夏が来るね
5月の週末。昼下がり。土曜日。
風に揺れるカーテンと向こう側の空。
もうすぐ夏が来るんだなと思った。
わけもなく、ふらふらと何処かへ行ってしまいそうだった。
このベランダから空に向かって飛んでみたい。
雲ひとつない初夏の空にわたしの手が届きそうだと思った。
永遠に今が続けばいいと思った。この瞬間だけを切り取って夏の気配を感じていたい。
全てを投げ出して、時間が止まって。
変わる季節から、気温から、時代から、世界から逃げ出したい。
5月の柔らかな週末に、私を閉じ込めて、守ってほしい。
いつか私の命が尽きるとき。
その日は今日のような爽やかな昼下がりであってほしい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?