トワイライトエクスプレスで猫と一緒に札幌へ行った話
猫と一緒にトワイライトエクスプレスに長岡から札幌まで乗った。
やむを得ない事情で乗ることになったけど、忘れようがない想い出になった。
トワイライトエクスプレスに乗る理由
2011年、4月から札幌に転勤することになった。
東京から札幌へ移動するには、飛行機を使うのが一般的だろう。
でも、飛行機だと猫と一緒に乗れない。
フェリーもダメ。
となると、移動手段は陸路しかない。
新幹線は当時まだ新青森までしか開通していなかった。
寝台列車は東京からなら北斗星とカシオペアがあったけど、東日本大震災の影響で運休していた。
車も持っていない。
検討の結果、消去法でトワイライトエクスプレスを選んだ。
消去法でそうなったけど、「トワイライトしかないか…」と決めた時は顔がニヤけていたと思う。
一度は乗ってみたかった列車に乗る口実ができたので、いそいそと手配を始めた。
切符の手配
列車に乗るためには当然切符が必要だ。
JRの切符は出発日の1ヶ月前からしか買えないので、引越しの日は先に決まっていた。
さらにトワイライトエクスプレスは1日おきにしか出発しない。
必然的に乗る日は1日に限定された。
発売日に取れたのは、2段ベッドが2組ずつ並ぶ普通のB寝台コンパートメント。
猫がいるのでできれば個室がよかったけど、切符が取れたことをまずは良しとする。
1週間前ぐらいになるとツアーで押さえられていた席などが解放されることがあると聞き、その後も諦めずにちょくちょく空き状況を確認していた。ある日空きができたのを見つけ、運良く個室のB寝台ツインを予約することができた。
東京駅で予約変更の手続きをして、列車に乗る準備が整った。
乗車当日
ついに当日。
引越し荷物を出し、近所の猫にも挨拶した。
スーツケースに2日分の着替えと猫のお食事セットとトイレセットを詰め、猫はペットキャリーに入ってもらって出発だ。
まずは電車で大宮へ。そこから新幹線で長岡へ向かう。
私は転勤が多いので猫も移動に慣れていて、キャリーの中で静かにしている。
長岡で軽くご飯を食べてからいよいよトワイライトエクスプレスに乗り込む。
中に入ってまずはトイレと水とご飯をセット。
キャリーを置いて蓋を開けると、すぐに出てきて部屋をチェックし始める。
ひと通りチェックしたら気が済んだらしく、上段のベッドで寛ぎ始めた。
猫が落ち着いたのを確認してから、人間も車内を探検する。
サロンカーでソファに座ってみたりシャワーブースを使ってみたり。
タイミングの問題なのか、どちらでも他の乗客をあまり見かけない。
列車に乗った時から外は暗いので、どこを走っているかよくわからない。
特にやることもなくなったのでさっさと就寝。
猫の邪魔にならないようにベッドの隅に寄って寝る。
起きた時にはすでに北海道だった。
北海道に入ってからでも札幌までは5時間ぐらいかかる。
北海道、広い。
10時前に札幌到着。
札幌駅はなんとなく駐車場っぽい。
ディーゼル機関車の匂いと、線路まで屋根で覆われていて薄暗さのせいだと思う。
地下鉄で移動して自宅へ到着し、猫との旅は無事終わった。
その後、トワイライトエクスプレスは2016年に運転を終了した。
猫ももういない。
最初で最後の寝台列車の旅。
私は今、猫の写真とトワイライトエクスプレスグッズだらけの部屋で暮らしている。
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