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サイコロサイクル制作後記

初めましてこんにちは!
ニューノーマルな遊び「サイコロサイクル」原案兼チームリーダーとして発表を担当していました、N高等学校御茶ノ水キャンパス3年の大藪です。
「サイコロサイクル制作後記」ということで、やっと一旗上げられた自分を客観視するため、3年生ということで在校生の皆さんに何か残したい、と考えて筆を取りました。
今回のカリキュラムではチームメンバーの皆様やキャンパスの皆様に多く助けていただきました。その感謝の思いを込めた「感謝状」のようなものとして気軽に読んでいただければ幸いです。

1.サイコロサイクルとはなんだったのか

そもそもサイコロサイクルが生まれた経緯や、私が何を考えてこのゲームの原型を生み出したのかということは記事を担当してくださった方に伝えていなかったこともあり投稿用の記事には載せられなかった部分が多くあります。皆大好きお蔵出しのコーナーです。  まず最初にチームで話したことは「任天堂に勝とう」という荒唐無稽なキャッチフレーズでした。昨今、コンシューマーゲーム(PSやSwitchのようないわゆる据置ゲーム)はとてつもない勢いで普及しています。

 特にNintendo Switchの場合はJoy-Con単体でシンプルな操作から複雑な操作まで可能であり、その拡張性が非常に高いです。高度な知識や操作技術を有さないプレイヤーであっても、直感に基づいた操作が可能な端末であれば2世代ないし3世代を通して世代を超えて楽しむことができる。そして普及率も高い。そうなってくるとオンラインの遊びは全てそこに収束してしまいます。
 僕が今回の制作において最も重視したのは「参入への障壁を限りなく減らす」「できるだけ他と同じ土俵に入らない」ということでした。
「参入への障壁をできるだけ減らす」というのはとても簡単に言ってしまえば「誰でも手ぶらもしくは最低限の用意でできる」ということ。
他のチームで言えばペットボトルのキャップや紙コップを使ったり「なんちゃって面接」のような簡易的なロールプレイ。その路線は非常に簡単かつとても楽しいのですが、ペルソナ設定の段階で「オンライン機器が扱えるか分からない他の世代を想定するのは大変なので他チームは自分たちの世代を想定し、そのペルソナを想定した遊びは飽和状態になるだろう」と読んでいました。

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オンライン遊びについて調べる中で「オンライン帰省」というユニークな文化が存在していることを知りました。「そうまでして家族との時間を過ごしたいという人がいるならそれはターゲットになるのでは?」「従来の帰省でもずっと親と祖父母が喋ってる空間でゲームする子供とかいるよね?その状況をオンラインで再現するのって嫌じゃないかな?」ということでターゲットはオンライン帰省をしようとしている親世代に。そこからペルソナの人間を意地でもオンライン帰省させられるように、また「いそうな人感」を出す為に設定を足して行ったことを思い出します。

〜設定こだわったポイント〜
・小学生の子供(n)2人
年齢は融通が効くように最初は設定していませんでした。幼稚園だと多分落ち着いてられないし、中高生はスマホ弄ってるだけだろう…ということで2人の小学生の兄弟にしました。
・実家近くに住む妹
「子供2人養えてかつ首都圏に住む50代」の「親」ともなると70〜80代前後。
「爺さん婆さんだけだとインターネットの設備とか用意できないよね」ということでインターネット環境を実家に生み出すためだけに実家のそばに住んでいるきょうだいを用意することにしました。当初は実家ぐらしだったのですが「推定40代後半で実家暮らしは若干問題あるよね…」という失礼かつ残酷な現実を回避する為に徒歩圏内に住んでいるという想定になりました。
「強度のあるペルソナなら企画に無茶があっても修正が効くだろう」ということでやたらと凝った設定を生やしましたが有効活用しきれず……この辺りは少々残念ですね。

ペルソナが決まった後に考えたのは「じゃあ何して遊ばせるの?」
「アソビ大全」「雀魂」を推定10回以上提案しては消しという過程の中で生み出されたメモがこちら。

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「UNO、トランプ、百人一首はオンラインだとどうやってもカードのやりとりができないよね」、「すごろくや人生ゲームなら皆でできるよね」と方向性が確定。
「オンラインで繋がった参加者それぞれの手元にすごろくのボードがあり、体を動かして遊べる!」という原型が誕生しました。
「せっかくなら何か増えたボードを生かして遊びたい!」ということで、使っているボードを入れ替えて逆転!不利な要素や有利な要素を自分たちで付け足せる!というイメージで興奮した私の「サイコロサイクルってよくない?」という呟きから原案が決まっていきました。

サイクルのイメージは目の前にあるボードがシャッフルされて置かれること。
今まで全部「マワル」マスで構成された最強のボードを作って使っていた小学生達が、おじいちゃん達の使っていた微笑ましいイベントマスや何も弄られてないマスしかないボードに飛ばされたらそれだけで大興奮だろう…ということで具体的なゲームビジュアルが生み出されていきました。

