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【FV Family vol3】 全国の美味しいパンが自宅に届くパンフォーユーの裏側に迫る

初めまして、F Ventures研究生の川又です。

投資先インタビュー企画第4弾ということで、投資先のフードスタートアップであるパンフォーユー社長の矢野健太氏と、元ルビー・グループ社長であり4月からパンフォーユーにジョインされた西森雅直氏にオンラインインタビューをさせて頂きました。

今回は、お二人それぞれ別々にインタビューさせていただいたので、前編として矢野氏のインタビュー、後編として西森氏のインタビューという構成でお届けさせていただきます。

パンフォーユー ロゴ

パンフォーユー株式会社
「魅力ある仕事を地方に」がビジョン。
日本各地のパン屋さんから独自の冷凍技術によって美味しさを保った冷凍パンが毎月届く、個人向けのパンスクとオフィス向けのオフィスパンスクの主に二つの事業を展開。冷凍パンはレンジで約40秒温めるだけで美味しく食べられる。
現在全国に20以上の店舗が登録している。
ユーザー数は、今年2月に開始したパンスクが4月17日の時点で800名強でオフィスパンスクは150社ほど。

公式サイト https://panforyou.jp/
ピッチ動画 https://youtu.be/lWg53ygvBPs
パン屋さんの声 https://www.youtube.com/watch?v=cO0ZX49-T4M 

【前編】創業者に聞くパンフォーユーと自身のストーリー

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<プロフィール>
・矢野健太(やのけんた)
・1989年生まれ
・群馬県桐生市出身
・京都大学経済学部卒業
・電通 → 教育系ベンチャー → 地域系NPO事務局長 → パンフォーユー創業
・好きなパンはバゲット

「魅力ある仕事を地方に」 地方のパン屋を全国に。

川又: 本日はよろしくお願いいたします。はじめに、パンフォーユーについて教えてください。

矢野氏:  よろしくお願いします!
パンフォーユーは「魅力ある仕事を地方に」という想いから創業して、その中でも地域の独自性や強みを発揮できる食、パンの事業で参入させてもらっています。地域の町のパン屋さんは基本的に商圏が狭いのですが、その商圏をうちの冷凍技術やシステムなどを使って開放することによって地域に貢献していきたいと考えています。

また、地方ではベンチャーのように新しいことに挑戦できる機会や会社が少なく、都市部に比べて職業選択の幅も狭いと思い、僕の地元から盛り上げていこうと群馬県桐生市に本社を置いています。

川又:パンフォーユーはどのようなメンバーで構成されているのですか?

矢野: フルタイムが僕を含めて8名です。インターン生もいたり、パートスタッフさんやエンジニアさんは業務委託させていただいている方もいるので、合わせると20名くらいですね。

初期メンバーは地元群馬を盛り上げるという文脈で集まってくれたメンバーが多かったのですが、会社が大きくなるにつれて、今は単純にパンが好きであったり、小さい頃の夢がパン屋さんで大人になってその時の夢に近づきたいというような人も加わっています。

また、西森や包などスタートアップでの経験豊富なメンバーも入ってきていて、このフェーズとしては珍しいくらい強いメンバーが集まっています

例えば、個人向けのパンスクの事業責任者をやってもらっている包については、新卒でチームラボに入って、株式会社WACULでCTOをやっていました。

西森についてはインターネットの初期の頃からITの世界にいて、最近までルビー・グループの社長をしていました。

パンの美味しさは独自の冷凍技術にあり

川又:パンを冷凍してお客様の元に届ける際の冷凍技術とはどういった技術なのでしょうか。

矢野氏: 冷凍する時にはパンを包む包材が大事なんですが、弊社の包材を使うことで品質の高い状態で冷凍できるというのが弊社の独自技術です。

通常の冷凍パンメーカーでは瞬間冷凍などの設備が必要ですが、パンフォーユーの場合はそういった設備がなくてもクオリティーの高い状態で冷凍できるので、パン屋さんも導入しやすいと思います

もちろん、独自の冷凍技術によって美味しさを損ないません。わかりやすく言うと、焼きたてのパンの状態を100点とすると90点から95点位のクオリティーで冷凍保存が可能です。

実際にパン屋さんで買って、家に持ち帰ってから食べるより、うちのサービスで冷凍されたパンを温めなおして食べたほうがおいしいと思いますね。

力試しをしたくて起業に至る

川又:起業に至るまでの経緯と起業した理由を教えてください。

矢野氏: 大学を卒業した後は新卒で電通に入りまして、僕は当時あまり東京が好きではなかったので、中部支社、名古屋支社に配属させてもらって電車の中吊りや駅の広告担当をやっていました。

そこから教育系のベンチャーに一度入って、その後、地元群馬の桐生NPOキッズバレイから声がかかってそこにUターン転職をして新規事業やプロジェクトの立ち上げをひたすらやっていました。

