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韓ドラの受け止め方

この記事は韓国ドラマ「イルタスキャンダル」のネタバレを含みます。


チョン・ドヨンさん、チョン・ギョンホさん主演の韓国ドラマ(以下、韓ドラ)「イルタスキャンダル」の最終回まで観たので感想、そしてこのドラマを巡って考えさせられた「韓ドラの受け止め方」について書きたいと思います。

とりあえず物語のあらすじは端折りますw

ドラマの気になったところ

最終回まで観て面白かったところたくさんありますが、ここでは私が気になった点を2つ。

ヘンソンの弟(ジェウ)をなぜ障がい者の設定にしたのか。

というより公式HPを見ると、どうも発達障害への認識が間違っているように思いました。

ヘンソンが苦労した、という強調のためだけにこの設定にしたのでは感が拭えず。そうであればデリケートな部分だからこそもう少し丁寧に描いてほしかったところ。

私の想像力では障がいの背景まで補えませんでした。

もうひとつは後半のまとまりのなさ。

二人のラブやヘイたち高校生のいざこざに加えて、突然のヘイのお母さん登場・・・

後半にエピソードが次々と登場して、最終回で回収できるのか?という不安が・・・。

元々は激しい受験戦争への警鐘を描きたかったのかなという作家の意図も感じつつ、それならチ室長の結末はあまりに悲しすぎたし、悪役は消すだけで解決なのかというモヤモヤが残りました。
しかも16話はまるでチ室長が元々いなかったようなテンションで(うーん)。

チヨルが「受験戦争」の恩恵を受けて仕事をしているからか、結局子どもたちはどうすればよかったのか?というところまでが弱いように感じました。
(ま、でもそこまでシリアスなドラマではなかったからな)

なので正直後半はとっ散らかっていた感じを受けました。これについては作家の方も「思いもよらずたくさんの愛を頂き感謝している。振り返るとあまりにも詰め込みすぎたのではないかと反省している」とおっしゃっています。


もちろん私は愛着を持ってドラマを楽しんでいたからこそ色々出てくる感想だし、ドラマは時に社会への問題提起にもなり得るからこそ様々な角度から考えることも必要なのではと思います。しかも韓ドラはどんどんクオリティがあがっていて「韓ドラってこういうもんでしょ」という枠を飛び出し続けている。なので「韓ドラはこういうものなんだからドラマ自体にケチをつけるな」と視聴者が決めつける風な意見に非常に違和感を覚えていました。

演出を汲み取ること

そもそもストーリー以前に韓ドラ民をざわつかせた(?)のは、チョン・ドヨンさんの「普通のおばさん」感のある髪型やファッション。

韓ドラのライターをされている方が、容姿というか髪型とかファッションについて嘆いただけで、俳優を茶化するなとか、韓ドラ民からお金をとってる立場なのに傷つける発言をするなと強めに攻撃される方もいらして。

でもあれはドヨンさんほどの俳優だから髪型もファッションも当然「演出」であるし、それを込みであーだこーだと我々楽しんで突っ込んでいたわけです。
ちなみに衣装はほぼハイブランドでしたw

チョン・ドヨンさんは韓国を代表する俳優の方。そして他の作品では、ほぼおでこ出しです。おでこを出した方がよりドヨンさんの顔立ちが映えて魅力が伝わるのをご本人もメイクさんも理解されているからでしょうか。だからカムバックにあたり今回生活感のある役柄を入念に演出されたのかと思います。

正直私も最初は、え?なにこのわかめ風は?!
と思いました。すみません。
でもみんなそう思ったでしょ・・・

製作側からしたら視聴者からつっこまれるのは演出に成功したってことなんじゃないでしょうか??それが容姿を茶化しているのか甚だ疑問です。逆に製作側の意図を汲み取らないで(汲み取れない)チョン・ドヨンは何を着てもサマになる!と一概に絶賛するのは俳優として誉めているのか、彼女にしてみたらどういう気持ちなんでしょうか。
(いや、実際きれいに着こなしていたし、スタイルの良さも際立っていたけれど)

もちろんだからといって必要以上に揶揄するのは行き過ぎですが。傷ついた、という感情はかなり主観的なことも含むので、もしかしたらこういう「ツッコミ」は人によっては快く思わないのかなと考えさせられたところではあります。

ところで髪型といえば、私の大好きなドラマ「応答せよ1988」に登場していたくるくるパーマ(カツラ)のアジュンマたち。

キム・ソニョンさん、イルタでも強烈なインパクトを残しましたw

本当に大好きな俳優さん。

「応答せよ」を見ていた頃にTwitterをしてたら私は間違いなく「あのパーマは大仏かよw」と突っ込んでいたはずw
時代背景を盛り込んだちょっとダサいファッションも含めて面白かったし、笑えて泣けたドラマでした。

ヘンソンが見せた新しい女性像

厳しめな感想でしたが・・・
「イルタスキャンダル」全体を通して伝わったのは、ヘンソンの子ども(というかヘイ)に対する深い愛情とともに、子育てや仕事に励む「普通のおばさん」が恋をしたり夢にもう一度挑戦したっていいじゃんという前向きなメッセージでした。
(ここでは役柄上、おばさんとあえて呼ばせていただきます)

