ヅカローを見てきました
宝塚版HiGH&LOW 通称「ヅカロー」を観てきました。
いやあ良いものを見た…「浴びる」という表現がピッタリのコンテンツでした。
はじめに、宝塚とハイローについての私の知識レベルはこんな感じ。
どちらもライトに楽しませていただいているコンテンツで、この公演のニュースを見た時は「絶対おもろいやん」と心の中で叫びました。
宝塚もハイローも「大真面目にカッコつけるしカッコつけすぎた結果トンチキに行き着くこともある」という点で共通している印象があるので(なんとなくこういう雰囲気になるのかな)と想像はしてました。
いつも以上に倍率の高い公演だったと思いますが、先述のヅカオタの友人がチケットを取り次いでくれたのでありがたく観させていただくことに。
もう4回観たという友人(桜木みなとさん推し)が、公演前に「ここだけは見て」ポイントを教えてくれました。
・ロッキーの側近がかっこいい。オタクの好きな顔してる。
・後半のショーのずんちゃん(桜木みなとさん)の女装が綺麗だから見て!
会場に着きブルーベリーサプリを飲み座席に座り、オペラグラスを首にさげる。
2階席だったので全体が見やすくてラッキーでした。
宙組トップスター真風涼帆さんによる開演のアナウンスがあったのですが、声がダンディーすぎて一瞬「誰!?」となりました。
うわー始まる!
公演タイトルの看板を撮る儀式
ここからは公演内容のネタバレが含まれます。
(記憶を頼りに書いているので順番はバラバラです。実際の衣装やセリフと相違があるかもしれません。)
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真風さんでっっか
開演と同時に、宙組トップスターの真風涼帆さん演じるコブラがソロで登場。
真風さんは、「男役というより『男』」と言われるくらい体格がよく骨格のしっかりした顔だちのジェンヌさんです。
画面越しに見たことはありましたが、生で見た真風さんの圧倒的存在感に瞬きを忘れるくらい目を奪われました。
人間ってこんなにデカかったっけ…と混乱してしまいました。
ソロシーンの後は、HiGH&LOWの世界観紹介シーン。
ムゲンが消滅してからS.W.O.R.D.ができるまでの歴史が、映像とともにナレーションで語られます。
「ハイローで見たやつだ!」
LDH版ハイローで最初に見たやつがそのままお出しされ、ぶち上がってしまいました。
ナレーションが終わると、チームのメンバーが勢揃いします。
地区ごとに歌って踊ってた気がします。この辺はめっちゃ宝塚だった。
以下、順番があやふやなので印象に残った順に書いていきます。
純子さんかわいすぎ
レディースチーム苺美瑠狂(いちごみるく)の総長、天彩峰里さん演じる純子というキャラクターがいるのですが、ビジュアル優勝しすぎて衝撃。
アイドルみたいなクリクリのおめめに華奢な体型。髪型もあってタカラジェンヌというよりはアイドルみたいでした。背も低くて(多分周りの方達が高い)いっそう可愛さが際立っていました。
私がよく観に行く雪組の娘役さんは大人っぽい綺麗系の方が多くどこの組もそうなんだと勝手に思っていたので、「こんな可愛い系の子いるんだ!」とカルチャーショックのようなものを受けたのを覚えています。
組によって系統違うのかな?
そんなめちゃくちゃ可愛い女の子が特攻服着て美容室のソファで脚がバー広げて踏ん反り返ってる。良いなあ。
彼女が従えてる治安の悪いメンバーたち(顔面偏差値5億)が「〇〇のあいつ覚えてるか?」「前に純子さんがボコボコにしたやつっすか」みたいなやりとりで「うちらの純子さんは最強なんだぞ」と観客にアピる。
オタクの性癖に忠実すぎるだろ。
「一番弱そうな子が強面集団を従えてる」はハイローのお家芸なのですが、苺美瑠狂に関しては宝塚版になって一層強調されてるなと思いました。
見た目こそ可愛い純子さんだけど、ガラッとした声でめちゃくちゃオラつくし睨むと三白眼になってかっこいいしなんか、キュートさとかっこよさのバランスが最高でした。
苺美瑠狂が熱い
クライマックスシーンで、女性を守ることを信条に掲げているホワイトラスカルズは襲いかかる女性に対処できずにいました。
新しい拠点に火をつけた極悪集団なのに「女性ってどう倒すんだ?」「話し合い以外知らねえよ!」と優しさが捨てられないホワイトラスカルズの皆さん。
どうにもできない状況が続くそんな時。
「待たせたな!」
純子の声が高らかに響き、苺美瑠狂が総動員で助太刀にやって来ます。
ジャンプの見開きか?
