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清潔な回廊【詩】

清潔な回廊

レンズを通過してわたしのまなざしは遮断される
雪山で、あなたについて話す仕草を忘れ、うもるよる
わたしの剥き出しの魂に落ちたいかづち、これを離さず逃さない
床に落としたアポロチョコにて小指くじく なかなかにチャーミング
目分量の偶発 指でなぞる本の背 戦争と 今めのまえでわらってくれるひと

ここにあなたの席を用意しておく これはあなたの席

きずだらけ、すべすべでない肌を寝かしつける
持ち前の孤独でベイブレードしよう、でなくちゃ耐えてゆけぬから
ひけらかさずともあなたは高貴 きらきらひかるレスキューボート
プレパラートを何枚も割ったこれが障子のように張り替えの利いたなら
ピッケルで掘削 忘れたくない瞬間 鉱石標本が手元でぴかり

おまえ! うまれたかぎり祝福は続くのさわたしたち一人でも手を繋ぐことができる

とにかく日当たりの悪い踊り場で転ばずゆらゆら回ること
たぶんに花火の火花の燃え殻であることを実践し続けている
循環する生活を恐れずにいて チョコレートをポケットに忍ばせ
火の灯る蝋燭を携える
ひかりを見たくない人について考えるときひかっているあなた
目一杯のビジューがついたドレスに着られて親に手を引かれる幼い手のひら
あなたにはまだはやいかんむり
このトーチカからは敵 あんまり見えないよ 今日は波が高いね

本燃やすまえに銃撃って星落として!
おまえをチリチリ焼くずっと昔に死んだ光

寄り道したらおまえ泣いていてかわいかった 遠くまでこれたんだね
世界の意地悪なところがわたしを慰める

ドレス着て祝宴をつづけよう
わたしたち火の馬

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