貴方が教えてくれたこと

今年も、大好きなチョコミントの季節がやってきた。

比較的 異質扱いされているチョコミントは、
ここ数年のうちに、あらゆる場所で目に留まるようになった。
最近では季節問わず販売されるようになったものも増えてきて、着実にその地位を築いている。

なんだか、デビュー当時から応援していたアーティストが有名になっていく感覚と似ている。寂しい。

私にとってのチョコミントブームの火付け役は、姉だ。

姉が食べているものは同じように食べたかったし、
姉が持っているものは私もお揃いで欲しかった。
「下の子は上の子を真似する」とよく言われるが、
その中でもチョコミントは、姉の影響はあるものの、
最終的には自分の言葉で好きと言えるもののひとつだった。

チョコミントの弛まぬ努力は、はかりしれない。

「歯磨き粉じゃん」という常套句には、
「確かにそういうところはあるかもしれませんよね」という謙虚さ。
時には本人の売りである「清涼感」を捨ててまで、
一人でも多くの人に味わってもらおうとする健気さ…

私一人の手でどうこうできるものではないことは分かっている。
でも、もし目の前に貴方が現れてくれたなら、
もう頑張らなくてもいいよと目一杯抱き締めてあげたい。

貴方は、めんどくさがりの私に、好きな人が見ている世界はどんなものなのかを知ろうとする 好奇心を教えてくれた。

同じように好きになれるかは別として、
自分にとって異質だと思うものをシャットアウトしない見方を教えてくれた。

そして新作が出たときには、
お互いに気になるものを持ち寄って、あれこれ言って笑い合う時間をくれた。

たとえ頑張りすぎてこれ以上清涼感がなくなっても、
たくさんの喜びをくれた貴方が好きだということに変わりはない。

この季節になると思い返す。

チョコミントが教えてくれた あのすうすうとした風通しの良い心を、
私はこれからもずっと、大切にしていきたい。

Fuyu.Arai