カッコよすぎだろ。
男たちを別の場所に行くように誘導し、女同士でバチバチに殴り合います。
娘役たちの戦闘シーンを入れてくれた運営の皆様ありがとう。
RUDE BOYSの温度差
天涯孤独の者たちが集まる治外法権の街「無名街」に住むチームです。
RUDE BOYSのソロシーンは無名街らしく、暗く陰鬱な空気から始まりました。
厳かなナレーションに舞台の緊張感も高まって。
パリピ音楽が流れ出します。
天涯孤独とは無縁そうな陽気な音楽、アクロバティックなダンス、色とりどりのライト。
そんなことある?
スラム街でヘソだしの服着るなとかそういう小さなことがどうでも良くなるくらい温度差が激しくて、どうしようもなくハイローでどうしようもなく宝塚でした。
桜木みなとはすごい
スモーキー役の桜木みなとさんですが、お芝居がめちゃくちゃ良い。
抑圧されたような発声、声だけで他所者に対してシャッターを閉ざしているのが分かる演技力の高さよ。
原作をコピーしている訳でもない、むしろ桜木さん独自の解釈のウェイトが大きいにも関わらず、「スモーキーだ」と思わせる説得力がそこにありました。
桜木さんは鼻がしっかりしていて濃いめのお顔なので儚い雰囲気のスモーキーを演じるのが意外でもあったのですが、いざ観てみたら解釈一致としか言いようがありません。
性癖デパート苦邪組(くじゃく)
S.W.O.R.D.の敵対勢力?裏ボスみたいなチーム。
メガネのインテリヤクザ、年下のわんこ系チャラ男(未成年)、やたら色っぽい使用人の男、美女集団を従えるポニテのセクシー姐さん…
同人誌のような設定が勢揃いしており「流石にオタクの妄想すぎるだろ」と思ったらこの苦邪組というチーム、宝塚版オリジナルのキャラクターでした。なるほどな。
このチームのある一人の男に情緒を狂わされてしまったので彼について書きます。
メイナンツー
何???
先述の「やたら色っぽい使用人の男」とは彼のことなのですが、このようなおポーズで登場なされました。
何?????
(この登場シーン日替わりらしく、この日みたいにべったりしなだれかかってる時もあれば後ろでスン…と立っていることもあるらしいです。気まぐれですね。)
黒髪センター分けチャイナ服、伏し目がちで口数は少なくミステリアスで猫のような性格、ボスにベタ惚れしてる使用人(非戦闘要員)と要素を並べるだけでも「えっぐ」と感じていただけると思います。
二次創作で「靴下は裏返しで出してと言ったでしょう!」とか言わされてそう。
セリフは一言くらいしかないし戦闘にも参加しないのですが、存在感が強烈すぎて勝手にオペラグラスが彼を追いかけていました。一体どれだけの人間を狂わせてきたんですか???
特に動きがない時の微妙な表情の作り方が本当に色っぽくて、彼の一瞬一瞬全て舐め回すように見ないと…という気持ちにさせられる感じ。
3次元でこの色気、ありなんだ。
突然出てきたエロい男にびっくりしすぎて心臓がバックバクだったのですが、終演後にTwitterでパブサしたら同じ思いをした同志たちの呟きやファンアートがたくさんあって安心しました。
彼を演じている泉堂成さん、まだ入って4年目の新人さんだそう。
このプロデュース力とどんなキャラにもなれそうな均整の取れたお顔立ち。これからが楽しみです!
