見出し画像

最高を求めてはいけない

最近思う事

みんな、最高のものを求めているような気がするんだよなぁ。
だから、いろんなことのレベルが際限なく上がっていき、際限なくコストも上がっていく。
そりゃ、いろんなところで破綻してしまう。

もちろん、最高のものは欲しい。でも、それは贅沢なんじゃないかな?無限に資源があるのであれば別に求めても構わないけど、経済が縮小している今の日本で、最高のものを求める余裕なんてあるんかいな?って思ったりするわけです。

なお、昔書いた独りよがりになってはいないか?に近い内容です。なんか、言い足りない気がするんで…

よく見る例-国産のパソコンが壊滅したときのパターンに類似したもの

よく見る例です。これ、日本だけではなく海外でも見かけたりするので、どうにもならないのかもしれない。

基本的な流れはこれです。

1)最初は利益もそこそこで商売を始める。
2)市場が広がり始めると規模拡大が始まる。
3)規模拡大でコスト効率が悪化する(単価上昇 or 利益確保)
4)悪化したコスト効率を補うため高付加価値に走る
5)結果、製品単価が上昇する
6)製品単価の上昇に伴い市場が縮小する。

で、道を踏み外す原因は、2)だと思うんですよね。規模拡大も必要なんですけど、拡大の方法を間違えてはいないかと。
3)が起きるような拡大をしちゃいかんのですよ。でも、拡大するときに集まる人たちって、やっぱり違うんですよ。それまでいた人たちとは。だから、3)はどうしても起きてしまうと思うんです。
で、その後は階段を転げ落ちていく形です。
4)であんまり必要性は高くない機能をつけ始めます。高コスト化の理由付けですね。もちろん、必要な機能は開発すべきですが、どう考えても要らない機能もいっぱい。
これだけ機能をつけたからという理由で5)が実施されます。そして、どんどん高くなる製品コスト。最初は我慢してくれていたお客さんもだんだんと離れていきます。

ちなみに、実は6)の後に7)があるんですよ。

7)低コストのマーケットが空白となり、そこが別の企業等に占拠され更に市場が縮小。

このパターン、あちこちで見かけているから、もはやこれは人間の本能なのかなって思います。
パソコンは国産のPCを買って最初にやることが要らないソフトの削除だったりしましたしね。あと、5)の製品コスト情報をごまかすため必要な部品はオプションなんてこともよくやられますね。自動車がこれですね。最小スペックだと正直買う気にならないような商品で、必要なオプションを載せていくともの凄い金額になってしまったりとか。他にも、さらなる利益追求のため高付加価値に走っているところなんかゴロゴロ。もう、どこもかしこも高級志向でものを作ろうとする。

でも、流行っている店って、高級志向ではないんですよね。7)で空白のマーケットに滑り込んできたところにお客さんがいっぱい来ている。なんちゅうか、わざわざマーケットに参入しやすい場所を空けてあげているというもの凄い人の良さ。好き好んで滅びの道を選んでいるようにしか見えないんですよね…でも、そこに滑り込んできた企業も、何故か同じルートを歩み始める…やっぱり、人間の滅びの本能なんですかね。まぁ、市場が縮小しても食べられなくなった企業の一部が退場してくれれば何とか食べていけるんで、こうなると厳しい競争ですね。なんか、この消耗戦はとても辛いものにしか見えませんよ。

ちなみに、パソコンとか書きましたが、ガラケーも同じ道通りましたね。スマホも同じ。自動車もそう。ブランド××なんて奴はたいていここ。もちろん、それで新しいマーケットも開拓しているから絶対駄目というわけではない。でも、新しいマーケットが見つかるケースなんてそうそうありゃしないですもんね…まぁ、自動車産業とかは業界全体で一糸乱れずこの道を歩んでいるから7)が来てませんけど。海外から気軽に輸入できるようになったら、7)に突入しちゃうし、そうなると国内の製造業が危ないんで、多分国を挙げて阻止するんだろうなーって思ってますけどね。

結局

コスト効率の悪化を防がにゃいかんのです。初期のメンバーは非常に優秀な人で構成されているケースが多く、正直コスト的にはあり得ない集団だったりするんですよ。で、3)で人が増えれば増えるほど普通の集団に変わっていきます。
ということはコスト効率の悪化という言い方は実は間違っていて初期の異常な低コスト状態が是正されるというべきかもしれません。普通ってのはそういうことです。

