ズッキーニ

「ぼくの名前はズッキーニ」~だいたい500字映画レビュー~

ぼくの名前はズッキーニ
[2016年スイス・フランス]
監督 クロード・バラス
脚本 セリーヌ・シアマ
時間 66分


一人ひとりの幸せを願わずにはいられない

 上の画像を見てぎょっとした人もいるだろう。飛び出そうなほど丸くて大きい目、やけにカラフルな目元に真っ赤な鼻。キャラクター造形が独特過ぎて、観るのをためらうかもしれない。

 しかし、いざ観始めると不思議と気にならなくなるのだ。それどころか、キャラクターと観る者の想像力が組み合わさり、実写よりもリアルに見えてくる。登場する子どもたちが時折見せる、大人びて寂しげな表情、恋に落ちた瞬間、といったものが。

 唯一の家族だった母親を不慮の事故で亡くし、孤児院に入った少年・ズッキーニが、仲間たちと友情を育み、やがて本当の家族を見つけていくストーリー。心に傷を負いながらも、互いに支え合っている子どもたちの姿は胸にぐっとくる。

 実写ならありきたりのお涙ちょうだいモノで終わったかもしれないが、ストップモーションアニメの造形、BGMの使い方やストーリーのテンポが巧みで、より登場人物に心を寄せられる作品に仕上がっている。

 子どもたち一人ひとりの幸せを願わずにはいられない、優しい気持ちになれる映画だ。

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