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ラーメン屋のにおい(2020/09/02)

画像は話題とは全く関係ないお店のラーメンです。バーみたいな店内だった。

なんのにおい?

ラーメン由来じゃないラーメン屋のにおいがあるらしい。仕事終わりに同僚とおしゃべりしていたらその場所から見えるラーメン屋の話になり、そう聞いた。

わたしはそのラーメン屋に行ったことがない。同僚はあるのだが、彼曰くあの店はにおいが独特とのこと。スープが特徴的なのか?と思いきや違う。

店舗そのものの、なにやら、におい、らしい。そこまでしか聞き出せなかった。え、煙草?油?芳香剤?どんな……?と質問してみても要領を得ない。不思議に思えて興味が湧いた。

けっこう気になったのでGoogleでつけられたクチコミを見てみると、あの店は脂しっかりの豚骨ラーメンを出すところで、実際店舗だけでなくスープもにおいが強いようだ。

クチコミをさらに読んでいくと、店内のにおいについても多数言及されていた。曰く、獣臭い、動物園、下水道、腐卵臭、あるいは豚骨のにおい。動物園や腐卵臭はちょっと不穏だな……。しかも店外、駐車場までにおうという指摘まである。においの強力さが窺える。

未知のラーメン屋のにおいに思いを馳せる。おそらく上記のように形容される豚骨やその他の色々に由来する複数のにおいが混ざり合って、独特なその店の空気(物理)を醸成したのだろう。

そんな様々な要因を敢えて分解して捉えようとせず、きわめて素直に解釈した結果が最初に聞かされた「ラーメンじゃないにおい」なのかもしれない。解像度低くない?

正直に言って答え合わせ的な興味はある。とはいえ鼻炎のくせにやたらとにおいに敏感なわたしは、その強烈(仮定)な空気の中でこれまたにおう濃いラーメンを食べねばならないことを考えると、どうにも行って確かめようとは思えなかった。ラーメンが食べたくなったようなならなかったような話だった。

どんなにおい?

におい、ニオイ、匂い、臭い。表記を選ぶだけで書き手の善し悪しの判断が反映されるのはちょっとおもしろい。ちなみに先の文章では、においが良いか悪いかは本題でなく断ずる必要もなかったのでこの中では最も中立っぽいひらがな表記で通した。カタカナで書くと若干くさい寄りになる気がする。

件のクチコミ一覧を見ると、同じにおいへの言及でも書き手によって「匂い」表記と「臭い」表記が混在している。しかも、「匂いを臭いと思う人がいるのは心外、バカにしすぎ」「臭いを改善しようとしない店も行く客も理解できない」となかなか強い言葉も見られる。単に好みが分かれそう、と述べる中立派もいた。

それはそれとして、よく見ると「店内の匂いをおさえてください。」というレビューをはじめ、臭くても「匂い」と書く層がある程度いることがわかる。安易に「匂い=いいにおい」とも読めない場合があるらしい。まあ細かい使い分けなんてそんなもんだと思う。

複数の表記がある言葉の中でも、一定の正解がある「はかる」などとは一線を画し、書き手個人の価値観に大きく依存する「におい」の表記。おもしろいだけでなく端的にそのにおいへの評価が伝わるのは便利なので意識的に使い分けたい。

1ツイートに圧縮すると

あるラーメン屋の店内に独特なにおいがあるって聞いて、何それと思ってクチコミ見てみたら獣だの下水道だのわりとひどい言われようだった。ちょっと確かめに行く勇気は出ない。「匂い」って書いてる人もわりといたのはおもしろい。

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