「静かな朝に」

まわり回ってたどり着いたのか
結局同じ場所に戻ってきた

遠い昔
永遠という掴みようのない
雲の落書きに
少しの疑問を抱かず
能天気に空を仰いで
ふわり ふわり
うたた寝していた

「もういいかい」
「まぁだだよ」 
というリフレインが頭の中をぐるぐる回って
ひとりだけ取り残された
かくれんぼうの残り火

煩悩から切り離すことのできない
清濁混合したこの身体は
刻一刻脈を打って
空っぽの時間をつくることを
望んでいる

時代が進むたびに
蓋が閉まらないほど
沢山の情報に囲まれ
満腹中枢は壊れかけていた

出会いは街中溢れていると
今朝見たTVコマーシャルはうたっていた
本当に?

瞳は開いてはいても
焦点が定まらない混沌の中では
君の声は聴こえない

とりかえしのつかない瞬間に
理解の足りない溜息を
空に吐き出すくらいなら
精一杯深呼吸して
与えられた孤独を理解したい

あとどれくらい
心と心は
触れ合える瞬間が
あるのだろう

答えは
誰にもわからない
世界の億万長者だって
日陰のならず者だって
君を守るスーパーマンだって
心の感度を操ることは
できない

とても静かな朝
鳥は木々や花々たちの
呼吸に寄り添い
いつか来る
さよならを包み込むような
やさしい音色でうたっていた


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