かつて、2005年放送の大ヒットドラマ「私の名前はキムサムスン」では30歳手前のヒロインが結婚に行き遅れた「おばさん」扱いをされていました。
「ちょっと太めの」という設定も今なら多様性と言われて即打ち消されそうな感じ。

あれから18年。←きみまろか

去年2022年に放映された「39歳」を見ると、ソン・イェジンさんを筆頭に「39歳」の3人の女性が皆スタイリッシュでそれぞれ自分の道を切り開いて本当にお美しい。
そもそも俳優さんが美しいのはさておき、おばさんなんて誰も言わない設定です。

ヒロインの年齢がどんどん上がっているように思える韓国ドラマですが、財閥令嬢だけではないw新しい女性像を見せてくれたなとも思います。
そこがよかったです。

自由な感想と批判

ドラマの内容にケチをつけるな、的な投稿を見て非常にモヤモヤした気持ちのまま引リツさせていただいたもの↓


元の投稿にかなりきつい口調でリプをしていた方は過去に相互フォローしていた方だから(この引リツあげたら考えが合わないと思われたのかブロックされたので、ご自身の投稿を消したか消してないかわからないw)その方がまあまあの年齢で、韓国に留学して韓国語もたぶん中級程度まで勉強されていて、ソン・ジュンギさんのファンで本当に大好きだという気持ちも感じたし、彼の出演ドラマに字幕をつけるのもコツコツと励んでいらして・・・とても真面目な方だなと見ていました。

やましいことがないからこそ職業も(時に本名も顔出しも)していたのだと思います。だから急におまえだとか暴言吐いている姿はかなり驚いてしまった。

ドラマに限らず作品の感想について空気を読んで、あるいは俳優に配慮して好きに嘆けない雰囲気ってしんどいです。その人の感想が嫌なら見なきゃいいのでは・・・。

誹謗中傷は論外として人の感想はそれぞれのもの。そしてファンが多い芸能人について少しでもマイナス発言すると攻撃される昨今の風潮は本当に怖い。

ただ、あえていうなら、評論や学術の世界なら批評されてさらなる新しい成果物が出来上がるわけで、こうやって意見が飛び交う時代?になったということは日本における韓ドラ需要も我々がただ出来上がったものを享受するだけの世界を脱して、広域で論じるような段階に差し掛かっているのかなという期待はあります。(考えすぎ?)

ちょうど先日の、某グループに対する矢野アッコさんの投稿でも同じようなことを考えました。彼女が多少空気読めないにしても(前々からそんな感じw)果たして糾弾されて謝罪に追い込まれるほどなのか疑問でした。
矢野さんは彼らのいちファンとして、歌手として、あるいは親目線で色々な視点で見れる方なんだろうと思います。

SNSとの付き合い方

推し愛が強すぎるのも考えもの。それは愛じゃなくてもう執着。推しは自分の分身でもない。そしてSNSというかTwitterは見境なく人を攻撃することもある特殊な世界なんだと改めて思った次第。

SNSで見えている世界なんてほんの一部ですよね。家庭環境や生い立ちまでパーフェクトな人なんてほんの一部なのでは?アイツは苦労してない!楽しくやってる!なんて思われても実のところどんな過程でどんな環境でどんな努力をしてきたなんて知る由もない。いや、実生活においてももちろん。

韓ドラは異文化である

私は2000年代から韓国語勉強してきて、韓ドラにも親しみ、韓国にまつわる色々な変遷を見てきました(大袈裟か)。当時は韓国好きというともちろんドラマやK-pop好きな方はいたにしても今より少ないし、学術のほうではコアな方(?)しかいなかった。私の出身学校でも韓国語や関連学問をガチで勉強していて語り合えた仲間はほんの一握りでした。(変人扱いw)今、それぞれが自分の専門分野で活躍されています。私以外w

私は当時から韓国が好きで好きでたまらない!というよりわりと冷静に見ているつもりです。たぶん。もちろん根底に好きという気持ちはがあってこそだけれど。外国の文化を好きか嫌いか「だけ」の極端な感情で語ったり、どちらかに「寄せる」のは非常に危険だと思っている立場です。

たとえば韓国の芸能人の誰かが、いくら日本語が上手だからといって前世日本人なのでは?と称賛するのもだいぶ本来的にはタブーだと思います。

今本当に韓国好きな方が多くなって、韓国が好き、韓国ドラマが好き、韓国のこの俳優が好き・・・など受容が細分化しています。時代は変わったなぁと思う一方でいろんな人もいらっしゃる。しかしあくまで韓国カルチャーは外国の文化ということ。私たちが異文化を受容するときに「違うから面白い」と感じるわけですが、その面白さが笑いなのか、揶揄になるのか、失礼にあたるのか、場合によっては実は微妙な時もあるかもしれません。

だからこそ最低限の教養と敬意を持ちながらこれからも楽しくツッコミしたいのです。←結局それ

そしてとにかく、SNSや誰かに振り回される他人軸じゃなくて、自分軸で生きようよ・・・とも思います。

ワンモア、キムソニョン!
ソニョンさん大好き!

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