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【シリーズ1】ドクター・フー感想:9話目【9代目】

初めに。この記事はとにかくドクター・フー 新シリーズ1の感想をゆるっと語るだけのものです。深い考察や裏情報・昔からの根強いファンが書いたものではありません。『ドクター・フーおもしろ!他の人の感想も読みたい!』と思ってググってみても、なかなか探し当てられずもやもやして、仕方なく自分の感想を吐き出すことにした次第です。どこかにシリーズ1の感想を書いておられる方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。読ませてください。よろしくお願いします。 

・The Empty Child
 邦題「空っぽの少年」

 シリーズ1の中でも随一の、ホラー色の強い回。これがNHK教育の夕方〜夜の時間帯に放送されたのだから、フルハウスやサブリナといった愉快でハートフルな海外少年少女ドラマ枠を愛するキッズたちに与えた影響を考えると震える。なんでこんな絶妙にトラウマになりそうな、単純に怖いというよりも『奇妙で不気味』なビジュアルを的確に提供できるのか。子供の時に見ていたら確実に一生忘れられないと思う。

 さて冒頭。謎の危険信号を発する飛行物体を追跡するドクター&ローズ。
「大丈夫?」
「もちろん」
(直後に弾ける火花)
「たぶん大丈夫だ」

 と、お約束の爆速フラグ回収を挟みつつ、ターディスは1941年のロンドンに到着します。
 
 ところでローズ、ドクターも突っ込んでいたけれど、その全面にでかでかとプリントされたユニオンジャックのシャツは何なの???『キャプテン・ジャック』だから???

 サイキック・ペーパーに記された『宇宙科学省:ドクター・ジョン・スミス』という怪しさしかないドクターの身分詐称も、旧作視聴勢からすると『あ!』となるネーミングなのだろうし、後続作品履修後に見返した勢も『あっっっっっっ(爆泣)』となるやつ。よくある名前として、昔からドクターが利用してきた名前なのでしょうね。
 しかしそうして身分を偽ってひそひそと話を聞いて回るスタイルに、今回のローズはご不満な模様。『ハイテク(エイリアンテク)で捜したら?ミスター・スポックみたいに』と提案する姿は、ちょっと駄々っ子のよう。ミスター・スポックは『スタートレック』シリーズの登場人物。日本風に言うと『ドラえもん、もっと便利な道具出してよ〜』って感じ?
 そんなふうに子供っぽく駄々をこねながらも、『夜間に小さな子供が一人で屋根の上にいる』という危険なシチュエーションには矢のように駆け出して助けに行くのだから、ほんともうローズ・タイラーには痺れちまうぜ。
 まあその流れで、戦時下の空襲の最中、飛行船から身一つで宙吊りにされちゃうんですけどね!!!

 ローズがそんなピンチに陥っているとは露知らず、ドクターはドクターでかかってくるはずのない奇妙な電話を受け、それと同時に謎の少女と遭遇します。この電話の『ママ(mommy)?』の声の怖さといったら!怒りや恨み・悲しみといった感情らしい感情が感じられず、ただ純粋に母親を探し求める澄んだ幼い声が、余計に不気味さを掻き立ててもう怖いのなんの。耳から離れなくなる。

 ところでローズがいったいどれくらい宙吊りになっていたかは定かではないけれど、ジャックが『いい尻だ』と発見してくれるまでずっと、極寒の一月の夜(それも飛行船が飛ぶほどの高空)にロープ一本にしがみつき続けていたことを考えると、ローズの体力と腕力がとんでもないことを認めざるを得ない。この腕にビンタされたら首が一周するかもしれない。タイラー母子の張り手は世界一ィ。

「ドイツ軍の空襲のさなか、イギリス国旗を胸に携帯をいじってる!」
「HAHAHA」
 これは私がジャックでも笑うわ。

 さあ〜〜〜〜甘いマスクのキャプテン・ジャックのお出ましだあい〜〜〜!ローズもうっとりですよ。ジャッキーに似たのか、何気にローズも結構な面食いなのかもしれない。いやあ、あの非の打ち所がない顔面で白い歯を見せつけながらお姫様抱っこなんてしてきちゃあ、老若男女問わずうっかり見惚れてしまうと思うけど。

 今回のゲスト・戦争孤児たちを纏めて世話をするリーダーのナンシー役のキャスティングは本当に上手いと思う。まさに絶妙。たった一人で、何人もの子供たちの保護者代わりを務める彼女の重責、そして自責を思うとつらい。

 9話の中盤まではドクターとローズ&ジャックのシーンが交互に展開されるけれど、このばらばらに進んでいった話が後半・後編で一つの道筋に集約されるシナリオが実に面白い。3話の『賑やかな死体』ほど群像劇テイストではないけれど、ローズとドクター、二人の主人公がそれぞれストーリーの幅を広げていくのがいい。
 ところでローズの怪我の手当てのためにジャックが両手首を縛るシーン、絵面ちょっとやばくない???なぜ縛った???

 見えない宇宙船の上で、ビッグベンを前にして、とてつもなく甘いマスクの色男とシャンパンで乾杯する……ローズが思う、格好良くて未来的で、この上なくロマンチックなシチュエーションでしょう。
 『女を口説くシチュエーションじゃないわ』と言うのも、恐らくローズの本心ではないと思う。絶対ときめいているし、靡いてるもん。うむ、アダムは駄目だったけどジャックなら許すわよ、ローズ……。そこで『そうだな』と一旦引いて、すぐさま『グレン・ミラーは好き?』とムーディーな音楽を流し、チークダンスに誘うところに、ジャックのハニートラップの経験値の高さが窺える。ほんとお上手だこと!

 そんないい雰囲気の二人とは大違いに、ホラーとサスペンス・ミステリー要素を一手に引き受けているドクターサイド。ナンシーに導かれてやってきたアルビオン病院に収容された大勢のガスマスクたちのシーンには、初見の際は不気味すぎてぞっとした。ホラー要素だけではなく、全ての患者が全く同じ外傷・症状(癒着したガスマスク)というあり得ない事態に対する謎も提示するのが面白い。『意味わからん、怖い!』という感情に『意味わからん、なぜ?』という疑問が混じってくると、さらに物語に引き込まれて夢中になれる。ドクター・フーの感想で何度も同じことを言ってしまうけれど、本当に構成が上手い。

 最後の5分で再会・合流するドクター&ローズ&ジャック。三者のテンションの差がおかしくも怖い。

 様々な謎をばら撒きながら、ついでにパニックホラー要素まで追加して、次週に続く。


 てんこ盛りすぎるだろ!!!

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