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色々なものを思い出させた聖剣伝説VOA感想

短いナギ節・・・。

旧スクウェアのゲームはあまり遊んだ記憶がない。
ファイナルファンタジーシリーズはそこそこプレイしていたが、クロノシリーズとか、聖剣伝説といった人気作はなぜか手をつけていない。

ただの食わず嫌いなだけだったと思うのだが、初秋に聖剣伝説の新作VISIONS of MANAが発売されたので、どんなものかと思って遊んでみた。

猫やリス、ドラゴンを擬人化した昔を思い出すようなファンタジーものの本作は、ストーリーや登場人物に昔遊んだ懐かしい名作たちの記憶が蘇ってきた。

1991年にリリースされてから、30年以上たったシリーズを初めて遊んだ感想。ネタバレを見て魂石になりたくない方は、クリア後に覗いてもらいたい。






ライザねえとエリザベス

オープニングでは、村人から追いかけられるオーリンとライザ。ライザといえばつい最近まで遊んでいた某錬金術ゲームのふともも主人公と同じ名前。普通に被ることはあるだろうが、彼女の弟分であり本作の主人公であるヴァンが「ライザねえ」としゃべったところで卒倒した。

しかもヴァンの中の人は、錬金術ゲームの中でライザの幼なじみで赤毛の大剣使いレント。さらにライザねえと呼ぶのは後に彼の弟子となるディアンの口癖だった。

ヴァンがライザねえという度に錬金術師のライザを思い浮かべて笑う。


中盤にさしかかるとブースカブーという亀に乗って海を行き来するようになるのだが、これが銀魂のエリザベスそっくり!

プラカードを持ったら完全にエリー!
ちなみに、プラカードではなく甲羅に旗が刺さっている。


ファイナルファンタジーXを思わせる「生け贄」の世界

命を捧げて世界を救うという本作の概念は、ファイナルファンタジーXにとても似ている。

FF10では破壊の限りを尽くしているシンを、召喚士が命を犠牲にして繰り出す究極召喚魔法によって、完全に滅ぼすことはできないまでもシンの活動を停止させ、10年間のナギ節という一時の平和をもたらしている。

一方聖剣伝説VOAでは、マナの循環を守るため精霊によって各地で選ばれた御子たちが、マナの樹に向かい魂を捧げている。もし、御子が魂をささげないとその土地は呪われてしまい、人が住めなくなってしまう。

OPでは、土の御子に選ばれてしまったライザを救うため、夫のオーリンが彼女と共に村を脱出しようとする場面から始まる。脱出を阻む村人たちは呪いによって次々と石化兵にされ、ライザ自身も石化するという悲劇に見舞われている。

御子が選ばれるのは4年に一度。FFXに比べて、平和を享受出来る期間が短い上に、犠牲になる人数も多い。


最低野郎オーリン

はじめはFFXのように、御子を犠牲にすることなく世界の崩壊を防ぐために旅をする展開になるのではと思っていた。

オープニングで妻のライザを石にされ、各地を旅していたオーリンがキーパーソンになるのだとばかり思っていたし、実際に二度と新しい犠牲を生まないため聖剣を使って世界を変えるととヴァンたちに熱く語っていた。

おぉ、ここで聖剣が出てくるのか。女神に反旗を翻すのか、精霊たちと戦うのか。先の見えない展開にワクワクしていたが、オーリンはヴァンの目の前で彼の恋人、ヒナを魂石に変えてしまう。

こやつが最低なのは、魂を捧げず一緒にいたいという二人の気持ちを利用しておびき寄せて、愛する人を失うという自身が身をもって体験した悲劇をヴァンに味合わせているところだ。それも、妻ライザの弟分・妹分に対してだ。

てめえの血の色は何色だあ!


ディロフォロスとバランとウリエル

物語後半、最低野郎オーリンが聖剣を引っこ抜いたときディロフォロスが蘇る。

女神から与えられた聖剣を携え、神獣たちを倒して世界を救った英雄と崇められたのだが、愛する人が人間に殺されたことで絶望し女神に反旗を翻していた。

人類を滅ぼそうとするディロフォロスの動機は、ダイの大冒険に出てきたバランを思い起こす。

バランは人間が暮らす地上界を征服せんとする魔界のドラゴンを倒して世界を救ったが、彼もまた結ばれた女性を人間たちによって殺されたことで激高し、一時期大魔王バーンの配下として行動している。

守ってきたはずの人間に、大切なものを奪われた衝撃と憎しみ。オーリンの野郎に比べたら遙かに共感できる。


このディロボロスが本作におけるラスボスになるのだが、ラストバトルでは女神や人間への憎しみのあまり悪魔のような風貌に変化する。その姿はかつて愛読していた「BASTARD!」の堕天使ウリエルを思い起こさせた。

もとは大天使だったウリエルは、大切な妹がデーモンの体に同化され、目の前で殺されたことによって悪魔に陥ったのだが、特にディロボロスの胸に刻まれた目のような模様が、ウリエルにそっくりだった。


その他、感じたこと

MAPや宝箱や精霊のほこらなどがマークされている親切な仕様。ストーリーを進めないと行けなかったり、とれないところはマークがつかないのは好感を持った。

一方でファストトラベルは不便な仕様。大陸間をまたいだ移動はできないし、海や空に出るときは毎度はいるカットインをスキップする手間が発生してストレスを感じる場面も多々。もう少し便利になっていたら探索やサブクエスト周りが楽しくなったと思う。


おわりに

本作は「大切な人を失った人たちの物語」だったと思う。

主人公のヴァンはもちろん、ディロフォロスやオーリンの野郎も等しく愛する人を失っている。ディロフォロスは絶望し世界を滅ぼそうとし、オーリンはやり口は歪んでいたけれども犠牲の上に成り立っている世界を変えようとしていた。そしてヴァンが選んだ未来は・・・。

また、最近やっていたゲームとか、昔熱心に読んでいたジャンプマンガを思い出すようなシチュエーションが多かったせいか、懐かしい気持ちになりながら遊んでいた。押し入れにしまって大分経つが、そのうち引っ張り出して久しぶりに読んでみようと思っている。


「汚物は消毒だー!」

おしまい。

© SQUARE ENIX

















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