「音」

君は
川のせせらぎのような
リズムを奏でる

晴れの日は
公園のベンチで
哀しみを干して
雨の日は
部屋の窓辺で
雫の音を聴く

ある時 君は言った

「ぼくらは、特殊なんだ。
ふいに訪れた存在に
たとえ
傷ついたとしても
だれもわからない。
不確かな存在の君と僕と。
もっと不確かな世界の中で
それ以上でも、それ以下でもない。」

ふたりは
時折
沈黙を選ぶ
静かな空間が
これほど心地よく
この胸に染み込むのは
嘆きの唄よりも
せせらぎの音を奏でる
君だから

互いの
孤独の欠片を
いっぱい掬って
川に放した
ふたりだから

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