puzsqアドベント2023のサムネイルの話
☆★Merry Christmas★☆
ペンシルパズル Advent Calendar 2023、25日目の記事です。
どんな内容か
パズル投稿サイトPuzzle Square JPにて、アドベントカレンダー企画「puzsqアドベント2023」が開催されました。日替わりで指定されたパズル種を、いっぱい投稿していっぱい解こうというイベントです。
イベントの特設ページでは実際のアドベントカレンダーのように、1日ごとにサムネイル(パズルの解答盤面を着色したりデコったりしたもの)が表示されていきます。この記事が公開されているときには、すべてのサムネイルが表示されていることでしょう。
そのサムネイルの制作を、今年も私に任せていただけることになりました。ありがたい話です。
この記事では、puzsqアドベント2023向けに制作したサムネイルがどのような経緯で生まれたのかを、(一部除き)25日分まるっと紹介していきます。
パズルを解く/作ることに関することは一切出てきません。かと言ってデザインの役に立つわけでもない気がします。絵日記くらいの感覚で流し見していただければ幸いです。
サムネイル、こんなふうに作った
共通方針
今回制作したサムネイルのほとんどは、単に「配色を決めて解答盤面を着色する」のではなく、「何かしらのテーマ・モチーフを決めてそれを表現する」という手法で作られています。
テーマ・モチーフは、パズルそのものの題材から連想したものもあれば、全く関係のないものも。
細かい点で言えば、
視認性を必要以上に犠牲にしないこと
そのパズルの肝となるルールを強調すること
Edge(辺)のThicker(極太線)は、基本的に外周・部屋の境界線でのみ使うこと
各マスの辺はデザイン上の邪魔になるならガンガン消してしまうこと
あたりを念頭に置いていました。見た目はスッキリ、かつルールは伝わるように。
それでは、ここからは各サムネイルの制作秘話というほどでもない話を日付順に。
なお去年と同じサムネイルを使用した12/1のチョコバナナ・12/24のダブルチョコについては、本記事では割愛させていただきます。
12/2 Castle Wall
テーマ・モチーフは「草原に佇む中世ヨーロッパの城」。
パズル名が「城壁」なのでこれ以上捻りようがないですね!
「城」感を出したいのと、内側・外側が重要なパズルなので、ループの内側を城壁に近い色で塗りつぶし。
それにしてもいびつな形のお城だ。
12/3 ノースリー
テーマ・モチーフは「白銀の迷宮城」。
「白銀の迷宮城」とは、遊戯王OCGデュエルモンスターズというカードゲームに登場するカードの1つ。
美麗な城に誘い込まれた侵入者たちを、張り巡らされたトラップで次々と撃退していく——というテーマを支えるカードです。赤いところ(等間隔禁)でトラップが発動していそうですね!
……とは書きましたが実のところこれは後付けのテーマで、「等間隔禁をアピールしつつ、無機質な感じを醸し出したい」という方針で作ったのがこのサムネイルだったりします。てへぺろ。
当初用意していただいた例題の盤面には赤い列のような「等間隔禁であることがわかる箇所」がなかったため、デザイン担当でありながら例題の作り直しをお願いしたという経緯があります。わがまま言ってすみませんでしたー!
