桜と野菜の種のまき方と性格
東北の実家 桜
4月半ば、実家の裏庭でお茶飲みをしている祖母、両親、兄弟とテレビ通話をした。
庭の小さな桜の木が満開だった。
クリスマスローズもたわわに咲いていて、穏やかな春。
東北生まれ、東北育ちの私は、桜がとても好き。
冬は、雪や路面の凍結、寒さで
家で過ごす時間が長くなる日々を過ごす。
実は冬も好き。
雪の日は、周りの音が小さくなってとても静か。
早朝の雪かきのこもった音。
部屋には、ストーブの上にかけた
やかんのお湯が沸いている音だけ。
春が近づくと、音が鳴り出す。
雪解け水が流れる音。
まだ上手に鳴けない鶯。
何種類もの野鳥のさえずり。
季節の流れを感じると、
様々な感情が溢れ出す。
桜が咲き始めると、いつのころからか、
有り難い気持ちになって眺めるようになった。
仕事でうまくいかないことが続いて、
ほろほろと、抑えられない涙を流しながら
帰宅した日の夜。
庭の桜が咲き始めたことに気づいて、
見ているうちに、また涙が溢れ出した。
寒い冬を耐えて、乗り越えて、
毎年咲いてくれる桜。
庭にあったからか、特に思い入れがある。
今年も咲いた姿を見せてくれてありがとう、
がんばったね。
私も、いつかまた、
桜のように美しい姿で前に進んでいけるといいなと思った。
自然の移り変わりに気づくと
力をふっと抜けるような気がする。
考えてもどうしようもないこともある、
直したいと思う真面目すぎる性格もなかなか変えられない。
でも、まあいいか。と最近思うようになってきた。
桜や草木、自然のように、
流れに身を任せてみようと思えるようになってきた。
野菜の種まき、そして鳥に食べられる
父は几帳面な性格、母は割合と大雑把な性格。
毎年、裏庭の家庭菜園の畑に、
2人が野菜の種まきをする。
畑に緑色の芽が出始めると、
両親どちらが種を蒔いたか、すぐ分かる。
整然と綺麗に並んで芽が出ているのは、父の担当した畝。
日光が均一にあたっているからか、成長もわりと均一。
土の養分も分け合っているのかな。
一方、バラバラに芽が出ていて、
大小バラバラに成長するのが、
母の担当した分。
本当にすぐ分かる。
美味しそうに見えるのか、
父の蒔いた、整然と美しく育った葉っぱ達は、
ある日突然、柔らかく美味しそうな上の方の部分を、まんべんなく鳥に食べられる日が来る。
父の方だけ、草刈り機をかけたみたいに。
毎年、そんな朝があってびっくりする。
母の方は、なぜかあまり鳥に食べられない。
でも、どっちもいいかなと思って。
また今年もだねと、家族で笑う。
父の分は、鳥の食事に。
母の分は、家族の食事になる。
几帳面でも、大雑把でも、
何かの役に立っていることもあるし、
それで笑えることもある。