悪戯

「じゃぁねー!」
 「また明日」
 「ゔん、また明日ー」

 いつもの道、いつもの夕日そしていつもの…
 こんな日常を見れるのはあと何日なんだろう?

 もう同じ道を歩き続けてもう9年ですらたとうとする、これからのあまりにも不確定過ぎる将来に対する不安と将来の自由を手にするかもしれない喜びに挟まれながら、見慣れた景色を流れ作業の如くいつもの道を歩く。
 
2024/7/24(水)19:00

 プルル
 「こんな時間になんだよ?…はい…え!?」
 職員室に残っていた数名の先生が空気をざわつかせる、ザラザラとした空気にシーンと誰もが一つの電話に集中する。
 「はい…」
 『………で心……』
 「はい」
 『……から……』
 「はいこっちも早急で探します、お母さんは警察に通報してください。」
 『は…』
 ガチャっ
 「安藤先生…えっと…」
 「3年B組の夏目 れいかちゃんが家にかえってこないらしいです。」
 「「「え!!」」」
 騒然とする職員室
 「野生動物に襲われてないといいんですがね…」
 「冗談でもそれは言わないで!」
 「とにかくれいかちゃんを探さないと…」
 「でも明日の授業、どうしよう………」

 一方の夏目家
 ピンポーン
 「………はい………」
 「こういう者です」
 「………はい………」
 「まずは事情をお聞かせください」
 「はい、こちらへ」
 「失礼します」

 「れいかちゃんは無断で友達と遊ぶような子でしたか?」
 「いえ、どんなに中がいい友人でも必ず休日の昼にしか遊ばない子でした中学3年で部活も引退したのでこんな時間までかえってこないのは初めてです」

 「成程、それは心配ですね、学校からの登校ルートに山とか路地裏が近いなんてことはありますか?」
 

 「………はい、登校する道に山があってイノシシの出没注意の看板があります。」
 「うーん、困ったな………」

 「どうされました?」
 警察官は少し頭を抱えた後、口を開く

 「最近増えてるのですよーあの道周辺で人がいなくなるというきかかいなことが」
 「え?それって、れいかもそれと関係が………」
 母は青ざめた表情とともに発した
 「ないとも言えないですね」
 彼女は絶望と怒りを警官にぶつける
 「それであの子は大丈夫なんですか!?」

 「も、申し訳ありません、そんな保証はできないです…」
ため息交じりにソファに座る

 「ただいまぁ」
「あ、お父さんお邪魔しています」
 「あ、はいなんで警察がここに‥」
 「はい、娘さんが帰って来てないという通報がありまして…」
 「………え?れいかが?」
 「それで最近山に付近で起こってる事件にあるんだって」
 「まだそうとは決まってないので分からないですが、その可能性が高いかと…」

 「一つ、質問いいですか?」
 「はい」
 「その事件は遺体とか発見されてたり………」
 「いえ、現状は行方不明者が増加傾向にあり、遺体は発見された例はございません、調査中です」
 「あ………はい、そうですか………わかりました」
 「それでは翌日、事情聴取に罹ります本日は失礼しました」
 「娘をどうか・・・」
 「分かってます、任せてください」

  7/24(水)21:00
  「やっぱり待ってられない」
 「気持ちはわかるが今は待つべきだ」
 誘拐…にしては少し変だ、麻美がパニックの今だからこそ俺が冷静にならないと…
 ガチャっ

 「えっ………?」

 翌日、14:00警察会議室本部
 「これより、旭川 太輔を始め、先日消息不明となった夏目 れいかの捜査会議を始める」
 「はい」
 「これで3回目か」
 「どうなるんでしょうね」

 「消息を絶った3名の予測される場所はこちらです」
 「ご覧のとおり…」
 重い空気の中、それを変えるかの様にたった一人の男性が席から立つ

 「警部、どこへ向かわれるのですか?」
 「なんとなぁーく?外の空気が吸いたくてな、ここじゃ、あたまもまわんねぇーし」
 「かしこまりました、お気をつけて」
 「相変わらずだねー神田警部は」

 スタスタ、確か、消息を断った場所は…ここか。
 山に囲まれていて人の目につかない、拉致するには最適だろう。
 「あ、おじさん!」
 ?
 「どうしたんだい?」
 姿勢を低くし、目線を合わせる
「れいかちゃんはどこにいるのですか?」

 夏目の友達かな?という推察をたて質問を投げる

「君たち、学校はどうしたんだい?」

「学校?」

「しらなぁい」
 そんなはずはない、仮に夏休みだとしても知らないとはこないはず・・・

 
 それとも………

 「そんなことよりおじさん!一緒にあそぼ!」
 「おじさんはね今忙しいんだ」 
 「えー」
 「なんで忙しいの?」

 頭もぼんやりしだしてとにかく思い出そうとしたけど思い出せないので一つ浮かんだ言葉を並べた
 「それはね…言えない…」
 「なんで言えないの隠し事はだめだよ?」
 彼女は彼に視線を合わしもう一度質問を投げる

 「一緒に遊ぼ?………ね?」
 「うん、あそぼう!」
 「やった!」
 
 「何する?」
 「あっちに私達の…があるんだそこに行こう」
 「うん!」
 なんでさっきまでので悩んでいたんだろう?
こんなに楽しいのに………

 ポンっ…
 神田さーん♪あっそびーましょー♪
 不気味ナコエニ反応シ振リ返ルト……

 

 ………一週間後………

 ミーンミンミンミーーーン
 そおっと………「よし、捕まえた!」

 「ねぇ」
 「うあ!………ってびっくりした、紫川かよーこんなとこで何してるんだ?」

 「うん、ちょっとね、あ!虫取りしてるんだ!」
 「ああ!セミ捕まえたんだ」
 「小学生みたい」
 「少年の心は忘れないのが俺のポリシーだからな!」
 「あ、これ上げる」
 「え!こ、これは!いいのか!?」
 「うん、いらないから」
 「やった!これは高く売れるぞぉー」
 彼女が彼に渡したのは恐らく虫だろう………
 事件は人知れず迷宮入り、後に都市伝説として語り継がれたとか。
 しかし虫取りをしてた彼は幼馴染に高く売れる何かをもらったのは確かなことである。

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