12/4 ソウルメイツ
テーマ・モチーフは「暖かい絆」。
とのことで、どうやら単純な男女の仲という話ではない模様。
「異なる2人」というよりは「似たような2人」が惹かれ合う感じなのかなあと解釈し、同じ色・数字が結ばれるというデザインにしました。
12/5 Inverse LITSO
テーマ・モチーフは「テトリス」。
このパズルは白マスがテトロミノ型というのが厄介。
あくまでも「黒マスひとつながり」がルールのベースなので、白マスは薄く着色して黒マス・白マス双方の制約を表現しています。なおテトロミノの色はテトリスのガイドラインで定められたものを採用。
せっかくなので、同じ要領でLITSのサムネイルも作ってみました。こちらは黒マスが主役。
ガイドライン通りの色だと黒マスの繋がりが見えにくいので、ちょっと暗めにしています。
12/6 シンカミノ
テーマ・モチーフは「恐竜たちの進化」。
ニコリ本誌での2軍昇格(準レギュラー化)おめでとうございます。チェンブロは力及ばずでした。
「進化」といえば恐竜が真っ先に浮かぶのは何故だろう。遊戯王でも恐竜が進化しているし。
ということでひとまず水辺がある荒野をセッティング。典型的な恐竜カラーの四角形を置けばいい雰囲気。
もともと黒マスだったものを水色にするのは不安でしたが、ヘルゴルフで「水色=池(侵入不可マス)」というイメージがあるのでたぶん大丈夫でしょう。
12/7 クロスウォール
テーマ・モチーフは「真夜中の高速道路」。
パズル名と解答盤面を見たときに、パズスクで過去に行われた「Puzsq交差週間2023」を真っ先に思い出しまして。
そういえばこのイベントのバナー画像、夜の高速道路を背景にして作ったなあということで、モチーフとして取り入れた次第です。
(なおPuzsq交差週間2023でクロスウォールは特集されていません。そんなばかな)
「内側度」がカギになるパズルであるという点を、領域の色の濃さで表したのがポイント。
12/8 とんとんべや
テーマ・モチーフは「積み木」。
木箱に綺麗にしまわれた、色とりどりの積み木。
部屋内での種類が多いほど主張が薄くなる(?)ということから、色もそれに応じて薄く。
記号ごとに基本の色を統一することで、部屋どうしでのつながりもわかりやすく見せようか、といった感じに。
なお「○=赤、△=緑、□=桃」という配色はPlayStationのコントローラーのボタンから拝借しました。
12/9 Math Path
テーマ・モチーフは「算数の授業」。
「黒板にチョークで書いたようなデザインにする」というのは2023年にパズスクで行われたペンシルパズルデビュー週間で前例があって、
今回のMath Pathのサムネイルでもそれを採用しようかなと。
ピンクの矢印は本来ありませんが、一目で何をするパズルかわかるように付け足しました。見やすさが多少犠牲になった気がしますが。
12/10 ①Cross Border Parity Loop
テーマ・モチーフは「カジノのルーレット」。
要素が盛り沢山で何をテーマにするか困りましたが、
「Parity(偶奇性)」
→「Odd/Even」
→「ルーレットの賭け方(ボールが入る数字が偶数か奇数かを当てる)」
という連想ゲームで、ルーレットの盤面をイメージしたサムネイルに。赤と黒のカラーリングは、同じくルーレットの賭け方のひとつである「Red/Black」(ボールが入る数字が赤色か黒色かを当てる)から。
丸つき数字がカジノで使うチップのようにも見えて、うまくまとまったように思います。
12/10 ②Kissing Polyominoes
テーマ・モチーフは「テトリス×フランボワーズケーキ」。
はじめは「ポリオミノがキスしてるんだな!めっちゃラブラブな配色にしたろ!」と考えていたのですが、制作中に突然ケーキが食べたくなった結果、このような謎のテーマになってしまいました。
ポリオミノが接するバー記号の配色に苦労した記憶があります。桃色周辺の色だとS・Tミノの色に溶け込んでしまうのです。
あれこれ試した結果、ケーキの上に乗っているブルーベリーをイメージした色で決着。
12/11 ①ガイドアロー
テーマ・モチーフは「fff's Puzzle Journey」。
fff's Puzzle Journeyとは、fff氏がnoteで展開しているオンラインパズルマガジンのこと。ガイドアローはこのマガジンで取り上げられているパズル種の1つです。
マガジン内の記事では各パズルのルールが画像で説明されていて、そのパズル紹介画像をもとにして制作したのが、このサムネイルです。本家と同じ配色であることに気づいた方はいたのでしょうか。いたらとても嬉しいです。
↓有料記事ですが、パズル紹介画像は無料で見ることができます。見比べてみてください。
12/11 ②Aquapelago
テーマ・モチーフは「リゾートアイランド」。
にしなんとか氏の記事にもある通り、Aquapelagoは何かしら意味のある単語ではあるらしい。よくわかりませんが。
よくわかりませんが、「美しい海!豊かな自然!観光客!」という情景は浮かびます。黒マスを薄い黄色の太枠で囲ってあげれば、砂浜っぽさも出るでしょう。
なお今回のようにマスを太枠で囲った場合は、盤面全体も太枠で囲ってあげると、太枠がポコンとはみ出る見た目になるのを防ぐことができます(12/7のクロスウォールを参照)。
Aquapelagoの場合は砂浜が海から飛び出てしまうので、これをやっておかないとまずい。
12/12 Kaisu
テーマ・モチーフは「スーパーマリオブラザーズの地下ステージ」。
丸を通る線が、コインを拾いながら進む様子に見えます。ニコリの某パズルでもそんなシーンがありました。
周囲のブロック壁は「記号→ポリオミノ」で描画できます。
12/13 Circles and Squares
基本的に何かしらのテーマ・モチーフに沿って作るサムネイルですが、このサムネイルだけはどういうテーマで作ったのかが思い出せないのです。
白マスの部分は「正方形」以外の情報はないので、色とりどりにしたのだと思う。
黒マスの部分はなんとなく木の色をイメージしたようにも見える。
クリスマスツリーというわけでもないし……なんでしょうねこれ?
