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「香りは人を幸せにする」と考える調香師・神谷さんへインタビュー

こんにちは。
大丸・松坂屋の佐々木です。

<Fuuai>で最も重要なもの、それはやはり、香りです。
「日常生活に彩りを添える香りって、どんなだろう?」「柔軟剤で香りを身にまとうことって、本当にできるのだろうか?」香りについて素人同然の私は、悩みを抱えていました。
小林香料株式会社の香粧品研究室 調香師の神谷さんと香粧品営業部の小松さんはそんな私の悩みを解決してくれます。

特に私がポイントだと考えていたのは、気分から香りを選ぶという新しい手法、2つの香りをかさね合わせてたくさんの種類の香りをつくりだすことです。
神谷さんはお話を受けて、難しい課題だとおっしゃりながらも、思い描く香りの体験をつくり出す<Fuuai>のチャレンジがはじまりました。

何回も試作と試用を繰り返し、意見を交換しながら調香をつづけました。いま思い返すと本当に忙しく、大変な日々でしたが、おかげで胸を張れる自慢の香りを作り上げることができました。
今回は、<Fuuai>のためにオリジナルの香りを調香していただいた神谷さんと小松さんに、商品に込めた思いやエピソードを取材させていただきました。

Fuuaiマクアケ素材-12

−−改めて、小林香料株式会社について教えてください。

今年で創業120年の会社です。名前の通り香りをつくり出す仕事をしているのですが、数ある香料会社の中でも歴史のある企業ですね。主には3つの分野の商品を手掛けていて、1つ目は香粧品。Fuuaiもこの中に含まれますが、スキンケア用品やシャンプー、トリートメント、フレグランスを中心に扱っています。香りの質がよい点が強みですね。他にも、食品に含まれるフレーバーや、化成品として、以前は医薬品原料、現在は健康食品素材原料なども取り扱っています。

−−香りの分野も、ものすごく多岐に渡るのですね。
今回は調香師の神谷さんに、<Fuuai>の24通りの香りを調香していただきました。
私もお二人に香りのことをたくさん教えてもらいながら、商品開発を進めていきましたね。その際にも何度かお聞きした内容ではありますが、神谷さんは、「香り」とはどのようなものだとお考えですか?

香りは、「人を幸せにするもの」だと思っています。
パワーを与えてくれる存在であり、笑顔にさせてくれるツールでもありますね。

−−私も神谷さんにご提案いただいた香りで幸せになった一人です!
どんなきっかけが、神谷さんを「香り」の職業に導いたのでしょう?

親が香り好きで、小さい頃から香りに触れていることが多かったです。小学生くらいから自分でシャンプーを選んだり、中学生のころにはコロンをつけたりしていました。小学生のころに母親が使っていたシャネルの5番の香水と出会い、衝撃を受けたのは忘れられませんね。
小さい頃から香りが大好きでした。
実は、就職を考える時期には、先生になりたかったんです。しかし、教育実習で少し教員という仕事に違和感を覚え、他の業界も考えるようになりました。化粧品が好きだったこともあり一度外資系の化粧品の会社に入社したのですが、品質管理の仕事を長く続けるよりも、大好きな「香り」の分野で仕事がしたい! と思い今の会社と仕事にたどり着きました。
調香師は男性社会的な風潮があり、海外では世襲性もあるとても規律正しい職業でした。私が入社したころは、女性の調香師は少なかったのです。しかし、香りの感じ方はジェンダーによって変わるのではないかと思っています。私のポリシーは、幸せにしたいという気持ちをもって調香することですね。香りをつくる時は、映像や色、文章などでイメージを起こしてつくります。

−−<Fuuai>をつくる際のイメージも見せていただきながら進めましたよね!
私たちがつくりだしたい体験も聞いていただきながら、神谷さんのご経験も踏まえて何度も微調整して調香をしていただいたと思います。
香りに込めた思いや工夫した点を教えていただけますか?

使う人に一瞬でも笑顔になってもらえたら、と思ってつくりました。一日のうちずっと幸せだと感じて過ごすことは難しいけれど、お洗濯のときには幸せだと感じてもらいたいですね。 個人的な考えですが、「水」は、浄化させたり、清らかにさせるものだという思いがあります。お洗濯も水を使います。そのようなものに香りをプラスすることはとても楽しい作業でした。

また、ネーミングをどう香りで表現するのかはとても趣向を凝らしました。YasuragiやRinto、Tokimeku、Sawayakaと、人によって感じ方は異なると思うので。まずは私なりに調香をしてみましたが、あくまで私の手を離れたら、お客様に自由に解釈して使っていただきたいですね。

−−同じ香りを体験しても、感じ方や楽しみ方は人それぞれなのでしょうね。
香りは奥が深いです・・・
<Fuuai>はお客様が香りをかさね合わせるという新しい試みをしています。組み合わせを考える上で、いくつかの候補の中から絞り込んで今の香りのラインナップになりましたね。つくる上で苦労された点などはありますか?

それぞれの香り単体でも1つの香りとして成立するようにしなければなりません。またそれをかさね合わせることでさらに魅力的な香りになるように調香するのが難しかったですね。お客様がどのような混ぜ方をされるのかは未知数だったので。 香りはたくさんの種類をただ混ぜれば良いというものではないのです。例えば絵の具もたくさんの色を混ぜすぎるとくすんだり、黒に近づいていくようなイメージです。 そのため<Fuuai>の香りは、それぞれ単体ではできるだけシンプルになるように考えています。また、トップ・ミドル・ベースノートの影響の仕方も工夫しました。

さらに、百貨店のイメージをどう反映するかを大切にしました。私にとって百貨店は高級感があってエレガンスな空間。踏み入れると気持ちがシャキっとします。どうしても柔軟剤に使いやすい香りをそのまま選ぶと、安っぽい香りになってしまうので、選ぶ素材にはとてもこだわり、百貨店のわくわくどきどきする感情を表現しました。

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−−まさに私が思い描いていた香りをつくりだしてくださいました。ありがとうございます。
神谷さんが感じる<Fuuai>の魅力は何でしょう?

食べるものも、毎日の気分で選びますよね。<Fuuai>はそれと同じように香りが選べるところが一番の魅力だと思います。お洗濯は朝にする人もいれば夜にする人もいますので、時間帯に応じて香りを変えてみたりするのも面白いかもしれませんね。そして、香りを自分でかさね合わせられるところもワクワクします。

−−私も実際に24通りをかさね合わせてみましたが、それぞれいろいろな特徴がありますよね。
神谷さんが特にお気に入りの組み合わせはありますか?

「Tokimeku×Spice」ですね。最初は合わないんじゃないかと心配していた組み合わせです。Spiceは使い方が難しい香りで、Tokimekuはちょっぴりエレガントさもあったので。かさね合わせてみると想像以上にマッチして、私も新しい発見になりました。

<Fuuai>をきっかけに香りが好きになってもらえると、そんなうれしいことはないですね。
皆さんにどう感じていただけたのか、ぜひお声を聞かせていただければと思います。


最後に

クラウドファンディングも残すところ2週間を切りました。
マクアケでの応援もぜひよろしくお願いいたします!


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