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41. 「期待」は誰にするものか?

「やっぱり、人に期待はしないほうがいいかな?」

 先日、友人と3人でカフェに行った。
その際、その内のひとりであるⅠちゃんにそう問われ、私は即答した。

「うん、しないほうがいいと思う」、と。

だがしかし、家に帰ってからのひとり反省会にて、私は激しめに後悔をした。
あぁ、即答をしてしまった。もう少し考えて返事をするべきだったかもしれない。あーだこーだうじうじ。

簡単に説明をすると、Ⅰちゃんは自身が働いている職場の人間関係を改善したいと悩んでいた。社員全員が働きやすい環境を作るために、勇気を出して直接上司に物申したり、仕組化の勉強をしようとしたり。
誰かのためにそのような行動をし、悩むことのできる彼女には頭の下がる思いだ。

ただ、そのためには、あるひとりの社員さんに変わってもらう必要があると、彼女は言う。それで、冒頭のセリフに戻るわけだ。

話を聞く限り、Ⅰちゃんの想いはきっとその社員さんにも伝わっているのだろう。だからといって、その人の言動が変わるかと言えば、それは別問題だ。よく聞く言葉だが、他人は簡単に変えられないと、私は思う。

だけど、Ⅰちゃんはその社員さんが変わってくれることで、社内の雰囲気が良くなるのではないかという淡い期待を抱いていたのかもしれない。その期待は、ある意味希望だ。
その希望を「他人に期待はしないほうがいい」という一言で、私はぶった切ってしまった。なんて嫌な奴なんだ。

しかしここで、「いや!きっとその人も変わってくれるよ!」と、別の期待を持たせるのもいかがなものだろう。
その場しのぎの肯定ならいくらでもできる。いくらでもできるけれど、それもなんだか違う気がしたのだ。

 そもそも、『期待』は誰に、何に対してするのが正解なのか。

たとえば、私は他人から期待をされることが大の苦手だ。他人からの期待は、ただただプレッシャーという重しになり、自分に圧し掛かってくる。
そういった意識も相まって、「他人に期待はしないほうがいい」といった概念があるのだ。偏見かもしれないが、他人に期待を寄せる人は、相手が自分の思い通りの結果や成果を見せないと、勝手に失望し、落胆することが多い気がするのだ。
勝手に期待をし、勝手に失望するなんて、自分勝手にもほどがある。親、子、恋人、友達……どのような関係であっても、勝手に失望をするくらいなら、端から期待なんてしないほうがいい。

しかし反対に、「期待をされることで頑張れる」人もたくさんいるのだろう。
その人たちは、他人からの期待を応援として受け止めているのかもしれない。他人からの期待をエネルギーに変え、期待通りの結果を出したり、期待以上の成果を果たしたり。そのようなことができる人たちのことは、心から尊敬する。そう考えてみると、「他人に期待はしないほうがいい」といった私の持論は、きっと間違っているのだろう。

ただ、そういった人たちはその「期待」のなかに「信用」も備わっている気がする。寄せられる期待と共に、相手に対する信用さえあれば、たとえ望まぬ結果であったとしても、失望なんてしないはずだ。また、自分に対する信用があれば、他人からの期待を過度なプレッシャーとして感じることもないのだろう。

 そんなことを考えていると、ピロン♪と、クライアントからメッセージが飛んできた。
私はYouTube動画のシナリオライターをしているのだが、どうやら先日執筆をした原稿で、初歩的なミスを犯していたらしい。そのことをやんわりと指摘された。

ぎゃあ!なんという凡ミスを!!未だにこんなミスをするなんて!

そう自分を責め、謝る私に対し、クライアントであるプロデューサーからゆるーい感じでこう返信がきた。

『自分も立場上いろいろ言っていますが、このお仕事は楽しんで取り組んでいただくことが一番大事かなと思っていますので、あまり気負わないでください!』

そうか。私は気負っていたのか……。
思えば、プロデューサーはいつも私のことを『信頼のおける作家さん』と言ってくれる。そう言われるたびに、私はじんわり温かい気持ちになり、やる気がみなぎってくる。こうしたミスに寛容なのも、おそらく彼がいい意味で私に期待をしていないからなのかもしれない。(器の大きさも関係あるのだろうけれど)

 相手の真意がどうであれ、やっぱり、私は他人からの期待は苦手だ。重圧に感じてしまう。
だけど、他人からの信頼には全力で応えたい。そして、どのような時でも信頼のおける人間でありたいと、そう思う。そういった意味での「期待」なら、誠心誠意、正面から受け取る覚悟ができている。

反対に、自分が誰かに期待を寄せることがあるとすれば、その相手は自分でありたい。
せっかく生きているのだから、私は私の可能性に懸けたい。不可能を可能にするのは、結局自分次第だ。自分の人生、自分で舵を取っていきたい。

そんな自分への期待を裏切らぬよう、これからもコツコツと目標に向かって取り組んでいこうと思う。

【今日の独り言】
前回の自分で自分へのインタビューnote。なんとあのさとゆみさんが読んでくれたらしく、「めちゃくちゃ面白かった」との感想までいただいてしまった。歓喜であります。ありがとうございました!!

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