私も小さい企業に入社して、そこが数千人規模の大企業に変化していく中にいたことがあるので、これに近いことを経験することが出来ました。人数が少ないときはいい。何とかなる。でも、人数が増えてくるともうだめです。コントロールできない。目が届かない。目が届かなくなると、サボる人が出てくる。サボらなくてもコストのかかる人もいる。全ての人がパーフェクトで有るわけが無いのです。小さい企業は選別してパーフェクトに近いチームを作ることが出来ます。でも、でかくなればなるほど選別が十分に出来なくなる。そして、普通の集団に変わっていく。

ちなみに、普通の集団になった先には、更に転落に向かう道もあったりするのですが、まぁ、それは今回は書きません。

で、最高を求めてはいけないに繋がる

お客さんは常に最高を求めている!という宗教的な信念がどこかにあると思っています。私は懐疑的ですが。お客さんは自分が支払うことが出来るコストの中で常に最高を求めているならば理解できますけどね。なんか自分が支払うことが出来るコストの中でがバッサリと抜けているんですよ。だって、この部分を理解していたら製品単価が上昇するという選択肢が駄目なことぐらいわかるはず。でも、多くの人はとにかく高く売れるようにする。もちろん、同じ商品だったら高く売れる方が良い。でも、大して欲しくない機能とか品質とかを追加することで単価が上がった商品がお客さんにとって嬉しいはずがない。同じ商品が高く売れるのは利益上昇ですよね。これは、商品のベースの値段とは関係ない。上に積むものです。でも、機能追加で商品価格が上がった場合は商品のベース値段が上昇しているんですよ。全く違う。

ここを誤解してはいかんのです。

お客さんは最高を求めているというのが、この判断の言い訳になっているような気がするんですよ。本当に良くない。

お客さんも最高を求めてはいけない

何故か?それは上のお客さんが最高のものを求めているのでということの言い訳に使われちゃうからです。
良いものが欲しいか?と聞かれたらYesです。そりゃそうです。
でも、追加のお金を払っても良いものが欲しいか?と聞かれたら、正直、ケースバイケースですよね。

最高のものを求めるならばコストを負担すべき

更に状況を悪化させているのが大したお金も払っていないのに過剰なサービスを要求している人です。安い商品にケチをつける人たちですね。
個人的に本当にダメだと思っているのはサービスに対して対価を支払わないということです。もちろん、すごく安くてサービスも抜群なんてものもあるかもしれないけど、滅多にないですよね。通常、安ければその分何かが減らされています。

個人的にはリスクを肩代わりしてくれることに対してお金を払うサービスに対してお金を払うという感覚を持ってほしいとずっと思っています。何故か、この部分があちこちから抜け落ちています。
通販の店に比べて高いなんて文句をよく聞きますが、買う前に現物を見せるというサービスが提供されているんですよ。更に疑問があったらその場で回答してくれるというサービスも提供されているんですよ。通販の店に比べて高いとか言われるのは正直しんどいと思いますよ。そりゃ、店もたたみますよ。
リアル店舗で商品を確認して通販で買うなんてサービスに対するお金を払わない典型ですよね。そういうことをやればやるほど店は苦しくなりいなくなっていく。自分の首を絞めているんですよ…

結局はコストなのかな?

と、私は思っています。この感覚をしっかりと持つことは難しい。だって、自分で考えて判断する力が必要ですからね。でないと、コストが適切か判断することが出来ません。
でも、そこを頑張ってつけることが、多分、これから必要になります。

だって、すでにリアル店舗が滅び始めて来ているんですよ。今までは、コストを負担することで簡単に得られていたサービスが受けられなくなるんですよ。

サービスは受けられないし、リスクも自分持ち。

もう、ほぼそんな世界になっちゃいました。あとは、過剰なサービスを求める人に対する保険を掛けないといけないんで、サービスの価格はどんどん上がっていく。

私が何を言っても世の中が変わるわけではありません。でも、なんでこんなことになっちゃったのかなーと言うのはしっかり考えないといけないと思うのです。

おわりに

とりあえず、相談した人にリスクをかぶせるのをやめるところから始めましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?