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【シリーズ1】ドクター・フー感想:1話目【9代目】

初めに。この記事はとにかくドクター・フー 新シリーズ1の感想をゆるっと語るだけのものです。深い考察や裏情報・昔からの根強いファンが書いたものではありません。『ドクター・フーおもしろ!他の人の感想も読みたい!』と思ってググってみても、なかなか探し当てられずもやもやして、仕方なく自分の感想を吐き出すことにした次第です。どこかにシリーズ1の感想を書いておられる方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。読ませてください。よろしくお願いします。 

・Rose
邦題「マネキンウォーズ」

 ドクターとローズの記念すべき出会いの作品。新シリーズ1話目、ドクターの一番初めの台詞が『走れ!』なのにはにやにやしてしまう(全力疾走は10代目のお家芸というイメージが強かったけれど、9代目もしっかり走っている。8代目以前はどうだったんだろう?)。

 タイトルのマネキンウォーズも味わい深くて好きだけど、この後のローズの活躍やドクターにとって唯一無二の人になることを考えれば、原題のまま『ローズ』でよかったのではと思わなくもない。というか邦題が原題にかすりもしていないことに今さら気づいて笑ってしまった。センスが光るね。
 この段階では『ドクター・フーという番組は50年以上の歴史がある』『あとからデヴィット・テナントが主役になる』という知識しかなかったため、『これが何十年前のドラマなの!?すごい!』という笑える誤解をしていた頃。しばらくしてから2005年の作品だと知って逆の意味で驚いたりもした。でも個人的に、一貫してCGや特撮技術がさして気にならないのは、やはり脚本や役者さんの演技が素晴らしいからかな。2005年だと日本では仮面ライダー響鬼やマジレンジャーの年。魔化魍のCGを考えても、もちろん予算の問題は大いに関係するでしょうが年代的には一般的なレベルだったのかな。それでも合成写真のやる気のなさは何度見ても笑えるwww

 出会った瞬間から、ドクターとローズ、この二人はしっかりと手を繋いでいるんですね。1話は特にこの二人の手を繋ぐ場面が印象的。本当に何度も繋いでいる。Wikipediaでエキサイトした日本語訳の記事を読んでいたら『ドクターとローズがまだ互いのことをほとんど知らないうちから手を繋いで走っていたのは、その時点から相棒としての絆を示唆していたのだ』といった一文があって『あ゛ああああ』と悶えた。

 マネキンミッキーに気づかないローズ(アッハッハッハッハッ)(大爆笑のSE)。背後で首を括り殺されそうになっているドクターに気づかずにコーヒーを淹れ続けていたり、ロンドン・アイの存在に気づかないドクターとすでに察したローズのやり取りといい、この辺のセンスが妙にシュールでげらげら笑ってしまう。そうです私はフルハウスのギャグが大好きな人間です。
 それは置いておくとして、やはりミッキーが普通に良き恋人で愛しい。職場が近いのかもしれないけれど、ローズと昼休みを一緒に過ごしてまた別れたり、夜遅くだろうに恐らくニュースを見てタイラー家まで飛んできてくれたり……(でもパブでサッカー中継があっているなら、真夜中ではないかな?)本当にローズのことが好きなんだろうなと窺える。1話ではほぼほぼ助けを待つヒロイン的な役割ではあったけれど、ミッキーの活躍と成長は今後しっかり描かれていくことも嬉しい。ローズのママであるジャッキーや後に登場する人々も含め、とにかく魅力的な人物がいっぱい。

 『学歴もナシ』『仕事もパー』『未来もない』『自慢はただ一つ。小学校の体操チームで取った──銅メダルよ!』そんなん言いながら地球と全人類を救うんだからまさにローズ・タイラー(世界一格好いい!) 格好良さがもう初回の時点でカンストしていて凄い。改めて見ても、彼女も間違いなくこの作品の主人公の一人なのだとしみじみ実感できるシーン。
 この後の作品だとドクターは『どんな絶望的状況でも絶対に諦めず打開策を捻り出す』といった人物像として描かれることが多いと思うのですが(個人の感想です)、9代目は意外と容易く諦める場面が点在して見える。恐らくタイム・ウォーを終わらせた後、様々な宇宙や時間軸をたった一人で旅してきた状態で、未だ精神的な傷が癒えていない状態なのかなあと考えると多少納得もできる。感傷的であり、自暴自棄なにおいを感じる。そんな彼の背中を押して時には代わりに引っ張っていくのがローズ・タイラーなのだろう。は〜〜〜エモ……

 最後にターディスでの旅にドクターから誘われて、悩みつつも一度断るローズがまたいい。魅力を感じながらもここでの自分の生活や周りの人、たった一人の家族であるママのことを考えて、現実的な目で見て断るところに、ローズの地に足がついた冷静な視点が窺えてとても好き。そして一旦引き下がったと思いきや、すぐに引き返してきて再度誘いをかけるドクターに、もう拍手喝采ですよ。この時点ではドクターに関しては『大変な秘密主義者で、明るく振る舞ってはいるが、どこか心の壁がある謎の男』という印象だったので、そんな彼が食い下がってでもローズを旅の相棒に誘うところに『それほどまでにローズを特別視している』と感じられて超良かった。……まあ後々の描写で『いやでもこのエイリアン、結構簡単に色んな地球人を誘うな。さびしんぼか』と認識が改められるのだけど、この時点ではとにかくローズが唯一の特別な相手だと見えるのでよいのだ。
 そして二度目の誘いでいよいよ抑えきれなくなって、飛ぶようにドクターに駆け寄るローズの可愛さよ〜〜〜!一度は我慢して押さえ込もうとした気持ち、未知の世界への期待や希望がやはり噴き出す様がとっても可愛くて素晴らしい描写だと思う。ドクターにここまで粘られたら、そりゃあ嬉しくもなるよな〜!スタンディングオベーション。視聴して嬉しすぎて『サイコ〜〜〜!』って手を叩いてしまった。一歩踏み出した彼女と共に、視聴者も新たな冒険に旅立つといったわくわく感が素晴らしい。ローズの笑顔がとにかく眩しい。
 作品の世界観やキャラクターの描写、そして事件の顛末あれこれの起承転結、これらの展開をたったの44分にまとめているのが不思議なレベル。詰め込み感は全く感じないのに、どのシーンも印象深くてこぼさず頭に残る。

 ドクター・フーという作品に初めて触れる視聴者もどっぷり魅了する、新たな船出にふさわしい素晴らしい1話。見ている間、楽しくない瞬間がないくらい。

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