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つくしんぼ、そして祖母のこと。

下を向いて歩いていたら
春を見つけた
つくしんぼ
この辺じゃあまり見かけないから嬉しかった

子供の頃、少し歩いた所に
つくしんぼの小山があって
毎年たくさん摘んで帰った
祖母が1度だけ佃煮にしてくれた
食べられるんだと初めて知った

その頃私は幼稚園生で
たぶん祖母は50代だったと思う

それから程なくして
祖母は右半身不随になり
日常生活が不自由となった
話すことがうまく出来ず
回らない口でいつも頑張って
伝えようとしていた
身体が思うように行かず
いつも自分を責めたり
ダメだねぇ…と自分の右手を
左手でさすっていた

祖母のもどかしさが
幼いながら伝わってきた

それでもいろいろと教えてくれて
小学3年の頃には
針と糸と端切れで
縫い物をさせてくれた
藤山寛美が好きで
笑点が好きで
テレビを見ながら笑っていた
中学2年の1月に
祖母はあちらの世界に旅立った

私はおばあちゃんが好きだった

つくしんぼを見つけて
昔むかしの
そんなことを思い出した

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