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【シリーズ1】ドクター・フー感想:7話目【9代目】

初めに。この記事はとにかくドクター・フー 新シリーズ1の感想をゆるっと語るだけのものです。深い考察や裏情報・昔からの根強いファンが書いたものではありません。『ドクター・フーおもしろ!他の人の感想も読みたい!』と思ってググってみても、なかなか探し当てられずもやもやして、仕方なく自分の感想を吐き出すことにした次第です。どこかにシリーズ1の感想を書いておられる方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。読ませてください。よろしくお願いします。 

・The Long Game
 邦題「宇宙ステーションの悪魔」

 さて、2001世紀(2001世紀!?)の宇宙ステーションへと降り立ったドクター&ローズ(+おじゃま虫のアダム)。
 先に二人でターディスを出て状況や場所の説明をドクターから受けた後、何も知らないアダムに如何にも事情通みたいな訳知り顔でドクターの受け売りをそのまま解説するローズの可愛さと言ったら!先輩風ふかせたいのね〜〜〜!そしてそんなローズを見つめるドクターの優しげな眼差しがまた堪らない。
 9代目はその(表面上の)落ち着きもあって、ローズとのコンビは時に父と娘のようにも見えるのが本当に好きだ。無二の相棒であり、時には互いが互いを守り慈しむ保護者であり、トラブルを前にしてにやりと目を合わせて笑い合う悪友でもあり……一言で言うと最高なんですよ9代目とローズは……

 2001世紀は人類が最も栄え、洗練された時代だそう。その割には雑然とし、荒れた雰囲気が漂うサテライト5。とりあえず腹拵えをしよう、そのためにはお金が必要とATMに向かうドクター。『そういえばドクターって、普段はお金はどうしてるのかな~?』という視聴者の何気ない疑問に、流れるようにスマートに答えを提示してくれる親切な番組(不正操作による引き出し!!!
 そしてそんな違法なお金をお小遣いとして、アダムとローズを送り出すドクター。一人で少し事情を探るために、二人から距離を取ったのかな。

「楽しんでこいよ。初デートだ」
「ぶっ飛ばすわよ」
 ローズさんそれ口癖?口癖で留まる??あなたのお母さんのことを考えると、言葉だけで収まらない気がするんですが???

 ジャッキー・タイラーは有言実行の女なので殴ると宣言したらきっと殴るし、そもそも宣言する前から手が出る人なので、ローズも十分にその可能性はあります。

 さて、今回もシンプルながらいい仕事をするドクターの詐欺(失礼)アイテムの筆頭であるサイキック・ペーパー。毎回番組の中でどういう風に使われるか、楽しみなものの一つ。しかしこの時代に『紙』なんてあったのかしら。
 ターディスに、サイキック・ペーパーに、みんな大好きソニック・ドライバー。これらの道具の偉大さはもちろんだけども、ドクターの凄いところは、顔色一つ変えずに相対する相手の話を把握して、それに合わせて上手いこと自分の手札を活用できるところだなあ。9代目の魅力は、あの胡散臭い(褒め言葉)ファンタスティック・スマイルと、腹芸の巧みさだなあ。

「フェイス・オブ・ボーが妊娠を発表」
 これ、後のシリーズを視聴した後だととんでもねえ事態すぎて三度見しちゃったよね。

 未来のテクノロジーを(身分を詐称して)見学するドクター一行。しかし、それを間違っていると顔を曇らせるドクター。パートナーの感情の機微に大分詳しくなっていたローズが間髪入れずに「トラブル?」と尋ねると、ドクターも「そうだ」と頷く。
 そしてにんまりと笑い合う二人よ~~~!(ファンタスティック!!!)


アダム「お似合いだ。二人の間には入れない」
 そうだよ???

 この回はホラー要素が非常に強くて、特に序盤から中盤にかけてのサテライト5やフロア500の謎、ちらちら画面に映る明らかに正気を失っている顔をした氷漬けの職員、ドクターが感じ取る違和など、作中に満ちる、じわじわと静かに詰め寄ってくるような不安感が最高に怖くていい。9話の『空っぽの少年』もストレートにホラーだけど、今回はサスペンス色も強くて、そこが緊張感を増している。

 キャシカに対し「ローズを見ろ。適切な質問をした」とドクターが言った時の、ローズの満足気で嬉しそうな顔よ~~~~!!!

「アダムもいないし、君と二人か」
「ええ」
「いいね」
「ええ」
 そしてまたいつものように手を繋ぐ二人。
 FooooooooooO!!!!!

 しかし最終的に明かされたサテライト5とフロア500の謎には、たしかにびっくりはしたけど、改めて見返すと結構薄味な真実に感じたな。やはり中盤までの盛り上がりとはらはら感が凄く良かった分、あっさりめの種明かしに思えてしまったのは残念。それでも、キャシカを筆頭にただ『フロア500は素晴らしい・そこに行けばいいことがある』と盲目的に信じ込んでいるサテライト5の人間たちと、実際にそこに行ってしまえば命はないという真相は、非常にエグくて良かったと思う。尺がもう少しあるか、時間配分がちょっと違えば、この物足りない結末はまた違ったのかな。

 かなり魅力的だったのは、最後には自分の頭で考えるようになり、行動し、そして自分たちを騙して利用していた黒幕に一矢報いたキャシカの成長。本当に素晴らしかった。
 彼女のこの成長は、他人に言われるがまま・流されるまま手術を受けて脳にチップを埋め込んだアダムの軽率さと対比してあるのかな。いやほんとアダムの行動あほあほ過ぎて何も擁護できないっすわ。

 さて、キャシカの機転と、死してなお悪を討たんとするスーキーの不屈の魂によって、ジャグラフェスを退治し、サテライト5は解放され……た?めでたし、めで……うーーーーん……これなあ……先々のことを思うとなあ……

 最後に、僕も一緒に行くとごねるアダムに、ドクターの一言。
「ローズだけでいい」
 FooooooooooO!!!!!

 斯くして、欲をかいていらんことをして歴史を変えそうになっただけでなく、ドクターとローズをピンチに陥らせ、そのくせ自分のおかした罪を自ら明かすこともなく反省の色も見せなかったあほあほアダムくんは、脳みそ丸見えの危険を抱いたまま元の時代に送り返されたのでした。チャンチャン。

 初期の段階では、アダムは『病気の父の治療法を探すために未来の歴史を探る』という設定があったそうなのだけど、その線でお話が展開されていたらかなり違った印象になっただろうな。
 どうしてそこから変更されたかは定かではないけれど、続く8話の『父の思い出』のローズにも絡めることのできる設定だったのではと、ちょっと惜しい気もする。『被るからこそ』変更されたという見方ももちろんできますけども。
 それでも、利益に目が眩んで歴史改変までやらかしそうになったというのはさすがにチープかなあ。アダムのキャラ付けも浅く、魅力の薄いものになってしまったし。
【どうしても家族を救いたい、そのために未来を変えようとしてしまったアダム。当たり前の人の情・その気持ちは理解できるが、しかしタイムロードとしてその行いを許すことは絶対にできないドクター。幼い頃に亡くなった自分の父を思い出し、アダムに同情するローズ。罪をおかしたアダムを元の時代に置いて、去りゆくターディス】……といったビターな展開も悪くなさげと思いつつ、おじゃま虫アダムと後腐れなく別れるには現行のもののほうが綺麗さっぱり縁が切れてドクター&視聴者もすっきり!でいいのかな。いいですね!!!!


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