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【連載 第2回】スクリーンが教室になる、新しい学びの形

山口たく(やまぐち・たく)1972年生まれ。都内大手名門進学塾やプロの家庭教師として、15年以上に渡り御三家中や最難関国公私立高校受験を指導。
その後、理想の教育を求めてニュージーランドに教育移住し、Ties. JNZ(Terra International Education Services. JNZ)を設立。これまでに国内外で教えた生徒は数千人にのぼる。
現在は『望む場所で、望む仕事をしながら、世界に貢献できる喜びを実感できる未来を与えられる教育』をモットーに、日本人留学生や現地在住日本人子女に指導を行っている。また、10年近い海外子育て・教育の経験を活かし、『ニュージーランド教育&国際バカロレア受験コンサルタント』としてさまざまなメディアに出、教育相談はもちろんのこと、留学や国際バカロレア教育に関するコンサルティングを行っている。2児の父。

オンラインでできること 

学習は教室や自宅などで、一緒にいる先生と同じ空間で、教科書やノートを使って学習するもの。私たちはいつの間にかそんな伝統的な一つの雛形を、学習の決まったスタイルとして当たり前に受け入れています。特にオンライン化が遅れている日本では、いまだにその先入観が強く、オンラインレッスンをしていますというと、その効果を疑問視する声も頂いています。  

確かにオンライン学習は伝統的な対面授業に比べると、異なる側面が多いことも事実。だからこそなかなか受け入れにくいというのも、理解できなくはありません。しかしこれまでの28年に及ぶ受験指導と、10年を超えるオンライン指導経験を通じて確信を持って言えるのは、オンラインレッスンは決して対面の一時的な代替手段などではなく、使い方次第では対面レッスンにとって変わりうる次世代の中学受験の形であるということです。  

オンラインレッスンにどのような授業スタイルがあるのか、そしてそれを中学受験にどう活用していくのかについては、後ほど改めてお話しします。ここではまずオンラインでどのようなことができるのかについて、その全体像を説明したいと思います。  

リアルな臨場感

オンラインレッスンではまず、通常の対面授業と全く同じように、リアルタイムで先生の授業を聞いたり、他の生徒の発言を聞いたりすることが可能です。演出の方法次第では、まるで本当に教室の中にいるような、リアルな臨場感を感じることもできます。まさにスクリーンの中にある教室で、対面式と同じように授業が受けられるというわけです。

板書も可能

先生の板書もオンライン上のホワイトボードに書き出せますし、資料や写真をそこに貼り付けて表示することも可能です。これは通常の授業で先生が黒板に板書をし、資料などをマグネットで貼り付けて説明するのと全く同じですね。 

ニュージーランド国旗

ちなみにニュージーランドの学校には、数多くの電子ホワイトボードが設置されており、先生はそれを使って解説をしていきます。この電子ホワイトボードが優れているのは、先生の書いたものや貼り付けた資料が、リアルタイムに生徒のパソコンのスクリーン上に表示されていくことです。

また、生徒自身もこのホワイトボードに記入していける点。先生は生徒を授業中に指名し、パソコンを通じて答えを書かせます。それはリアルタイムで他の生徒のスクリーン表示され、必要に応じて各生徒はその答えにコメントやフィードバックを書き込むことも可能です。やりとりの手間が省ける上に、消極的な生徒でも気軽に発言できる点は、とても有効な方法ではないかと私は考えています。  

さて話が横道に逸れてしまいましたが、オンラインレッスンでできることについて、話を続けていきましょう。

授業で動画

オンラインレッスンでは、授業中に動画をみんなで見ることも可能です。一番効果が高いのは、語学の学習でしょう。発音に自信のない先生でも、ネイティブスピーカーの動画をうまく活用すれば、効果的に発音の練習が可能になります。

中学受験の授業であれば、例えば理科の実験などテキストや資料集ではうまく伝えきれない内容について、動画学習に切り替えることで生徒が容易に理解することができるでしょう。またどうしても単調になりがちな地理や歴史といった社会科系の科目についても、ドキュメンタリーや旅行動画などを活用することで、イメージが明確になり、記憶しやすくなるはずです。  

