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原産地から見るビカクシダ リドレイの生育条件

リドレイが原産地ではどのような環境で育っているかご存知ですか?

原産地での生育環境が分かれば、リドレイを育てやすくなるかもしれません。

そこで今回は、リドレイの「生育条件」を、「気温」「湿度」「風通し」「日当たり」をまとめています。

ぜひ読んでみてください。



リドレイの生育条件とは


リドレイは比較的暖かで湿度の高い環境を好みます。

繊細な植物で、水遣りの後の風通しを良くしたり、夏の直射日光を避けるなどの対処が必要です。

 気温 15~30℃
 湿度 40~60%
 風通し 必要(水遣り後は特に重要)
 日当たり 必要(夏の直射日光はNG)

上記のような環境がリドレイにとって最高の環境と言えるでしょう。

そこで下記では、それぞれの項目ごとに更に詳しく解説していきます。



気温


リドレイは15~30℃での管理が理想的です。

生育温度が高すぎたり低すぎたりすると、成長が徐々に鈍くなり、最終的には枯れてしまいます。

これは原産地のカリマンタン島(ボルネオ島)、スマトラ島、マレー半島の環境に起因するからです。

では実際に原産地はどういった環境なのか、各条件から見ていきましょう。

今回はFuuchiの取引先がある、カリマンタン島(ボルネオ島)を例にとります。


カリマンタン島上空


カリマンタン島は赤道直下にあり、ケッペンの気候区分(中学高校で習うそうですが、記憶にございません・・・)でいうと熱帯雨林気候(Af)に分類されます。

年間を通して気温の変化が殆ど無く、約24~ 32℃で安定している環境です。


https://ja.weatherspark.com/compare/y/131259~143809/サマリンダ、東京都における平均的な気候の比較#Figures-Temperature


つまり気温だけでいえば、5月~10月頃(東京)は特に加温をすることなく育てる事ができる時期と言えます。

しかし、日本の冬は寒さが厳しく、地域によっては春先や秋口もリドレイに適した気温にならないことがあります。

よって、生育条件外となる11~4月頃は加温対策が必須です。

ビカクシダ他品種の最低生育温度は5~10℃と言われていますが、ビカクシダ原種18種の中でもリドレイは最も耐寒性の低い品種になります。

リドレイの栽培が難しいと言われるのはこういったところも理由のひとつです。



湿度


リドレイが着生している場所をもう少し詳しくみていくと、「湿度が十分に高い湿地の熱帯雨林または小川の近くの地域」となります。

熱帯雨林というと、スコールが頻繁に降り、降水量が多いイメージがあるのではないでしょうか。

しかし、下記の「1日当たりの降水確率」「平均月間降雨量」をみると、東京とさほど変わりません。

サマリンダの年間降雨日はひと月あたり約12.7日ですので、2~3日に1回程度雨が降る計算です。(東京はひと月あたり約9.2日)


https://ja.weatherspark.com/compare/y/131259~143809/サマリンダ、東京都における平均的な気候の比較#Figures-PrecipitationProbability


https://ja.weatherspark.com/compare/y/131259~143809/サマリンダ、東京都における平均的な気候の比較#Figures-Rainfall


雨の影響というよりも、生息地域自体が湿度が高いようです。

リドレイを採集している方に話を聞くと、「熱帯雨林の中には沢山の湖や池、沼がある。多種多様の植物の葉から出る大量の水蒸気が大気中に蒸発しているので、足元は常にぬかるみ、歩いているだけで衣服は濡れてくる。」と仰っていました。

原産地は湿度70~99%とも言われています。

日本では考えられないことですね。

ただし、リドレイの着生場所は地上20~30メートルの上空に位置しているため、そこまで高湿度にする必要はありません。

カリマンタン島のナーセリーでは湿度40~60%ほどに保っているそうです。

リドレイを生育する際には、湿度40~60%程度を目指しましょう。



風通し


リドレイの栽培が難しいと言われる理由の一つが、風通しです。

リドレイは地上20~30メートルの上空に位置しており、非常に風通しのよい環境で生育しています。


リドレイの採集現場


リドレイを枯らしてしまう原因の多くは、リドレイの好む多湿な環境ばかりに意識を向けて、水遣りの後に十分に乾かさないことです。

多湿かつ風通しが良くないと、リドレイの生育条件に近づけることができません。

リドレイを生育するにあたっては、風通しにも気を遣いましょう。



日当たり


では日当たりはどうでしょうか。

リドレイが着生している地上20~30メートルという高さは、日本の一般的なマンションの7~10階程度に該当します。

通常であれば、多量の太陽光を浴びる環境です。

しかし、リドレイは太陽光を浴びすぎると、葉焼けが起きたり、最悪枯れたりしてしまいます。

なぜでしょうか?

それは現地の「晴天確率」と「雲量」に関係しています。


https://ja.weatherspark.com/compare/y/131259~143809/サマリンダ、東京都における平均的な気候の比較#Figures-CloudCover



https://ja.weatherspark.com/y/131259/サマリンダ、インドネシアにおける年間の平均的な気候#Figures-CloudCover


上記の図でも分かる通り、カリマンタン島は雲に覆われている日が多く、快晴の日はほぼありません。

ビカクシダの中でも太陽光が大好きなリドレイですが、曇り空から差し込む太陽光を浴びて成長しているため、日本の直射日光(特に夏場)は強すぎる場合があります。

日当たりが良すぎる環境は、リドレイにとっては毒なので、太陽光の当て方も工夫していきましょう。



まとめ


リドレイを日本で生育するにあたり、重要なポイントは「気温」「湿度」「風通し」「日当たり」の4つです。

現地の環境に近付けるためには、ヒーターやサーキュレーター、ライトなどがほぼ必須になります。

是非しっかりと環境を整えてから、カッコいいリドレイを自宅に迎えて頂ければ幸いです。


記事内の表は、1980年1月1日~ 2016年12月31日の気象データを参考に作成されています。
※東京は北半球、サマリンダは南半球なので比較する月にずれがあります。



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