そして、パンフォーユーを始めているというのが主な経緯ですね。

新卒で入社した電通をやめたのかというと、単純に力試しをしたかったからです。

自分の頃は新卒で実力のある人は外資系の金融機関やコンサルに行く人も多かったですが、彼らも最終的にどこに行き着くかというと、結局最後は起業するみたいな人が多かったので。

特にアメリカでもMBAを取るような優秀な人間は最終的には起業するなと。

起業こそが本当の力試しの場なんだなと思い、新規事業の立ち上げなどを経験し、起業に至りました。

一人でMBOとピボットを同時並行で進めていて死にそうに

川又:起業してからこれまでの中で一番苦労したことは何でしょうか。

矢野 MBO(Management Buyout)とピボットを同時並行で進めていた時は本当に死にそうでした。笑 

創業当初はスタイルブレッドと合弁の会社だったのですが、そこからMBOするとなった時にはまだ次の方向性が見えきっていなかったんですよね。

なので、MBOの準備を進めつつ、同時に次の方向性を探らないと行けなくて。

ですが、結局はそこからなんとかオフィス向けのサービスに方向転換することができて、MBOとほぼ同時期に一番最初のお客さんになってくれたのがCygamesさんでしたね。

当時はパートの方が4名いましたが、フルタイムで働いていたのは僕だけでした。なので、当時入ってもらっていたエンジェルの方に意思決定を助けていただいたものの、MBOとピボットの方向性の最終的な決断を僕一人でするのはすごく大変でした。

とにかくストイックな性格ゆえ高校生の時は勉強漬けで、大学ではアメリカンフットボール漬け

川又:少し本題とは逸れるのですが、そんな矢野さんがどういう性格なのか教えてください。

矢野: そうですね。学生時代、部活をやっていた頃から大変なことが多かったので感情のコントロールには自信があります。

目標をしっかりと定めたら、その目標に向かって努力しきれるということがあるかなと思いますね。

例えば、大学受験のことで言うと、僕は高1の4月から夜9時半に寝て朝3時半に起きて、朝4時から7時まで3時間勉強してから学校に行って、昼休みも学校で誰とも喋らずに勉強してました

部活はハンドボール部だったのですが、ハンドボールを夜までやって帰って、朝は3時半時に起きるみたいな生活をずっと3年間送っていました。

大学では体育系のアメフト部に所属していて、ほとんどアメフトをやっていて勉強もあまりしていなかったので部活漬けの4年間でした。

5年後、10年後、20年後まで見据えて計画中

川又:今は普段の仕事としてはどんなことをやっているんですか。

矢野 最近はかなり実務から離れていて、お金を集めること、人を集めること、各事業ドメインごとにKPIの方向性を示すこと、という主に三つをやっています。

今在籍しているメンバーは自分が裁量を持ってやりたいという人が多いので細かく突っ込まずに方向性だけ示して任せて、走る方向が違っている場合は正すようにする、というようなことをやっています。

川又: パンフォーユーの今後について教えてください。

矢野氏: 2024年ぐらいまではパン一本でやる予定でそれまでにパンに関わるチャネルをちゃんと取りきる、そこから5年は別の食材をやろうと思っています

その次の10年後からは全く別の事業をうちの会社でやろうと思っています

僕の中でパンは見えてきている部分が結構多くて、次の食材もおそらくこうなるだろうなというのが結構見えてきています。

短期で何をやるかということももちろん大事ですが、5年後と30年後でやれることを比べると後者の方がすごい大きなことが出来たりするので、そこに向けて考えることに今は時間を使っています。

大きな絵を描き、今やっていることはそこに向けてやっていると考えると飽きずに焦らずにできるので面白いですね。

起業家には執念と運を引き寄せる普段からの行いが大切

川又:この記事は若手起業家や起業したい若者が多く読んでくださると思うので、アドバイスをお願いします。

矢野起業家に必要なのは執念と運だと思います。絶対に辛いことはあるのでそこを乗り切る力、執念を大切にしてください。また、結局運が大事だと思うので、運が引きつくような人付き合いの仕方や日々の行いは心がけたほうがいいと思いますね。

一人だけでは起業の成功は難しいので、人間関係をしっかりと日々構築していくべきです。

川又: なるほど。本日は素晴らしいお話をたくさん聞かせていただき、本当にありがとうございました。

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【後編】元ルビー・グループ社長の西森雅直氏にインタビュー

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<プロフィール>
・西森雅直(にしもりまさなお)
・新潟県出身
・日本大学文理学部卒業
・前職はルビー・グループの社長
・AOLジャパン、Match.com、ギルトグループなどを経て、今年4月からジョインしたパンフォーユーは9社目

