻を招く・ハイパーインフレを引き起こす・国債金利の暴騰を招く」との誤った結論を導き出し、日本の経済政策に混乱をもたらしてきました。特に、日本においては、政府の経済委員を務める主流派経済学者の主張や主流派経済を学んできた財務官僚の政策により、上記懸念を避けるため財政破綻論がことさら主張され、そして、これに基づく緊縮財政により、機動的な国債発行が行われませんでした。この緊縮財政政策の結果、日本は、先進国では異例ともいえる30年間もの長期にわたり、殆ど経済成長しないという後進国にも等しい位置にまで後退することとなったのは、財政破綻の現実化はともかく何とも皮肉な結果です。

ところで、「国債発行の累積増額は、国家の財政破綻を招く、あるいは、ハイパーインフレを引き起こす」というのが主流派経済学の主張でしたが、現実には、国債残高の累積が増加し続けているにもかかわらず、国債金利は暴騰するどころか低金利のまま、つまり、国家の破綻リスクはほとんどないとの市場の評価となっています。

ようするに、主流派経済学の主張のことごとくが、2024年現在の現実において否定される結果となっているのです。そして、主流派経済学のMMT批判の態度は、学問の立場からは、到底容認できるものではありません。

数学や物理などでは、特定の見解を主張するとき、その主張が正しいのか、主張者と批判者がお互いに反論・再反論を繰り返し真理到達を目指します。

ところが、主流派経済学のMMT批判の態度は、そのほとんどが、ストローマン(藁人形論法:相手の意見を正しく引用せず、捻じ曲げて引用し、それに反論するという論法)です。 その態度は、もはや学問と呼べるものではありません。

ストローマン - Wikipedia
現代貨幣理論(MMT)批判の種類とポイントまとめ - 進撃の庶民 (shin-geki.com)

もし、読者の中に主流派経済学の勉強をして、FXの勝率をあげようとするなら、その努力は徒労に終わるので、やめておくことをおすすめします。もし、勉強をしたいのならべMMTを学んだ方がはるかによいでしょう。

1.2 MMTの主張の骨子について


 こうした状況下、近年、非主流派経済学である現代貨幣理論(MMT)が、通貨の実態を明らかにしました。MMTの主張を整理すると大体次のようになります。

①通貨観について

   信用創造

②債務不履行(デフォルト)について

   変動相場制を採用し、自国通貨建て通貨発行のできる先進国においては、
(外貨建て債務が過大でなければ)債務不履行(デフォルト)などあり得ない。

※外貨建て債務が過大か否かは、あくまでも自国通貨建て通貨発行能力との比較です。

主流派経済学 - Wikipedia

現代貨幣理論 - Wikipedia 
望月慎(望月夜)|note

「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済〜ー令和元年5月17日 講師:経世論研究所 所長 三橋 貴明氏 (youtube.com)

1.3  MMTの主張骨子をFXに採用する

(1) 債務不履行(デフォルト)について

ア 債務不履行(デフォルト)の可能性の無い国の通貨を選択する

 
FXおいては、MMTの骨子の内、特に、 変動相場制を採用し、自国通貨建て通貨発行のできる先進国においては、(外貨建て債務が過大でなければ)債務不履行(デフォルト)などあり得ない」が重要となります。

つまり、変動相場制を採用し、自国通貨建ての通貨発行のできる先進国において、(外貨建て債務が過大でなければ)債務不履行(デフォルト)などあり得ないのならば、それら先進国の通貨の組合せをFXにおいて選択しておけば、デフォルトリスクはまずあり得ないことを意味します。

(2)先進国
 ア 変動相場制を採用し、自国通貨建て通貨発行ができ、かつ外貨建て国債が過大でない先進国

  
先進国をどこまで含めるかは議論の余地はありますが、ここでは、世界銀行グループの基準(先進国 - Wikipediaを参考に以下の国を例示します。

①アメリカ合衆国
②日本
③イギリス
④カナダ
⑤オーストラリア

※アメリカは、対外債務の多い国ですが、アメリカ国債は、アメリカ合衆国政府にとっては、自国通貨建ての債務に過ぎません。統合政府から見た場合、米連邦準備制度理事会(FRB)は、高インフレという制約はありますが、アメリカ国債の償還に必要なアメリカドルを無制限に発行することができますから債務不履行(デフォルト)はあり得ません。

(3) MMTの骨子に追加すべき視点

ア 先進国の供給能力

(ア)人口数

 FXにおいては、MMTの主張の骨子に追加しておくべき視点がいくつかあります。その一つは、先進国の供給能力です。端的にいうならば、それは国の人口数に基づく供給能力です。供給能力不足は、過度なインフレをもたらし国債等の通貨発行を躊躇させる一要因となり、機動的な財政政策を行えない可能性をもたらします。

この観点からすれば、ニュージーランドは人口500万人程度、香港は人口741万人程度、スイスは人口870万人程度と、人口が1,000万人にも達していません。

したがって、先進国といっても、潜在的な供給能力に不安があるので、FXにおける通貨選択からは外しておくべきです。

(イ) EUについて
 
次に、EUをどのようにとらえておくべきでしょうか。確かに、EU加盟国の人口数は4億4,682万人となっており、供給能力の点では問題ありません。しかし、EU自体は通貨発行(ユーロ)ができるとしても、加盟各国は、個々に自由に通貨発行(ユーロ)できません。そうすると、EU自体に債務不履行(デフォルト)の可能性がないとしても、個々の加盟国の債務不履行(デフォルト)はあり得ます。実際にも、加盟国であるギリシャが債務不履行(デフォルト)を起こしています。

著者は、将来的にはEU参加国がMMTの利点に気づき、EUから脱退する国もでてくるのではないかとの懸念を持っています。もしこの懸念が的中した場合、EU自体が瓦解するおそれもあるので、通貨選択の候補からは外しておくべきと考えます。

以上のことから、FXにおける通貨選択を行う際には、

①アメリカ合衆国
②日本
③イギリス
④カナダ
⑤オーストラリア

の通貨を選択しておけばよいでしょう。

1.4 著者のおすすめ通貨ペアについて

 今後の有料記事で紹介します。

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