達磨一家、鬼邪高、ホワイトラスカルズ
曲や演出が解釈一致でした!
達磨の曲中ではジェンヌさんたちが和太鼓を演奏するシーンもあり「祭り」感が全面に押し出されていて楽しかったです。
鬼邪高のトップ村山は、原作の飄々とした感じがなくなってやんちゃ度が増した印象。
血気盛んな感じがちょっと新鮮でした!
ホワイトラスカルズはなんかとにかくキラキラしてました。
芹香斗亜さん演じるロッキーが登場した瞬間、本物のヤクザが来た時のような緊張感が。
睨んだりオラついたりするキャラではなくむしろ礼儀正しい寄りのキャラなのに、メガネをかけ直すような小さな仕草一つひとつにすら「絶対カタギじゃねえ」みたいな凄味があって。
宙組はキャラ解釈の天才集団なんだと思います。
あとホワイトラスカルズのシーンでなぜか目に焼き付いているのが、ツートンカラーの髪色の男がお化けポーズしてたところ。
ソシャゲではいつも悪戯っぽくて目のくりくりしたかわいい男キャラに惹かれていたので、もろ我が推しの系譜だったのです。
どういうキャラだったんだろうあの子。かわいかったなあ。
友達に見ておけと言われた側近のKOOくんも二次元のような整った顔立ちとしなやか立ち振る舞いがすごくNo.2っぽくてカッコよかったです。
山王連合会
女にうつつを抜かすコブラをみんなが問い詰めるシーンで「いいぞ!もっと言え!」と問い詰める側に肩入れしてしまった。それほどコブラがカナちゃんのことしか考えてなくて、ずっとむずむずしていました。
まあでもカナちゃんの可愛さに免じて許してやります。
コブラを慕うヤマト、ダン、テッツの三人は典型的な「3馬鹿」という感じで微笑ましかったです。
舞踏会に中世の貴族みたいな格好していったり、日替わりシーンで「トリックオアトリート!」って声揃えて言ったりチューチュートレインっぽい動きをしたりしてくれて和みました。
これを読んでいる方は感激済かネタバレを気にしない方だと思うので言いますが、最後にカナは死にます。
重たい空気が流れ、舞台は終幕へ行くか…という流れ。その直後です。
カナ「出ちゃった😀」
えーーーーーーー!!!???
ヒロイン死んだ直後に幽霊になって登場。
ラストなのに客席から笑い起こってた。釣られて吹き出した。そんな存在感強い幽霊おる?
なんと幽霊になったカナとコブラのキスシーンもある。
あまりにもカナとコブラが普通にいちゃついてるので(まあ宝塚だしそういうこともあるか…)と思うことにしました。
そのほか気になったシーン2つ
①クライマックスの喧嘩シーンで、LDH版のメインテーマが流れるところ
何そのアニメ2期の最後の方に1期のオープニング流れるみたいなやつ!雷門中が2−1で負けてる時につながリーヨが流れて逆転するみたいなやつ!
ジャンプの見開きじゃん!(2回目)
他にも少年漫画みたいな熱いシーンたっぷりで時間があっという間でした。
②燃えすぎ
苦邪組という敵対勢力が途中で何を思ったか、S.W.O.R.D.の5チームの拠点全てに火をつけます。
鬼邪高やルードのメンツが
「高校が燃えた…」
「無名街が燃えた…」
と絶望しながら順番に集まってくるシーンは申し訳ないけど笑った。
殴るとか拳とかじゃなくてシンプルに「悪」じゃんそれは。ずるいって。
まとめ
全編を通して「オタクを喜ばせる」ことに全力を注ぎすぎている(褒めてる)。
宝塚のキラキラ感とハイローのキャッチーな世界観、そして両方に共通する「真剣にカッコつける」要素が見事に噛み合って見応え抜群の作品でした。好きな作品ということもあってか受け取る幸福量がキャパを超えてなんらかの依存物質が体を巡っていたように思います。
この記事のはじめに観る前の印象として「なんとなくこういう雰囲気になるのかなという想像はつきました。」と書きましたが、その予想を何倍も上回るくらいの楽しさの暴力。シャブ。
少年漫画的な熱さを感じる演出がとにかく多かったですし、ジェンヌたちの表情作りやセリフの回し方などからも原作を深く研究されたのだなというのが伝わって来ました。
要所要所に原作再現シーンが散りばめられていて、原作を知ってるとより楽しめる内容だったと思います。
また、初めての宙組観劇ということもあって他の組との毛色の違いなんかも楽しめました。
雪組のピシッとした美しさや星組のバチバチ派手な感じともまた違う、大人の色気もありつつパワフルな独特の空気感があるように感じました。
色気のすごい男役とアイドル系の顔立ちの娘役が多かった気がします。
トリッキーな演目だったけど、ショー要素が強めでで予習ゼロでも「なんかかっけえ!」って感じで楽しめると思うし、ハイローファンが嬉しい要素も宝塚ファンが嬉しい要素もたっぷり詰まってるし両方知ってたらもちろん最高に楽しめるし、全人類向けと言っていいと思います。
まとめると、ヅカロー最高でした!!