12/14 Square Jam
テーマ・モチーフは「レゲエ」。
「Jam」という単語からまず想起したのは音楽の「ジャムセッション」。そして次に思い出したのが、音楽ゲーム「pop'n music」シリーズの登場キャラクターであるUncle JAM(ジャムおじさん)。
落ち着き気味な配色でサムネイルを作ることが多い気がしますが、たまにはこんなビビッドな配色を使うのも楽しい。
十字禁を表した黒丸はレゲエのヘアスタイル、ドレッドヘア・ブレイズヘアも意識しています。
12/15 海苔ぬり
テーマ・モチーフは「海苔&ごはん」。
青磁茶碗にあつあつご飯。パリパリの味付け海苔でご飯を巻いて食べたい。西京焼きも欲しい。ホタテ稚貝の味噌汁も添えたい。
12/16 ①Bouba & Kiki Loop
BoubaとKikiってなんだろうと思いまして。「何かのキャラクターの名前かな」と想像したわけです。
「Boubaは太っちょなクマのお兄さんかな」とか。
「Kikiはちょっと生意気で小柄な女の子かな」とかとか。
…ということで、テーマ・モチーフは「ブーバ・キキ効果」。いや初めて聞いたんですよこの言葉。本当に。
12/16 ②Tring-Tring
テーマ・モチーフは「Triad Primus」。
「7638」でお馴染み(?)「アイドルマスター シンデレラガールズ」に登場する、ユニットの名前です。メンバーは神谷奈緒・渋谷凛・北条加蓮。
このユニットのロゴをイメージした三角形を散りばめたのがこちらのサムネイルです。趣味全開!
このサムネイルの公開後、Puzsq Meets(Discord)でしっかりツッコまれました。伝わったのでガッツポーズ。
12/17 ①Tricklayer
テーマ・モチーフは「fff's Puzzle Journey」。
ガイドアローと同じく、マガジン内のパズル紹介画像をもとに作ったサムネイルです。見比べてみましょう。
なんだか左向きに座る犬のようにも見える。
12/17 ②コローン
テーマ・モチーフは「miroir」。
趣味全開シリーズ第2弾。こちらも「アイドルマスター シンデレラガールズ」に登場するユニットの名前で、メンバーは久川凪・久川颯。
2人は双子の姉妹で、合同な2つのブロックを作るこのパズルとイメージがピッタリです。
配色はmiroirの楽曲『O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!』での衣装から拝借。曲調のわりになんだかドリーミーな雰囲気。
12/18 Alcazar
テーマ・モチーフは「セゴビアのアルカサル」。
スペイン語で「城」を意味するAlcázar。中でもセゴビアというところにあるものが、白雪姫のお城のモデルになったことで有名らしい。
ということでセゴビアのアルカサルをあれこれ調べて、その内部の様子を表現することにしました。
黄金の天井に、鮮やかな赤色の壁。華やかで荘厳な雰囲気漂う城内を、白雪姫が巡るようなイメージです。
12/19 はすのむら
テーマ・モチーフは「はす(蓮・斜)」。
「はすのむら」の由来がわからず、最初は「蓮の村」かなと思ったのですが、原作者の畠入氏によれば
だそうで。言われてみれば「はす向かい」って言うなあ。
とはいえ頭の中はもう蓮がある情景でいっぱい。水に浮かぶ蓮の葉、美しい花。
ということでこれをそのままパズルの盤面で表現させていただきました。
それに加えて斜めの線を引くことで、本来の「はす」の意味もこめられたかなと。
12/20 ①R・Bループ
12/20 ②RGBループ
テーマ・モチーフは「光の三原色」。
とにかく色が多くて大変。
