動物は飼い主の身代わりになることがあるのか、
子供の頃、私の家には犬がいました。
「マル」という名前の柴犬です。
マルは祖母にすごく懐いていて、私たち、他の家族には見向きもしませんでした。
ある時、祖母が脳梗塞で倒れました。
倒れた場所が、たまたまかかりつけの病院だったので、すぐに処置をしてもらい、一命は取りとめましたが、
右半身不随になってしまい、祖母はそのまま寝たきりになってしまいました。
その次の日のことです。
私は祖母の可愛がっていたマルが、庭に横たわったまま動かなくなっているのを見つけました。
「マル、マル」
と呼びかけてもピクリとも動きません。
子供の私は怖くなって、母に
「お母ちゃん、マルがおかしいねん。動かん。」
と言いに行きました。
母が一緒に見に行ってくれて、マルが死んでいることを確認しました。
母は
「マルはおばあちゃんの代わりに死んだんやな」
と、言いました。
祖母は後妻で、私たちとの血のつながりがありません。
でも、私はずっと「私のおばあちゃんだ」と思っていました。
その7年後、祖母は亡くなりましたが、寝たきりでも生きていてくれたのはマルのおかげかなと思っています。
なんだか、悲しくなってきたので、今日はこの辺で。