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読んだ本『その気持ち、なんて言う?ープロに学ぶ感情の伝え方』

読書感想文が嫌いだった。
本を読むこと自体は好きだけど、「感想」と言われて何を書けばいいのかわからなかった。
今でもあの宿題で何を求められていたのかわからない。

そんな苦手意識から『その気持ち、なんて言う?』を読んでみた。

テレビ番組が元だそうだけどそちらは知らない。
日常の「心が震える瞬間」を、文章や歌詞を書くことを仕事にしている人たちが言葉にしたものらしい。

読み始めると、「なんか違う」感があった。
何を「違う」と感じているのか。どうも私はHow To的なものを無意識に期待していたらしい。
自分がその時感じたことを言葉にするために、どんな手順で整理していけばいいのか。これはそんな本ではなかった。

前半は、ある「瞬間」を言葉で表したもの。それに対するちょっとした解説もついている。
まず、設定されている「瞬間」自体に「あー、あったなー」と思えるものがたくさんある。
次に、その「瞬間」を言葉にしたものが書かれている。こっちは言葉のプロたちがいろいろな表現をしていて、大喜利みたいで面白い。
小沢一敬さんの言葉が、どれも「にやっ」としてしまう。素直に気持ちを表現しているものもあるし、ちょっと自分を茶化すようなものもある。こんなことを咄嗟に言えるようになれたら最高だ。

後半は、「言葉にする技術」。
それぞれの人が自分なりのコツを語っている。
中でも朝井リョウさんの「言葉にするのは『輪郭を引く行為』」は、最近私がぼんやり思っていたことがまさに言葉で表現されたものだった。
区切りがないから「もやっとしたなにか」のままで流れていってしまう。

私は今どう感じているのか。輪郭をつける練習をしてみようと思う。
言葉にできなければ、どう感じているのかが自分でもわからない。自分にもわからないものを、他人にわかってもらえないのは当然だとやっと気づいた。

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