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渋谷のバー 摘発事例について

東京・渋谷区のバーで、無許可で接待営業をしたとしてバーの経営者と店長の男2人が逮捕されました。 警視庁によりますと、逮捕された渋谷区道玄坂のバー「Oneness」の経営者と店長の男は1日、風俗営業の許可を得ず男性従業員に客の接待をさせた疑いがもたれています。 店では、シャンパンを注文すると店員とカラオケのデュエットができるシステムなどもあり、中には1本35万円するシャンパンも提供していたということです。 調べに対し2人は容疑を認め、容疑者は「年間で1億円ほど売り上げた」などと話しているということです。

渋谷 道玄坂のバーが摘発されました。


こちらの記事では、本件の何が法に触れてしまったのかを解説していきます。
結論からお伝えすると、バーの営業許可でホストクラブやキャバクラのような営業をしてしまったことが問題となります。
これらの営業形態の違いや、無許可営業してしまった際の罰則、「接待」とはなんぞや?など見ていきましょう。

営業形態の違い

◆バーは保健所で「飲食店営業許可」を得て、警察署に「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届(通称:深酒)」の届出を提出することによって営業を開始することができます。

◆ホストクラブやキャバクラは保健所で「飲食店営業許可」を得て、警察署で「風俗営業1号営業許可」を得ることによって営業を開始することができます。

さて、これで深酒と風俗営業と、営業形態に違いがあることがわかりました。
では、営業形態ごとにどのような違いがあるのでしょうか。
まず、バー(深酒)は「深夜における~」の通り、深夜にお酒をメインで提供する飲食店となります。具体的には、深夜0時から日の出まで営業することができますよ。
次に、ホストクラブやキャバクラ(風俗営業許可)では、最大の特徴として「接待」を行うことができます。また、営業時間が深夜0時まで(各地域の条例により異なります)となっています。
つまり、バーは長い時間営業することができ、ホストクラブやキャバクラは接待をすることができるけれども営業時間が短いということですね。

それなら「バーの営業で接待すれば長い時間営業できて接待もできるし一石二鳥じゃん!」となりませんか?
しかし、それをしてしまうと今回の記事の通り、バーの営業形態でホストクラブやキャバクラの営業をしてしまったとみなされて「風俗営業の無許可営業」となります。
では、無許可営業をしてしまうとどうなるのでしょうか?

風俗営業無許可営業の罰則

「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれの併科」
「6か月以内の営業停止 」
「罰則を受けてから5年間、風俗営業許可申請ができない」

など、非常に重い罰則が定められています。
「今度から注意します」では済まないのですね。

さてここで、今回問題となった「接待」とはなんなのでしょうか?ぼんやりと隣にキャストが座ってお酌してくれること?などのイメージがあると思います。少し詳しめに見ていきましょう。

接待とは

実は接待について、定義が定められています。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準
第4  接待について(法第2条第3項関係) に、接待の定義が定められているのですね。
具体的な定義などもう少し詳しく定まっているのですが、全て解説すると長くなってしまうので今回はわかりやすさ重視で特に問題となりやすいものを見ていきます。

◆談笑・お酌等
特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲 食物を提供したりする行為は接待に当たる。 

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準

談笑・お酌は特定少数のお客様の近くに継続して座ったり立ったりして話していると接待に当たりますよ~と書いてあります。
注意していただきたいのが、お客様の横に限らず、斜め向かいだろうが前面だろうがカウンターの向かい側に座っていようが立っていようが、継続して談笑していれば接待に当たるということです。
しかし、お酌をしたり水割りを作るけれども速やかにその場を立ち去る行為や、カウンター内でお客様の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為や、挨拶や若干の世間話程度なら接待には当たらないとされています。

◆歌唱等
特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはそ の客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為又は客と一緒に 歌う行為は、接待に当たる。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準

今回の記事で接待に当たるとされたのはこの「歌唱等」ですね。
お客様と従業員のデュエットなどは接待に当たるので注意しましょう。
これに対して、不特定のお客様に対して歌うよう促したり、拍手したり褒めたりといった行為や、単に歌を入れるだけなどであれば接待には当たらないとされています。
ポイントは「特定少数の客にはべり」ということです。談笑・お酌にも同じことが言えますが、来店されたお客様に対して従業員が卓についてしまうと接待に当たる可能性が高いです。

最後に

渋谷 道玄坂のバーの摘発を受けて営業形態の違いや罰則、接待とは何なのか?などを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
「うちのお店で行っている営業も接待に当たるのでは…?」と思われた事業者様もいらっしゃることでしょう。
実態として、接待を行っているバーは非常に多いといえます。
また、解釈運用基準に沿わない独自の解釈で、接待を行っている認識のないまま接待を行っているバーも存在します。
しかし、何かのきっかけで捜査の手が及んだ際に「他所の店舗もやっているからいいと思った」などの弁明が通用すればよいのですが、警察は聞く耳をもってはくれません。
なので、いつか摘発されるかもしれないという恐怖を胸に営業を続けるくらいであれば、場合によっては接客スタイルの思い切った変更や、風俗営業の許可取得の検討をされてみるのも一つの手です。

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