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小さな神様

「小さな神様」

それは一編の詩のような映画だった。


雪が降っていた
サクッ。サクッ。
雪深く刻まれた足跡は
日の光の照らされ
命の鼓動のように
躍動して 儚げだ


まるでおとぎ話のような
懐かしいにおいのする森の近くに
都会からきた少年が引っ越してきた

神様を信じていない少年の前に
唐突に現れた
ミクロの神様

小さな神様は
ちいさな ちいさな願いを叶えてくれて
少年はよろこんだ


そんなある日
悲劇は起きた
少年は懸命に神様に祈る
けれど
待てど暮らせど
神様は出てこない

いちばん叶えてほしかった
少年の祈り

祈りは届かなかった


空の上に
神様がいて
良い行いも
悪い行いも
ぜんぶ見ているかのような


なにか大事な時に
どうか神様! なんて
お祈りをして

そうやって
時は過ぎていき

ある瞬間の幸福と
ある時刻の悲劇と

そうして森は
光の中で踊っていて
さりげなく
透明で
永遠のようで
儚げだ

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