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「〇〇ル」というネーミングは「直感で何をするかどの世代でも分かり、かつ盤面を映したり印刷してもらう上でシンプルに目立つ」ということを意識して統一しました。
トベルが最終的に他チーム限定になったので「トベルじゃなくてトバセルじゃない?」というツッコミが入りましたが、テストプレイの段階でデザインが確定してしまっていたのでGOサインを出しました。テストプレイの回数が少なかったことはnoteの方にもねじさんにもミヤザキさんにも見抜かれていてプロは違うなと感じた瞬間でした。スケジュールに甘えた私の責任です…
最終的にサイクルは他チームの指定したマスに移動。フリーマスも少なくして…という基本的な調整は完了。改めて初期案を見て感じるのはこの段階ではまだ参入のハードルを下げきれていないこと。実機自体ももっと簡略化できた部分が多かったようにも感じます。

サイコロサイクル(完成版)

何はともあれそれ以降は皆さんもご存知のビジュアルが完成し、スライドにロゴも入れ、とこれ以上ない仕上がりを見た私はこの時点で「これは行ける」という確信(慢心ともいう)を持っていました。これからすごいゲーム達を目にして大騒ぎするとも知らずに…


2.感謝・他チームや講評を受けての反省

改めてロゴデザイン担当とボードデザイン担当の2人、スライド作成とゲームの制作の段階でアイディアの提案に協力してくれた2人にも感謝を述べさせていただきます。スライド担当の二人が基礎をしっかり作っておいてくれたお陰で発表が上手く行ったといっても過言ではありません。ゲームのアイディア自体も多く出て、「何かを作る上での会話」が好きな自分が楽しんで制作できた理由だと思います。
デザイン担当の皆様には無理を言ってばかりで正直申し訳なさもありつつ、できあがったものが想像の何倍もの完成度で僕自身が一番興奮していました。
制作進行自体がかなりなぁなぁだったのでご不便をおかけしたと思いますが非常に助かりました。本当にありがとうございました。

・御茶ノ水キャンパスの感想
特に印象に残っているのはすごろくと似ている人生ゲームがベースだったチームセブンティーンアイスさん制作の「ヒーローになろう!」です。
「それ一つでできる」というポイントでキットにさいころとコマも付属していた点、ゲームの内容もさることながら最も衝撃を受けたのは記事本編の構成。
N高であるということを一切悟らせずに情報を欲している人に真に寄り添う形の記事構成には圧倒されました。強いペルソナのビジョンがあったのはこちらも同じくだったので、それを十二分に生かしている発表を見た時には僕個人として「完敗だな」と思いました。
また「なんちゃって面接」はキャンパス内でも数多くあった簡易ロールプレイの遊びのなかでもオリジナリティたっぷりで面白く、かつ元の知名度も高かったので「あそこに勝てるかなぁ」と内心すごくビクビクしていました。
発表の際は自分自身「100点満点の良いものができた」と思っていてかつチームの皆の思いもあるのでかなり勝ちを狙っていました。ただこの手の発表は100点満点のものを200点でカウンターされる展開もありえたので、どのチームも面白い遊びに加えて発表のクオリティが高かったキャンパス内3階での発表が一番緊張しました。

・note講評を踏まえて
コメンテーターのお二方にいただいた通りバランス面の調整不足、テストプレイの少なさは否めないですね。またターゲットの幅広さに対してゲーム自体のキャパシティも小さいというのはその通りだと思います。
他チームの皆様では福岡キャンパスのプレゼンでの漫才。あれはズルい。あのパフォーマンスをされたら勝てないです…
発表の前に参加される皆様のnoteを全て読ませて頂きましたがどれもとても面白かったです。どのチームも独自のペルソナに向けつつ、その上で参入のハードル がどれも低く「遊び」という点ではこれ以上無い作品ばかりでした。まだまだ全国にはこんな強豪がひしめいていたんだと思うと驚きが隠せません。

3.これからについて

長々と書き連ねてきましたが、今回一番感じたことは「受取手のことを真に考えたコンテンツはすごい」ということ。今回の活動を通して一番学んだことだと感じます。
 元来ボードゲームに限らず「受け手に適したメディアを用いた面白いことを考えて実践する」という行為がすごく楽しくて、ようやく自分の中の”面白い”を一つ出せたと考えています。
この文を書いたのは半分は自分の中での言語化の為、もう半分は同じように”面白いこと”を考えて実践することが多いように感じるキャンパスやN高の後輩の皆様に何かお伝えできれば良いなと思ったのがきっかけです。言ってしまえばこの文の存在は100%の趣味です。
何か読んでいただいた皆様に残るものとなればお節介の甲斐もあるというものです。
それではここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

追記:@Fuya_nnnn(Twitterです。)



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