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物書きも写真を撮る
お馴染みのアイツは相棒になるか
物書きとして小説を書く仕事だけでなく、記事を書く仕事のお仕事も頂戴している。
場合によっては写真の掲載が必要なのだが、かといってプロに頼めるほど稼いでもいない。
仕方ないので写真の撮影も少しずつ練習をすることにした。
しかし、いきなりカメラを購入したところで、性能を活かすことができるはずもないのは自明の理。
なら、どうやって撮影するかといえば、お馴染みのスマホである。
今や誰もが持ち歩き、気ままにパチパチとシャッターを切るご時世だ。いや、シャッターを切るという表現はもう通用しないかもしれない。フィルムカメラをご家庭で見なくなって久しいのだ。ジーコ、ジーコ、と使い捨てカメラのフィルムを巻き取ったことがない世代も多いはず。
それが悪いとは微塵も思わないし、楽に写真を撮れるのは大歓迎だ。
ただ、気軽に撮影できること、そして見栄えよく撮れることはイコールではないとすぐに気づくことになった。
スタートは上々、道程は困難
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早速適当な被写体を撮影する。
おや、意外と出来がいいではないか!
特に一枚目など、夕暮れ時の日差しも相まって思った以上の出来栄えのものが撮影できた。
写真は案外簡単かもしれない。そもそもスマホとはいえ、これだけ技術が進歩したのだから私のような素人が撮っても「それなり」のものが写る。
そう考えるとかなり気が楽になった。
仕事の撮影も余裕がありそうだ。
この時の私は夕涼みをしながら、そんな暢気なことを思っていたのだ。
それからしばしの時間が流れ、執筆予定の記事で自分が撮影した写真を使うこととなり、私は早速スマホを構えた。
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記事に掲載するための写真はやたらと撮影が上手くいかず、かなり四苦八苦した。
一つの被写体に対して数十回の撮り直しを経て、やっと掲載できそうな写真を一枚選ぶ。
撮影が終わった頃には調理したものがすっかり冷めきっていた。いや、そもそもある程度は冷ましてから撮影すればよかったのか。
暗くなってからの撮影はさらに苦戦した。
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ランタンの撮影は別の記事だったが、ある程度暗くなってから火を灯した状態での撮影。
一枚目はフラッシュが焚かれ、肝心の火が殆ど映らない。
自動設定状態のフラッシュの消し方が分からず、四苦八苦した。普段からしっかりと撮影機能を弄っておかないから、いざという時に困るのだ。
ただ、素人撮影ながらそれなりの写真が取れることが再確認でき、入稿時には少しばかり感動したのも確かである。
写真の上達は一日して成らず
あまりにも当り前のことだが、スキルは簡単には身につかない。
そんな訳で、もう少し写真撮影そのものに慣れるため、気が付いた時にはスマホを構えることにした。
ただ、そこら中を無差別にスマホで撮影するのは気が引ける。不審者として通報されるのではないかとさえ怯えた。
だが、周りを見回してみれば猫も杓子も撮影されまくり、私一人が道端でピンボケの花を取ったところで関心すら示さないではないか!
これは非常に有難いことだった。
スマホの、いや、携帯電話の普及で街角で写真を撮る行為はある程度社会に容認されていたのである。
自分はスマホをどこに置いたかすら忘れ、誇張ではなく用がなければ埃を積もらせるタイプだったのだが、世間様は違うのだ。
散歩に出かけ、覚えていれば写真を撮ることにした。
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彼岸花を久しぶりに見たので撮った。
肝心の花が少々ピンぼけなのは、風が強くロックスターの如く彼岸花が花弁を振り回していたせいだ。
こういった動きのある被写体を撮影するのは骨が折れることを学んだ。
動物などを撮るのはやめておこうと心に誓う。
この撮影の後にスマホの機能でグリッドを表示し、水平かどうかも視認できるようにした。メインを中心に据え、水平に撮るだけでもかなり見栄えが良くなる、と又聞きしたからだ。
そして、彼岸花を撮影してから数か月が経過し、私は高尾山へと赴いた。
趣味と仕事を半々といった状態だったが、行動中にも撮影を行う。
頻繁に立ち止まるだろうと思い、人の少ない平日(7時頃高尾山口駅到着)を選んだのだが、ケーブルカー清滝駅には長蛇の列があり少し引いた。
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好きな稲荷山コースを撮影しつつ歩くと、今までと違うような気がした。
完全に気の持ちようだが、好きで何度も歩いているコースも見え方や目の付け所が違ったのは確かだったように思う。
意識して撮っていたが、後半は歩くことそのものに夢中になってスマホを取り出すことすらなくなった。
手に入れた装備を試しに行くことがメインだったから仕方ないと自分に言い聞かせ、下山し帰宅。
パソコンで写真を確認すると、なかなかの出来だと自画自賛してしまう。
とはいえ、記事に使うにはもう少し「それっぽさ」がほしい。
今後の課題ということにしておこう。
カメラを買うには、まだ早い
私のような素人が少々記念撮影をする程度なら、わざわざカメラを買う必要がない時代になったのだと写真を見て思った。
本格的なカメラは個人的に好きだが高価だし、オーバースペックだろう。もしも購入するとしたら仕事で必要になった際に検討するのが無難だ。
仕事に使用する写真でも、そこまでのものは求められていない。まあ、先方も私にそこまでのことを求めていないだけだろうが。
とはいえ私のような物書きは、何でもできた方が具合が良い。これからも撮影のためのスキルは少しずつ獲得するしかないのだ。
そのためにも存在を忘れられがちなスマホと仲良くし、散歩に連れ回すことを続けなくては。
相棒として来年からはポケットの中を定位置としよう。
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