喜びの多い寺「喜多院」
歴史ある川越を守ってきた寺院「喜多院」。
川越市駅から徒歩15分。
その場所には、ここでしか見ることのできない大切な文化財がある。
それは今はない江戸城の木造建築の遺構。
江戸城って東京の皇居じゃない?
と思うかもしれないのですが、
実は3代将軍家光の時代に、火事で喜多院が消失してしまい
そのために将軍が江戸城の建物の一部を舟で運んで、再建築したのが今の「喜多院」となっています。
将軍家光誕生の間
一番の見どころは何と言っても「将軍家光誕生の間」。
ここは写真撮影禁止なので、画像はないのですが、
狭い書院造りの部屋の天井は、格子の飾り天井が施されていて芸が細かく
格式が高い部屋だとわかります。
将軍家光の生母はお江で、織田信長の妹お市がお江の母になります。
お市様は美女で有名な人ですね。
お市の三女・お江は政略結婚に翻弄されながらも、3度目の結婚で2代将軍家忠と結婚しています。
つまり、家光は徳川家康の孫でもあり、同時に織田信長の血筋を引いている、ということになります。
戦乱の時代、位の高い女性は国と国を結びつけるため、政略結婚に使われたので、本当の意味での幸せな結婚、というのはあったかどうか疑問に感じます。
江戸から移築と一言で言ってしまえば簡単ですが、
実はこれは大変な一大事業で、
江戸城を解体して、舟で木材を川越まで運び、
喜多院のこの場所で、もう一度建設作業をしたに違いありません。
私が、現代、完璧な様子で春日局の間や、将軍家光の誕生の間を見ることができるのは、江戸時代の新河岸川や隅田川の船頭や大工たちの苦労があったからと痛感します。
この春日の局や家光誕生の間を見るには有料になりますが(400円)
一度足を踏み入れるとそこはまるで、江戸時代の空間。
そして中庭を眺めていると、
外の喧騒を忘れ、ゆったりとした時間が流れていることに気が付きます。
歴史に興味のある人だったら、一度は見ておいて損はない場所ですね。
春日局
春日局は三代家光の乳母だった人ですが、
なんと言っても江戸城大奥を取りまとめた実力者。
大奥から将軍家や家光を支えた女性。
戦乱の時代を生き抜き、家光の後継ぎのために側室を選ぶなど最終的には大奥での権力を握った実力者。
テレビドラマ「大奥」では松下由紀さんが演じていました。
左が春日局を演じた松下由紀さんです。
大奥は確かにキラキラした場所ですが、けして女性の幸せを追い求める場所ではない、というのが私の意見です。
たった一人の将軍様のために多い時は3000人の女性が働く場なのですから。