いかがですか。ここまではリアルタイムの双方向オンラインレッスンについてだけ説明しましたが、これだけでもだいぶオンライン学習の可能性を感じていただけるのではないでしょうか。

続いては配信動画を使った学びについてお話ししましょう。   

デジタルネイティブの子供たちにとって、Youtubeなどに代表される動画は、大人が考えている以上に身近な存在となっています。その観点からしても、教育に動画をより取り入れていくことは、子供の学習効率を上げるとても有効な方法だと思います。

Youtubeは、正しく活用すれば実に有用なコンテンツ

今や動画の数はネット上には数えきれないほどあり、配信コンテンツもYoutubeだけにとどまらず、実に多岐に渡っています。Youtube=くだらないコンテンツという偏見はさすがに無くなってきているとは思いますが、保護者の方にYoutubeは素晴らしい学習ツールですよとお話しすると、残念ながら眉を潜める方もまだ少なからずいらっしゃいます。

でもこのYoutubeは、正しく活用すると実に有用なコンテンツに溢れていることに気づきます。

一番有効な活用法は、単調になりがちな内容を面白おかしく学ぶことで、取り組みへのハードルを下げることです。特に有効だと感じるのは、知識系分野。四字熟語や漢字など、ただ覚えるしかないものに関しては、歌やリズムに乗って覚えると、思いの外、楽に覚えられるものです。

大人からするとばかばかしいと思うこともあるかもしれませんが、小学生の時期は感覚で学んでいることも多いので、大人が考えるより大きな効果を上げることも少なくありませんよ。その上当たり前ですが、Youtubeは利用に料金はかかりませんので、効果がなければさっさとやめて、別のコンテンツを探せばOK。

キーワードは「楽しく学ぶ」

本のように読解中、せっかく買ったんだから最後までしっかりやらなければもったいないと言った気負いもなく、気楽に取り組めますね。ここでキーワードは、「楽しく学ぶ」です。テキスト学習とは切り離して、遊びの一環としてとらえさせることで、効果は上がりやすくなりますよ。  

先生と生徒同士でつながることができる

他にオンライン学習でできることといえば、先生や生徒同士でつながることでしょう。

これはオンライン質問会や、オンライン学習会といった利用法で効果を上げることができます。一番わかりやすい例は、塾などが先生をつけて時間を取り、オンライン上でなんでも質問できる「オンライン質問教室」ですね。双方向の授業の質問室バージョンといえば、イメージが湧くでしょうか。

生徒はオンラインホワイトボードに質問を書き、先生がそこに板書する形でリアルタイムに解説してもらえます。数学や理科などの解説には、とても効果がありますよね。実際に塾まで質問に行く手間が省けますし、電話で聞くよりはるかにわかりやすいでしょう。

また科目によっては、チャットを使った質問会でもいいでしょう。知識系の質問などであれば、チャットでも十分です。こうしたオンラインを通じた質問なら、説明がネット上にデータとして残るので、記録も簡単で、後から復習をする際にも便利です。  

また先生がいなくても、オンライン上で生徒同士、お互いにわからないところを教え合うという方法もありますね。これは海外で主流になりつつあるチームティーチングという手法ですが、実際に誰かに教えるということは理解を深める最適な方法です。

ニュージーランドでもこのチームティーチングは小学校から取り入れられており、実際に現場を見ていると、教える側もわかっているのに質問されるとうまく答えられず、実は理解が浅かったことに気付いたりしますし、教えてもらう方も相手が先生でないので、いつもより集中して聞いたりするなど、様々な思わぬ効能があるものです。  

いかがでしょうか。ざっと駆け足でオンライン学習でできることを説明してみましたが、少しはイメージが持ててきたのではないかと思います。

そこで次からはオンライン学習の様々な形について、中学受験に焦点を絞ってもう少し掘り下げてお話ししていきましょう。

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