「出逢い」

逢いは唐突だった
ごく自然に
ふたりの視線が重なった
その日は
特別な朝ではなかった
予感もなかった

たまたま晴れていたから
扉を開けて
自由の羽根を広げたのだ
意気込んで
和の中に溶け込もうとしたら
きっと
君を見つけられなかっただろう

耳を澄ますと
君の声は ほのかにやさしく
ひらひらと
桜の花びらのように
ひらひらと
軽やかな風に乗って
私の耳元で舞うのであった

それは
薔薇のような
艶やかな恋とは
似ても似つかないほど繊細で
それぞれの
胸のポケットに
そっと仕舞われているような
ふたりの間で通じ合った
秘密の感触だった

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