0→1が好きで様々なスタートアップを経験

川又: はじめに、西森さんの簡単な自己紹介や経歴などを教えてください。

西森: 現在パンフォーユーが9社目ですが、かなり昔のインターネットの時代からインターネットに関わっていて、アメリカンオンラインやCNET、Napster、Match.com、ギルトグループ、最近まで社長をしていたルビー・グループなどで働いていました。

小さいスタートアップの会社が多かったかなと思います。

営業やビジネス開発をしていましたが、前職のルビー・グループでは最後の三年は社長をしていたので経営の経験もあります。

川又:なるほど。色々なところで結果を出してきたと思いますが、なぜ9社も色々な会社を渡り歩いているのですか。

西森: 新しいサービスが数多く流れ、無くなったり始まったりの周期が速いので、そうならざるを得なかったという部分が大きいですね。

会社の人数が増えてきてオペレーショナルになってきてそこの歯車の中に入るよりも、個人的には最初の少ない人数の中で働く方が好きなので結果的に渡り歩いています。

10から100や1000にするよりも、0から1にしたり1から10にするくらいが好きですね。

大学生の時にインターネットと出会い、ITの道へ。

川又:大学生活はどんな生活を送っていましたか。

西森氏: 新潟から東京に出てきたばかりだったので、最初は楽しかったですね。しかし、途中からサークルなどいわゆる大学生みたいな生活がつまらなくなってきてしまって、自分でサークルを作ったりしてビジネスっぽいこともやっていました。

携帯電話を売って一台あたりいくらか貰ったり、旅行代理店みたいなこともしていて、そこでビジネスの基本を学びましたね。

バイトもやっていましたので、バイトと自分たちのサークルでの利益がありました。

ただ、それも飽きてしまって、最後はアメリカに友達がいたので二年生の夏にアメリカに行きました。そこでアメリカ人にメールアドレスを聞かれたのですが、僕はまだ持っていなくて日本で周りに持っている人もいなかったので、日本とアメリカとのギャップに驚きました

本格的にインターネットの世界に入ったのは卒業後ですが、思えば、その時が僕のインターネットとの出会いだったと思います。

日本では周りでメールアドレスを持っている人も、ネットで仕事をしている人もいませんでしたが、その時にITの道に進もうと思い、帰国してすぐにパソコンを買いました。

パンフォーユーの事業と矢野氏に惹かれてジョイン

川又:なぜパンフォーユーにジョインしたのですか。

西森氏: 前職で三年間社長をやらせていただいて、辞めた後はまた個人で小さい会社作って事業をやろうかなと思っていました。

そこで、最近は役員募集をしているベンチャー企業が多いということを知り、興味本意でヘッドハンティングサービスに登録してみたんですよね。

ちなみに役員を募集しているベンチャーが多い理由は、起業する人が多くなった一方で、経営を経験したことがある人材が不足していて経営チームを作りにくいからだそうです。

そのヘッドハンティングサービスで矢野さんと知り合いました。実際に会って話してみて、パンフォーユーの事業を面白いと思いました。矢野さんの優秀さに可能性を感じたというのもあり、ジョインさせていただくことになりました。

川又
:なるほど。パンフォーユーのサービスを面白いと思ったということはやはりパンが好きだったりするのですか。

西森
: パンは普通に好きですが、それ以上にパンフォーユー以外の企業さんからも色々お話があった中で、最後は自分の感覚的なところで、パンのサービスって面白いかなと思ったので入りました。

まだジョインしたばかりですが、仕事内容としてはBtoBがメインでして、ECやスーパー、飲食店、イベント向けにパンのOEMを担当する予定です。

若者はチャンスがあるなら起業した方がいい

川又:最後に、この記事はスタートアップに関わる若者が多く読むので、アドバイスなどあればお願いします。

西森: そうですね。僕の若い頃とは違うので、学生でも若くても起業したいのであれば早いうちに起業してしまった方がいいと思いますね。

社長ってやってみないとわからないので。やっぱりチャンスがあるなら経験してみることが大切だと思いますね。

川又 本日はスタートアップの前線で長く戦ってきている西森さんのお話をお聞きすることができて、とても良いインタビューにすることができました。ありがとうございました。

最後に 

今回、パンフォーユー社長の矢野健太氏と、今年4月からパンフォーユーにジョインした元ルビー・グループ社長の西森雅直氏にインタビューさせていただきました。

お二人の過去の話や、パンフォーユーの創業からのストーリー、サービスに込められた想いをお聞きすることができ、とても良いインタビューが出来ました。

本当にありがとうございました。

【パンフォーユーからのお知らせ】
パンフォーユーさんがインターン生を募集しているので、パンが好きで地方創生に関わりたい方は是非応募してみてください! 


【TORYUMONからのお知らせ】

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《参加応募》

最後まで読んでくださりありがとうございました!!!


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