見出し画像

「眼差し」

君が君らしく
私が私らしく
暮らしている
この空間が好きだ

時折
君の寝息を
聴きながら
終着駅を知らない列車で
旅をしているふたりを
夜空に浮かべる

外で見せない顔も
さらけ出したあの日の
満月も
どの記憶を辿っても
最終的に
ふたりは互いを
受容していた


あの日偶然
君と出逢った

ほかの誰より
輝いていたとか
一目惚れとか
そういう
たぐいではなく

ふたりとも
そういうシンデレラ物語と
距離を置いていた
タイミングで

心の片隅に
仕舞い込んでいる
少年の涙と
少女の落書きが
重なったからだ


抱えている
孤独の量は
この世界に
生まれた瞬間から
変わらないのかもしれない

変わり行くのは
孤独をみつめる
深い眼差しだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?