おまけ
カプリチョーザの感想
今回の講演は2幕に分かれていて前半がハイロー、後半がショー「カプリチョーザ」という構成。
ショーも色鮮やかな衣装と豪華なセットをひたすら頭空っぽにして観られるので好きです。
名前から想像できる通り、イタリアをモチーフにした世界観。
カプリチョーザ…カプリチョーザ…カプリチョーザ!!(脱衣)←一生忘れん
芹香斗亜さんら男役の人たちが「ミラノミラノ…」「フィレンツェフィレンツェ…」とイタリアの地名を連呼しながら歩いてくるシーンがハライチが描いたネタを女優がやったやつ(一部にしか伝わらないネタ)に似てて一瞬だけ集中できなくなりました。
ショーというのは物語というのがないので、衣装やダンスもひたすら視覚的な美しさが追求されています。
娘役のカラフルなドレスがバッと広がって照明もキラキラしてて…
死んだらこういうところで永遠に浮かんでいたいです。
友人が言っていたシーンその2「桜木みなとの女装」は、水の都をモチーフにした幻想的なシーン。
白地に透き通るようなブルーの装飾が施された細身のドレスに身を包み、憂いをたたえた目でどこかを見つめる桜木さんがいました。
さっきまでスモーキー役でバリバリ喧嘩してた人と同一人物?って疑っちゃうくらい美しかったです。
このシーンは衣装の色による演出がテクくて良いなー!と興奮しました。
桜木さん演じる女性と、彼女を見つけた男性とのロマンスが今にも始まりそうな雰囲気。
幻想的な音楽が続くのですが、突然雰囲気が一変。
美しいブルーに包ませた世界に赤い暗雲が立ち込めます。
緊迫した空気の中ダンスが始まり桜木さんもドレスの裾を巧みに捌き踊る。
その瞬間あらわになったドレスの裏地が、目の覚めるような赤だったんです。
青い照明の中にチラッと刺す赤色が小粋すぎる。
こういう色彩で見せる演出大好きなのでこのシーン見られて良かったです。
集団で踊るパートは全体のフォーメーションを観るのも楽しいし、新たな推しを見つける絶好の機会でもあります。
どうせならハイローで気になった役者さんを見ようと思い、純子役の天彩峰里さんとメイナンツー役の泉堂成さんの姿を必死に探しました。
泉堂さんは見つけることができなかったのですが、天彩さんは2番手で出番も多く特徴的な声をしていたのですぐにわかりました。
ハイローの時は「珍しい系統だな」と思っていたのに髪をアップにしてニカっと笑っているとめちゃくちゃ娘役だったので、さては何にでもなれるな?と思いました。力強くエッジの効いた歌声が気持ちよかったです。
また機会があったら行きたいな。
最後に2番手、トップ娘役、トップスターが羽を背負って登場するところ。
今まで見た誰よりも羽を軽そうにたなびかせる真風さんに(さすがっす…)とコブラの舎弟の気分になってしまいました。
楽しかったです。
終わり
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