「よく白背景で光の三原色を解説している画像あるけど、本当は黒背景やで」というありがたいお言葉(参考)を頂いたので、基本は黒背景で確定。
黒背景に線を描くので、RGBの線は明るめに。線が溶けこまないよう、色の指示をするマスの色は白を除いてちょっと暗めに。
なんとなくThe Witnessの某ステージっぽくなりました。
それにしてもRGBループ例題の中央マスが白なのがいい仕事してますね。
12/21 シャカシャカ
テーマ・モチーフは「宝石箱」。
シャカシャカのサムネイルは以前にこちらの記事で作ったのですが、別のアイデアが降ってきたので改めて作ることに。
斜め四角形の部分をとにかくやりたかった。
↑の記事で紹介している「記号の重ね置き」を駆使して、問題モードと解答モードを行ったり来たり、三角形をポチポチ……。
手間のかかる作業でしたが、今回制作した中でいちばんワクワクしながら作れたサムネイルです。
ちなみに配置した宝石は
赤→ルビー
青→サファイア
緑→エメラルド
黄→トパーズ、あるいはシトリン
橙→サンストーン
濃水→ジルコン、あるいはアパタイト
桃→トルマリン(ルベライト)
薄緑→フローライト
紫→アメジスト
薄水→アクアマリン
をイメージしています。
12/22 ななめぐり
テーマ・モチーフは「鏡の国のアリス」。
元の盤面が縦横斜めの線だけなのがデザイン上難しい。パズル名に具体的な題材が含まれないのが難しさに拍車をかけます。
斜めの壁で線が跳ね返るといえば、ニコリ発の「キンコンカン」。ルール文でも斜めの線は「鏡」であると明言していますね。
そこから「鏡といえばアリスかなあー」とぼんやり考えて、鏡の国の中を飛び回るアリスの様子を描くことに。盤面が市松模様になっているのは、鏡の国のアリスがチェスをモチーフにしているから。
このサムネイルで使っている2重線は、問題モードで通常の太さの線を引いたあと、解答モードで細線を引くことで描画できます。
12/23 数コロ
テーマ・モチーフは「培養」。
もともとのパズル名が「増殖数字コロニー」なので、増殖感(?)のあるサムネイルにしたい。そこで浮かんだのが、ペトリ皿での培養の様子だったのです。
ちょっと毒々しい色に、数字がたっぷりでぞわぞわ。数コロに美麗なイメージを持っている方がいたらすみません。いるのか?
12/25 数独
テーマ・モチーフは「WSPC2023」。
12/21のシャカシャカと同じく、こちらもサムネイルはすでに制作済み。あまり目立っていませんが、ペンシルパズルデビュー週間でお披露目もされています(「数字配置のパズル」の欄)。
ところが運営の管理票を見ると、数独のサムネイルの欄が空っぽ。これは「ほら!数独といえば今年でかいイベントがあったでしょ!もっといいサムネイルいけるよ!」というメッセージだと勝手に解釈し、このサムネイルの制作に至りました。
黒・赤・青・白はWSPC2023のロゴの色。カスタム色が使えない「数字」モードでも使える色なのが奇跡です。
いかがでしたか
特にお役立ち情報があるわけでもないし、書いた本人も着地点がよくわかっていないのでいかがも何もあったものではないですが、いかがでしたか。
そもそも私はデザインが本業というわけでもないので「まあこんな感性のやつもいるんやな」くらいに捉えて頂けたらと。
もし「このサムネイルいいね!」とか「このサムネイルはちょっとどうかと思うぜ」などありましたら、ぜひコメントください。
パズラーが集うDiscordサーバーのPuzsq Meetsや、
Twitterだったところから引っ越してきたMisskey.ioという場所にもいますので、
こちらでもどしどしコメント受付中です。
それではみなさま、良いお年を。